第39回(2022年度)大賞受賞者インタビュー
- 童話の部 「あたしは本をよまない」
コウタリ リン さん
影響を受けた作品は?
映画「わたしたち」(ユン・ガウン監督)です。子どもたちのたたずまいから目がはなせませんでした。
アゴタ・クリストフです。『文盲』を読むたびに言葉について問われる気がします。
童話公募の新聞広告を見た家族が「図書ボランティアしてる人なら書けるんちゃう?」と言った一般論を、自分に言われたとかんちがいして創りはじめました。
登場人物がなぜそんなことを言うのか、なぜそんなことをするのか。それをわかろうとすること。そして、わかった気にならないことです。
審査員に松岡享子先生のお名前があったからです。松岡先生の著書「えほんのせかいこどものせかい」を、ずっと読み聞かせをするときのよりどころにしています。
13回目です。
図書ボランティア講習会で聞いた「「論語」の本を持っているだけでほめられた小学生」というエピソードからです。
2年前に原稿用紙5枚の初稿ができました。その後、語り手や展開を変えながら10枚→20枚→ 10枚と書き直しました。今回応募するかたちになったのは、締切の一週間前でした。
自分の頭の中は自分のもの。いっぱい考えよう。ということです。
特にお気に入りの場面はどこですか?
外階段のそうじ終わりに「あたし」が竹ぼうきを抱えて走って行くところです。
「あたし」が本をよまないと決めた先に何があるかというところです。
お茶を飲むことです。おなかを温めると書く勇気が出ます。
ほの明るいお話を書きたいと思います。
- 絵本の部 「なんかひとりおおくない?」
うめはら まんな さん
影響を受けた作品は?
ローラ・インガルス・ワイルダー作、ガース・ウィリアムズ画のI大きな森の小さな家』です。中学生の時、辞書を片手に、英語版を一所懸命読みました。心優しいインガルス一家のお話と、表情豊かな挿絵が大好きです。
お話が好きなのは、ウィリアム・スタイグ、絵が好きなのはリスベート・ツヴェルガー、絵本作家として憧れているのはターシャ・テューダーです。
絵本を創るようになったきっかけを教えてください
小さい頃から漫画の様な絵本の様な物を描いていましたが、最初に絵本の形にしたのは大学生の時です。
第32回大賞受賞者 横須賀 香さんのブログ「出品体験記コンクールとの相性」を読んで。
3度目です。一度に沢山出した事があるので、作品数にすると11作品です。
頭の作品でお使いになった画材や技法を教えてください
銅版画です。
今回の作品は、いつごろから制作を始められたのですか?
8年位前です。6年程前に一度仕上げたのですが、しばらく置いておき、ページ数も内容も変えて今の形になりました。
学生の頃から古民家が好きで、よくスケッチをしていました。家の近くの古民家をスクッチしていて、何かいそうだな、と感じたことがきっかけです。
ちょっと恐くて不思議な感じが伝わったらいいな。
特にお気に入りの場面はどこですか?
最初の茅ぶき屋根の古民家が大きく描かれている場面です。これからこの家で何かおこりそうでしょう…?
8月に派手に転んで右肩の骨と腱を痛めてしまい、思う様に制作できず、一度は応募を諦めました。
なるべくゆったりと余裕を持って過ごし、小さな事にも気付く様にしたい、とは思っているのですがなかなか出来ません。
読み終わった後、優しい気持ちになれる様な作品を作りたいです。