知的財産

考え方・方針

近年、自動車産業における知的財産(「知財」または「IP」)を取り巻く環境は大きく変化し、多様化しています。技術開発が「CASE」と呼ばれる分野にシフトしたことにより、イノベーションが創出される分野も変化しています。

これに伴い、従来の知的財産権の管理にとどまらず、ソフトウェアやデータの管理、ノウハウのブラックボックス化など、より広範な知的財産管理の重要性が増しています。また、従来の産業の境界線を越えた技術開発の活発化に伴い、多様化する産業間での知財活用(売買、ライセンス、権利行使等)の機会も増加しています。例えば、新たな分野で技術標準を採用する際に必要となる標準必須特許の取り扱いや、自動車メーカー以外の本来競合しない企業との間での新たな知的財産紛争などが増加しています。

さらに、知的財産を不正に使用している模倣品市場では、サプライチェーンの国際化がいっそう加速するとともに、模倣品の流通・販売チャネルも店舗からEコマースサイトへと変化しています。

このように、多様なイノベーション環境、知的財産の活発な活用環境、変化する模倣品市場を踏まえ、日産は以下のような社会的機会と脅威を認識しています。

・世界中の知的財産が適切に尊重されつつ効率的に活用され、イノベーションの創出と活用が健全に活性化される環境の醸成によって、知的財産はさまざまな社会・環境問題の解決に大きく貢献することができる。

・一方、知的財産の不正使用の温床となっている模倣品市場の拡大を看過することは、上述のような、イノベーションの創出と活用が健全に活性化される環境の醸成を阻害する脅威になる。

日産は、このような環境の変化、社会的機会や脅威を踏まえ、知的財産の適切な活用を通じて、グローバルイノベーションの推進、個人・社会・地球の共生・共栄を目指しています。

そのために、知的財産を取り巻くさまざまな環境の変化を認識しつつ、柔軟かつ効果的な知的財産の創造・保護・活用や、権利の適切な行使や模倣品対策などの法令に基づく施策を通じて、知的財産(IP)エコシステム*1の構築を推進しています。特に知的財産の管理、自社および他社の知的財産の相互活用に注力し、日産だけでなく市場全体でのイノベーションを推進しています。また、知的財産市場の活性化をリードすることで、健全な知的財産(IP)エコシステムの実現に貢献したいと考えています。さらに日産は、各国の行政機関と連携し、知的財産権の行使や不正競争防止法の適用等あらゆる方策により、潜在的に有害な模倣品の流通を防止することを目指しています。

*1 知的財産(IP)エコシステムとは、知的財産を創造し、保護し、活用する循環を示す知的創造サイクルの概念に加え、そこから生まれる知的財産を基に、人々が互いに、また、社会に対して好影響を及ぼし、自律的に新たな関係が構築され、新たな「知」が育まれ、新たな価値が生み出される、いわば知的財産の生態系を指す。(引用元:特許庁 ミッション・ビジョン・バリューズ https://www.jpo.go.jp/introduction/tokkyo_mvv.html

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