GT-R開発で培ったドライビングフィールを日産の電動車両に継承

EVのように滑らかで、スポーツカーのように気持ちいい。それが電気の力で走る「e-POWER」です。「e-POWER」の開発を担当したエンジニアが、そこに込めた想いを語ります。

2021/03/23
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日産自動車でチーフ・パワートレイン・エンジニアを務める仲田直樹は、自他ともに認める大のクルマ好きです。日産が誇る高性能スポーツカー「NISSAN GT-R」(R35型)。そのVR38DETTエンジンを開発したエンジニアの1人である彼は、長年にわたってガソリンエンジンの開発を担当してきました。エンジンを知り尽くし、やがて彼は世界初の量産型電気自動車(EV)「日産リーフ」*の電動パワートレインを開発することになります。レスポンスがよく、トルクにあふれる電気モーターには、これまでにない新しい可能性がある。そう感じた彼は、スポーツカーを開発するときに追い求めた加速感を、今度は電気モーターで実現しようとしました。それは、滑らかで誰もが気持ちいいと感じるドライビングフィール。彼の想いは「日産リーフ」に結実し、その後100%モーターのみで駆動する「e-POWER」にも継承されたのです。

  • 世界で初めてグローバルに販売された量産型EV

スポーツカーファンの間で特別な存在である「GT-R」。類まれな性能を誇る「GT-R」を開発していた当時、仲田は「単に速いというだけではなく、気持ちいいと感じる加速を常に追及していました」。そして、初代「日産リーフ」の電動パワートレインの開発を担当することになったとき、彼はGT-Rの開発で得た経験やノウハウを活かしたいと考えたのです。

「カーボンニュートラルな社会の実現に向けて、日産はより一層EVを普及させていきます。しかし、日産のEVは、環境にやさしいだけではなく、運転して楽しく、ワクワクするクルマでなければなりません」

EVシフトへとつながる新たなパワートレイン

「EVシフトは間違いなく進んでいます。一方で、航続距離や価格、充電インフラなどの問題で、EVを所有することを躊躇されている方もいらっしゃいます。」と語る仲田。それなら、従来のガソリン車と同等の使い勝手で、EVならではの優れた走行性能と環境性能を兼ね備えたクルマを開発しよう。それは一体どんなクルマなのか。
何度も仲間と検討した結果、たどり着いた答えが「e-POWER」でした。

EVの走りを気軽に楽しめるクルマ

「e-POWER」のシステムは、他のハイブリッドカーとは大きく異なります。エンジンは発電専用で、高出力の電気モーターのみで駆動します。エンジンで発電した電気をリチウムイオンバッテリーに蓄え、電気モーターのみで滑らかに力強く走る。まさにEVの走りそのものです。その一方で、ガソリンを給油すれば、航続距離を気にすることなくどこまでも走ることができる。
「e-POWER」は、誰でも気軽にEVの走りを楽しむことができるクルマなのです。

「e-POWER」でタイヤを駆動するのは電気モーターで、エンジンは発電専用と役割が分かれています。そしてそのエンジンは、発電するのに最も効率が良い回転数で稼働させているため、優れた燃費を実現します。また、エンジンで発電するのは走行音が大きくなる速度での巡行時とし、ロードノイズや風切り音が少ない低速での巡行時はモーターのみで走行する。こうした細やかな制御が、高い静粛性を実現しています。

「『e-POWER』は一見シンプルなシステムに見えるので、簡単につくれそうと思われる方もいるかもしれません。実は逆にシンプルであるからこそ難しいのです。走行に使う電気と発電量のバランス、エンジンをかけるタイミング、バッテリーの大きさ(容量)など、様々なシーンでお客さまにご満足いただけるようにしっかりと造りこんできました。いろいろな道を走っては議論を重ね、改良したらまた走って確認する。この繰り返しでした。」と、開発時を振り返ります。

「e-POWER」をグローバルに

2016年、日産は「e-POWER」を初めて「ノート」に搭載しました。続いて「セレナe-POWER」を発売。両車は発売と同時に大ヒットとなり、「ノート」は2018年に日本で最も売れたクルマとなりました*。日本ではこれまでに50万台近くの「e-POWER」搭載車が販売されていますが、2020年にはコンパクトSUV「キックスe-POWER」を日本に先駆けてアジア市場に投入し、いよいよ「e-POWER」のグローバル展開をスタートさせました。

  • 国内登録車。「日産ノート」ガソリンモデルと「e-POWER」モデルの両方を含む。約7割のお客さまが「e-POWER」を選択。

「日本で生まれた『e-POWER』を、これから世界のお客さまにお届けしていきます。国や地域によってクルマの使い方や交通環境、お客さまが求めるニーズは異なります。それぞれのニーズにあわせ、一人ひとりのお客さまにご満足いただける『e-POWER』の開発を進めていく。そして近い将来、世界中のお客さまに『e-POWER』がもたらすワクワクする走りをお届けする。そうした取り組みが、カーボンニュートラルな社会やEVシフトを加速させていくのだと信じています。」と仲田は語りました。

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