推進のための制度・施策

ダイバーシティ&インクルージョンの推進体制

ダイバーシティ&インクルージョンの意思決定機関
「ダイバーシティ&インクルージョンカウンシル」の運営

当社最高経営責任者CEOが議長を務め、各部門・各地域を代表する役員をメンバーとした「グローバル・ダイバーシティ&インクルージョンカウンシル」を設立し、ダイバーシティ&インクルージョンに関する方針や取り組みを決定しています。更に、各地域ごとのダイバーシティ&インクルージョン推進組織であるリージョナルダイバーシティ&インクルージョンカウンシルを設立し、各地域のトップマネジメントが議長を務めることで、コーポレート全体の取り組みとして実行推進体制を整えるとともに、地域ごとに異なるダイバーシティ&インクルージョンの課題に取り組む体制を整えています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進部署「ダイバーシティ・ディベロップメント・オフィス」の設置

2004年秋に設立された「ダイバーシティ・ディベロップメント・オフィス」は、私たちがダイバーシティ&インクルージョンを推進していくための、リーダー的な役割を担っている専門組織です。ダイバーシティ&インクルージョンという切り口で新たなアイデア・視点を取り入れた革新的な取り組みを全社的に進めています。

続きを読む

女性活躍推進

お客様に多様な価値を提供するには、各プロジェクトや組織のリーダーとなる女性の活躍が欠かせません。日産は女性のプレゼンスを高めるため、優れた管理職候補が将来に向けてしっかり準備し、より大きな責務を担えるようトレーニングを行うなど、事業を展開するすべての地域で女性のキャリア開発を支援しています。

能力開発のための研修や人事交流イベントなど、女性従業員を対象とした活動にも取り組むほか、メンタリングプログラムやラウンドテーブルも実施し育成をサポートしています。また、若手女性エンジニアや生産現場の女性従業員を対象とした活動にも取り組んでいます。

その結果、日産自動車では女性管理職比率が国内で2004年の1.6%から2022年は10.3%に、グローバルでも2008年の6.7%から2022年は14.9%に上昇しています。

女性管理職比率の推移

  • 管理職:課長以上を管理職として算出

キャリアアドバイザーによる女性従業員との面談や、キャリア開発会議の実施(日本)

社内にキャリアアドバイザーを配置し、女性従業員との面談を実施しています。業務内容や今後のキャリアについてだけでなく、ワークライフバランスに関する悩みなどを聞き、一人ひとりの状況を把握してそれぞれに合ったキャリア開発支援をしています。

また、女性従業員の育成支援として、キャリア開発会議を行っています。上司、人事部、キャリアアドバイザーが一緒になって女性従業員のキャリアについて議論し、育成計画を策定し、サポートしています。

キャリアアドバイザーとの面談

女性従業員育成支援のための研修の実施

管理職候補となる若手の女性従業員を対象に層別研修、メンタリング、ラウンドテーブルなどを行っています。マネジメントやリーダーシップについて学ぶことで、女性のキャリア意識の向上と成長につなげています。役員候補となる管理職の育成については、外部研修や役員ワークショップを通じて、グローバルで育成しています。

また、管理職候補の育成施策に加えて、管理職となった女性がさらに能力やリーダーシップを発揮できるよう、将来のキャリアビジョンに向けた成長をサポートする目的のメンタリングも行っています。

女性向けメンタリングプログラム(日本)

女性向けメンタリングは、女性従業員個人の成長を支えるとともに、職場内の悩みや問題解決をサポートするプログラムです。豊富な知識と経験を有した社内の先輩社員と女性従業員の双方向の対話を通じて、キャリア形成上の課題解決を支援しています。

クルマの開発現場における取り組み(日本)

2016年8月に日本で発売したミニバン「セレナ」に、手を汚さずに給油できるキャップレス給油口や、軽い力で開閉でき、狭い場所でも荷物を出し入れできるデュアルバックドアが採用されるなど、女性のニーズが反映されています。

クルマの製造現場における取り組み(日本)

日産では、女性の力を、製造現場にも活かしています。少子高齢化により、クルマづくりを担う従業員の高齢化が予想されます。体力のある若手男性だけでなく、さまざまな年齢層や男女の区別なく、誰にでも簡単に作業できる製造ラインが理想的です。男性と比べて体格が小さく、力の弱い女性の視点による提案は、誰もが働きやすい理想の製造ラインづくりに貢献しています。2017年10月には、神奈川県横須賀市にある追浜工場で日産グループ初の女性工長が誕生し、その後さらに、新たな女性工長も誕生しました。

販売会社における取り組み(日本)

お客さまとお会いする販売の場においても、女性の力を活かしてより良いサービスを提供するための取り組みを行っています。たとえば、お客さまと接するカーライフアドバイザーや、点検・修理を行うテクニカルアドバイザーとして女性の専門スタッフの視点を活かす活動です。技術にあまり詳しくない方にもわかりやすいご説明や、ライフスタイル別クルマの利用方法のご提案など、女性の視点を取り入れて、お客さまと接しています。女性カーライフアドバイザー同士の勉強会では、女性ならではの視点を採り入れることでお客さまに喜んでいただくために、活発な情報交換が行われ、参加した男性スタッフからも評価されています。また、「日産レディ・ファースト」プロジェクトを開始。女性のアイデアによるお店づくりやサービス、イベントなどを実施し、誰もが親しみやすい店舗を目指しています。

理系女子学生を増やす取り組み(日本)

エンジニアとして活躍する女性を増やすには社内の取り組みだけにとどまらず、エンジニアの卵である理系の女子学生を日本全国で増やす活動が欠かせません。日産は、出張授業などで女子中学生・高校生にエンジニアという仕事の面白さを伝えることに加え、日本自動車工業会の一員として、他社とも協力して理系の魅力を伝えることで、理系に進学する女子学生の増加に取り組んでいます。

続きを読む

日産(中国)投資有限公司(NCIC)では、環境をテーマにした従業員写真コンテストの開催、南米ではディーラーと連携した従業員参加型のバーチャルとリアルでのイベントを企画しました。

カナダ日産自動車会社 (NCI)は、2019年よりWWFカナダの公式パートナーとして、CN Tower Climbといった、環境に関する募金を呼び掛けるイベントに参加しています。今年はカナダ国民に環境保全のために測定可能で意味のある行動を呼びかけるLearn Plant Connectを中心に支援を行い、生物多様性の喪失や気候変動の危機を解決するための活動に貢献しています。

多様な文化間での協働

日産は世界中のお客さまにクルマをお届けしています。暮らし方や文化によって、求められるクルマやサービスはさまざま。世界中のお客さまのご要望やニーズに応えるためには、さまざまな文化・国籍を持つ従業員の力を活用することが不可欠です。

ルノーとのアライアンスやパートナー企業との協働により、私たちは企業文化の違い、国籍の違いによる思考や好みの違いを確認し、お互いに学び合ってきました。文化・国籍の違い、カルチャーダイバーシティを活かすことはグローバル企業として強みとなると信じています。

お互いの違いを学ぶカルチャーダイバーシティ研修(日本)

文化的背景への理解を深め、相手の仕事のスタイルを学ぶことを目的とした機会の提供を通して、従業員の異文化理解促進をサポートしています。違いから学び、違いを受け入れることで、新たな企業文化の土壌をつくっています。

文化・国籍の違いを活かすための異文化e-Learning(日本)

日本人従業員を対象に、異文化の根底にある違いを論理的に学びながら、グローバルに役立つ効率的・効果的なコミュニケーションヒントを学ぶe-learningを実施しています。相手への理解を深め、密でスムーズなコミュニケーションに役立っています。

続きを読む

仕事と生活の両立(ワークライフバランス)

多様な従業員がいれば、多様な働き方があります。日産は、一人ひとりのライフスタイルや価値観を大事にしながら最大限の能力発揮ができるように幅広い選択肢を提供しています。

ワークライフバランスの推進(日本)

日産では従業員一人ひとりが活躍できる環境の整備に力を入れています。従業員がライフイベントやライフスタイルにあわせて、幅広い働き方を柔軟に選択できるさまざまな制度を導入しています。また、ワークもライフもどちらの時間も質が向上し、より充実できるよう業務の効率化や生産性の向上に取り組み、ワークライフバランスを推進しています。

制度としては、コアタイムなしのフレックス勤務制度、半休制度、リモートワーク制度 などがあります。リモートワークの活用・有給休暇取得促進については、目標を持って全社で取り組んでいます。労働時間のモニタリングや、オフィス一斉消灯、ノー残業DAYの設定、週間PDCAの推奨など、長時間労働の削減や生産性向上に繋げる取り組みも行っています。オフィスやIT環境の改善・整備も行い、PCがあれば世界中の日産グループのメンバーといつでもどこでも誰とでもコミュニケーションとコラボレーションを実現することが可能です。

また、育児介護両立者の支援にも力を入れています。法定を超える充実した両立支援制度を設け、従業員一人ひとりの成長と会社への貢献を共に実現するために、その時々のライフステージに応じてフレキシブルに働くことをサポートしています。

働き方改革“Happy8”プログラムを導入

日産では働き方改革を進めています。2015年からは働き方改革“Happy8”プログラムを導入し、誰もが1日8時間の業務時間を意識することで、個人と組織の生産性を上げ、仕事も生活も健康も充実することを目指しています。さらに、より働きやすい職場づくりを目指し、毎月最終金曜日にはいつもより早い帰宅を推奨する「Happy Friday」を導入しています。

ワークライフバランスの啓蒙活動

日産では社内啓蒙活動を行い、一人一人の従業員が“ワークライバランス”を意識して働くことを目指し、“Happy8”メルマガの発行やワークライフバランス関連記事を社内サイトに掲載しています。

メルマガ

記事

リモートワーク制度の推進(日本)

日産自動車では、2006年に育児・介護両立社員を対象に在宅勤務を導入して以来、従業員やマネジメントの要望、社会情勢の変化に応じ、対象者や場所の拡大を図り、リモートワークの制度を更新してきました。2021年6月には新型コロナ禍における一時措置としてではなく、制度として職務に応じた最適な働き方を目指すため、全従業員(製造工程を除く)を対象に、利用上限時間を撤廃しました。制度を拡充したことで、一人ひとりの働く時間の選択肢がより拡がり、効率化や生産性の向上を実現することが可能となります。リモートワークの推進は専用のサイトを立ち上げ活用方法の好事例を共有すると共に、働き方の改革やチームの生産性向上につながるような活動を継続して行うことで、より多くの従業員がリモートワークを経験して成果を出すことができるよう取り組んでいきます。

ライフステージに応じて能力を発揮できる両立支援制度(日本)

両立支援制度は従業員一人ひとりの成長と会社への貢献を共に実現するために、ライフステージに応じてフレキシブルに働くことをサポートする制度です。下記の通り法定を超えた制度を設けていますが、介護についても同様に、休職・休暇、時間短縮といった制度が用意されています。

家族のための休暇「ファミリーサポート休暇制度」(日本)

家族のためのサポート休暇として、「結婚」、「配偶者出産」、「育児」、「介護」、「不妊治療」を理由とした「ファミリーサポート休暇」を設定しています。1年度に最大12日間(内5日は有給)、1時間単位で取得できます。

社内託児所『まーちらんど』(日本)

日産の神奈川県内の事業所4か所(日産グローバル本社・グローバル情報システムセンター・テクニカルセンター・追浜工場)に、従業員専用の託児所を設置しています。従業員が安心して仕事が続けられるよう、重要な役割を担っています。また本社には、「MMケアルーム(搾乳室)」も設置しており、妊娠中の従業員が体調不良で一時的に休みたい場合にも使用できます。

育児両立支援のためのセミナーの開催(日本)

出産・育児を経験しながら仕事を継続していくための両立支援をトータルでサポートしています。産前休暇取得前には「プレパパママセミナー」を行い、今後のキャリアや働き方についての不安などを同じ仲間と共有し、休み中の心構えややることリストを一緒に作成しています。男性も参加対象とし、パートナーと共に両立を考える機会としています。また、育児休職中の従業員、およびその配偶者を対象に、スムーズな復職と復職後のワークとライフをサポートするための「復職セミナー」を開催しています。社外ゲストの講義、育児休職からすでに復職している従業員によるパネルディスカッション、参加者同士のグループディスカッション等、自身の復職後のワークとライフを考えるためのヒントを提供しています。育児両立者を持つ上司向けのセミナーも行っています。本人の意識や上司の理解向上などトータルで支援しています。

休職中のPC貸し出しと社内イントラネット閲覧(日本)

育児・介護のための休職中でも自宅から社内イントラネットにアクセスして会社の情報を得られるように、希望する従業員にはPCを貸し出しています。この制度を利用していた従業員からは、「休職中でも疎外感を抱かない」、「復帰後スムーズに仕事ができる」といった声が寄せられています。

帯同休職制度、再雇用制度の運用(日本)

これまでの経験を生かし、再び日産で活躍できるように、配偶者の海外赴任中の帯同休職制度と、再雇用制度を設けています。

介護と仕事の両立支援(日本)

少子高齢化が進む日本において、今後は仕事と介護を両立する従業員が増えることを見据え、介護の基礎知識や制度を学ぶ介護セミナーを実施しています。さらに、実際に介護にかかわる問題について相談できる外部相談窓口を設けています。

続きを読む

誰もが働きやすい職場へ

日産では、従業員一人ひとりがダイバーシティ&インクルージョンを理解し尊重するために、さまざまな手段でコミュニケーションしています。そして、すべての従業員が相手との違いを認め合い多様性を受容することで、誰もが働きやすい企業になることを目指します。

社内イントラネット「ダイバーシティサイト」でのコミュニケーション(日本)

従業員がアクセスできる社内イントラネット上に、「ダイバーシティサイト」を開設。日産のダイバーシティ&インクルージョン推進活動にまつわるさまざまな情報を掲載しメールマガジンを定期的に送付して、日産が考えるダイバーシティ&インクルージョンの社内浸透に貢献しています。

研修やイベントの実施

新入社員や管理職向けの研修や、全従業員対象のe-learning、および啓発イベントなどを実施しています。また、他社でキャリアを積んでから入社した社員に対しても、日産のダイバーシティ&インクルージョンを理解してもらうための必須研修を実施しています。
2018年度は日本において、2つの研修を導入しました。1つ目は、新任管理職向けに導入した「ダイバーシティ&インクルージョンスキルトレーニング」です。クロスカルチャーに関する座学と、シアター形式による体験型学習により、ダイバーシティマネジメント力の強化を目指します。2つ目は、間接一般従業員を対象に導入した、誰もが持つアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の影響やそれをコントロールするための方法を学ぶ「アンコンシャス・バイアスe-learning」です。グローバル各拠点に順次展開しています。
また、2019年度は、多様性溢れるチームとして最大限の一人ひとりが力を発揮できるように、「ジェンダーダイバーシティe-learning」を刷新し、さらなるダイバーシティ&インクルージョンの推進を行っています。

LGBTに関する取り組み

多様な性的指向、性自認を持つ従業員が職場において差別を受けることなく働けるように、LGBTセミナーやe-learningを通して基礎知識を学べるようにしています。2020年にはLGBT e-learningを全面リニューアルし全従業員の受講を必須としました。日本で最大のLGBTイベント「東京レインボープライド」には2017年から3年連続で出展しており、2020年、2021年は新型コロナウィルス感染症の影響によりオンライン化されたイベントに参加しました。さらに社内のLGBT当事者およびアライ(LGBTの支援者)による従業員ネットワークが2016年度に立ち上がり、ボトムアップの活動を行っています。また、2019年8月1日より、同性婚及び事実婚を、結婚事由での休暇取得、結婚祝金支給の対象に追加しました。こうした活動が評価され、任意団体「work with Pride」がLGBT従業員に対する企業の取り組みを評価する「PRIDE指標」において、日産はトップレベルを示す「ゴールド」を日本の自動車会社として初めて2017年に獲得し、2021年も5年連続で「ゴールド」を獲得しました。

続きを読む