日産の電気自動車が災害復旧に貢献

「ブルー・スイッチ」活動により、電気自動車のバッテリーが地震や台風などによる被害復旧の手助けに

2020/12/16
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昨年、広範囲にわたって猛威を振るった台風19号。砕けた瓦礫、泥、断線した電線。災害の傷跡が残る長野県のボランティアセンターで、復旧支援に励むボランティアの方々は、思いもよらぬ電源を見つけました。屋外に駐車していた「日産リーフ」です。

台風19号の被害を受けた長野県長野市津野(2019年)

「日産リーフ」から同センターに電気を供給することで、電動工具を充電し、コピー機を作動させ、温かいご飯と淹れたてのコーヒーで一息つくことができました。

その時ボランティアセンターにいた原亮章さんは、「工具の充電ができたので、浸水してしまった家屋の壁材や床材を、電気ドライバーや丸ノコを使って撤去することができました。」と語りました。

電気自動車(EV)のバッテリーに蓄電された電気が、汚れたままのケーブルを通じて同センター内に送電されます。被災状況を把握するための地図が蛍光灯によって明るく照らされると、重苦しい空気の中、笑い声が生まれました。

「電気がないと何もできないので、すごく助かりました。」(原さん)

災害NPO旅商人 原 亮章さん

「日産リーフ」からの給電で明かりが灯った
長野のボランティアセンター

災害時に日産のEVを活用するというアイデアは、2011年の東日本大震災をきっかけに生まれました。日本は台風や地震の多い国です。過去10年の間に世界で起こったマグニチュード6以上の大きな地震のうち、一割以上が日本で起きています。そのため、普段から各地で災害対策がしっかり行われています。

しかし、2011年の大震災は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。東日本は甚大な被害を受け、約500万世帯が停電の中での生活を余儀なくされたのです。日産は少しでも被災地支援に貢献したいとの思いから、初代「日産リーフ」を現地へと送りました。そして、EVに蓄電した電気をシェアすることで、どのように社会に貢献していくべきか模索を始めました。

そして2018年5月、日産は日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を発表しました。 これは、全国の自治体や企業とともにEVがもたらす価値を活用することで、それぞれの地域が抱える防災、温暖化対策、過疎、観光、エネルギーマネジメントなどの課題を解決し、地域社会の変革や地方創生に貢献する取り組みです。

ブルー・スイッチ」における自治体や企業との提携は、先月初旬に100件という大きなマイルストーンに到達しました。100件の提携のうち、75件は災害時に日産のEVを活用するという協定です。

災害からの復興に向けては、被災後の数時間、数日間の対応が非常に重要になってきます。その重要な時期に、日産のEVは被災地に向かい、最も必要とされる場所に電力を供給します。排出ガスもなく静かなため、建物の中に駐車し、電源として使用することもできます。系統電源が復旧した後は、その場でEVを充電し、別の被災地に向かうことも可能です。

社会福祉法人 長野県社会福祉協議会 まちづくりボランティアセンター主事 小林周平さん

2019年後半、長野県のボランティアセンターでは、「日産リーフ」が復興支援に役立てられていました。社会福祉協議会の小林周平さんは、「住民が簡単、手軽に使える」「不安な状況でも、電気が使えるだけで住民はホッとするんじゃないかな」とそのメリットを語りました。

わずか10年前まで、クルマが暮らしの電源になるという発想は、SF小説での話でした。それが今、スーツケース程の大きさの装置を通じて、「日産リーフ」が電気を供給しているのです。

スーツケース程の大きさの給電装置

災害時には、燃料のサプライチェーンの復旧に数カ月もの時間を要するケースもあり、電気の方が復旧が速い場合が多いとされています。また、燃料を使用する発電機に比べて、EVは静かで排出ガスもなく、移動手段として活用することもできます。

例えば、フル充電された「日産リーフe+」は、日本の平均的な世帯であれば、最大4日間分の電力を供給することができます。また、「日産リーフ」 (40kWh) は、携帯電話であれば6,000台以上を充電することが可能で、43階建てのビルに設置されたエレベーターであれば100往復させることができます。これだけの電力があれば、コンビニエンスストアの冷蔵庫を稼働させ、食べ物などの生活必需品を提供し続けることも、保育園の子供たちのお昼寝の時間に、エアコンや扇風機を稼働させて部屋の中を快適に保つこともできます。

停電し、エアコンが使えないと、子供たちも気持ちよくお昼寝できません。
ここでは、「日産リーフ」が扇風機の電源として役立てられました。

日産のEVは、前述した長野県や千葉県の被災地に加え、今年初めに洪水災害の被害を受けた熊本県でも活用されました。

日産の執行役副社長である星野朝子は、「日産はEV技術を、現実に起きている問題を解決するために活用しているのです」と語りました。

ブルー・スイッチ」は、EVを活用した災害支援活動の推進と、エネルギー管理や気候変動対策に取り組む活動などが高く評価され、国内自動車メーカーとして唯一、「第6回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2020」の最優秀賞を受賞しました。

日産は今、EVと電力網をつなぎ、家庭や企業に電気を効率的に供給する「EVエコシステム」を実現することで、緊急時だけでなく日常の生活においても、EVを暮らしの電源として活用していくことを目指しています。

例えば、長野のボランティアセンターと同等のアダプターを使えば、電気需要が少ないときにEVのバッテリーを充電し、需要がピークに達したときにそのバッテリーから電力を供給することができます。また、これまでに販売された日産のEVに蓄電した電力を集束すれば、国内50万世帯に丸一日、電力を供給することができます。

地域に設置された電力網が災害などによって被害を受けたとき、「ブルー・スイッチ」は他の地域から電気を移動させ、柔軟な使い方と幅広い用途への電力供給を可能とするのです。

他にも、「ニッサン パビリオン」では、お客さまが駐車したEVからカフェへ給電すると、駐車料金が無料になるサービスを実施しました。

ニッサン パビリオン

オランダでは競技場の照明に148台分の「日産リーフ」の中古バッテリーが使われています。

日産のEVは、これからも想像を超えるような用途で活用され、その可能性をさらに広げていくことでしょう。

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