課題認識と活動の枠組み

課題認識と活動の枠組み

背景

2050年には世界の人口が90億人に達すると予測される中で、社会が直面している課題を解決し、国連により採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」を達成するために社会と企業が果たす役割はますます高まっています。自動車産業においても、安全で安心かつ持続可能なモビリティをすべての人にもたらし、社会に価値を提供することがより一層重要になっていると認識しています。

日産自動車は、国連の持続可能な開発目標SDGsを支持します

環境方針

日産では、コーポレートビジョン「人々の生活を豊かに」の実現に向け、以下のとおり「環境方針」を定めています。

日産環境理念 『人とクルマと自然の共生』
日産自動車は、環境保全の基本は人間の「やさしさ」の発露にあると考えます。 われわれ一人ひとりが環境に対する正しい認識を深めるとともに、人や社会、自然や地球を思いやる「やさしさ」をクルマづくりや販売などの企業活動全域に活かし、より豊かな社会の発展に貢献します。
究極のゴール:
事業活動やクルマによって生じる環境への依存と負荷を自然が吸収可能なレベルに抑え、豊かな自然資産を次世代に引き継ぎます。
我々のありたい姿:「シンシア・エコイノベーター(Sincere Eco-Innovator)」
シンシア(誠実な):環境問題に対し積極的に取り組み、環境負荷を低減する。
エコイノベーター:持続可能なモビリティ社会の発展のために、お客さまに革新的な商品・サービスを提供する。
取り組むべき重要課題とチャレンジ
コンプライアンスはもとより、社会的要求かつ長期的視点に基づき、以下の重要課題に取り組みます。
● 気候変動 ~カーボン・ニュートラル~
クルマの電動化・知能化、革新的な未来のモノづくりを通じて社会のCO2削減を進めます
● 大気品質 ~ゼロ・インパクト~
クルマの排出ガス低減と、車室内の快適な空気環境をつくりだし、人の健康をまもり、生態系への影響を抑えます
● 資源依存 ~新規採掘資源依存ゼロ~
資源を効率的かつ持続的に使う仕組みと、効果的クルマを活用できるサービスを創造します
(サーキュラー・エコノミー)
● 水資源 ~ゼロ・ストレス~
水使用量の削減と水質の管理を通じて、生態系に配慮したモノづくりをすすめます

日産自動車株式会社 環境方針

日産の環境への取り組み

日産は、環境理念である「人とクルマと自然の共生」を実現するため、 中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム(NGP)」を推進し、前計画の「NGP2016」では、環境への依存と影響を自然が吸収できる範囲に抑えるという究極のゴール達成に向けて取り組みを続けてきました。ここで掲げた4つの重点活動領域、「ゼロ・エミッション車の普及」、「低燃費車の拡大」、「カーボンフットプリントの最小化」、「新たに採掘する天然資源の最小化」の目標はすべて達成しました。

マテリアリティ評価

自動車産業は、CO2排出量や排出ガス、エネルギーや燃費、騒音、材料資源、水、化学物質、廃棄物やリサイクルなど、環境に関連する規制や基準の影響を世界規模で受けています。また、こうした規制や基準が年々厳しくなる傾向にある中、クルマの環境性能に対するお客さまの要望や関心も変化しています。

日産は、このような要請に応えるため、マテリアリティ評価の考えに基づき、自社の潜在的な機会と課題を分析し、ステークホルダーと日産の双方にとって重要な課題*を認識したうえで、優先的に解決に必要な方針や目標を設定し、環境戦略に反映しています。

日産は「NGP2022」の活動計画と目標の策定にあたり、中長期環境リスクに関する情報分析を実施し、外部有識者、投資家、NGO/NPOなどの団体、アライアンスパートナーと協議するとともに、自社の潜在的な好機と課題について分析を行い「気候変動」「大気品質」「資源依存」「水資源」の4つを、ステークホルダーと日産の双方にとって重要な環境課題と定めました。

この4つの環境課題を解決し、新たな価値を創出するために、商品や企業活動のみならず、サプライチェーン全体で取り組みを推進し、さらにNGOと協働した生態系および生物多様性の保全や将来世代とのエンゲージメントにも積極的に取り組みます。

*クルマを所有して運転するのではなく、移動そのものをサービスとして提供するという考え方。カーシェアリングなどが含まれる

重要な環境課題に対する包括的な取り組み

「NGP2022」への進化

「NGP」は「NGP2022」へと進化し、環境課題に対する取り組みを加速させると同時にビジネス基盤を強化し、社会価値の創出に取り組みます。NGP2022は、2017年11月に公表された新たな中期計画「Nissan M.O.V.E.to 2022」の達成に貢献します。具体的には、「ニッサン インテリジェント モビリティ」を通じた電気自動車(EV)推進、車両の電動化をはじめとするモノづくりの技術革新、資源とクルマの価値利用の最大化、そして革新的な技術・サービスによって、モビリティと人と社会の新たな関係構築の実現を目指します。

環境ガバナンス

これまで同様、グローバル環境委員会(G-EMC:Global Environmental Management Committee)および地域ごとの環境委員会(EMC)の開催を通じて、ガバナンス向上を推進します。経営層は、定期的にG-EMCや地域EMCにおいて「NGP2022」の活動の進捗を確認するとともに、重要な環境リスクの動向や自社の好機を把握し、将来の活動の方向性を策定します。

「ニッサン・グリーンプログラム 2022(NGP2022)」取り組み一覧

取り組み NGP2022 目標
気候変動 (製品)
長期ビジョン:新車からのCO2排出量を2050年に90%削減する(2000年度比)
1 クルマからのCO2排出の削減

新車からのCO2排出削減-40%(‘00年度比; 日本、米国、欧州、中国)
2 確固たるEVリーダシップ -
3 運転のサポートによるCO2排出の削減 実燃費向上に向けた開発を促進
4 クルマの有効利用によるCO2排出の削減 グローバルでのV2X利用の拡大(日本、米国、欧州)
気候変動(企業活動)長期ビジョン:2050年までに企業活動からのCO2排出量を80%削減する(2005年度比)
長期ビジョン:2050年までに企業活動からのCO2排出量を80%削減する(2005年度比)
5 企業活動全体からのCO2排出の削減 グローバル販売台数あたりのCO2排出削減30%(2005年度比)
6 生産活動での排出 グローバル生産台数あたりのCO2排出削減36%(2005年度比)
7 物流での排出削減 日本、北米、欧州、中国の生産台数あたりCO2排出削減12%(2005年度比)
8 オフィスでの排出削減(R&D拠点を含む) 延床面積あたりのCO2排出削減12%(2010年度比)
9 販売店での排出削減 店舗床面積あたりのCO2排出削減12%(2010年度比; 日本)
10 再生可能エネルギーの利用促進 再生可能エネルギーの導入の促進
大気品質
11 車室内の空質環境の向上 実用化に向けた開発の促進
12 生産活動でのVOC排出の削減 塗装面積あたりのVOC排出の削減(2010年度比)
資源依存
長期ビジョン: 新規採掘資源への依存を70%低減
13 バイオ材料の開発 実用化に向けた開発の促進
14 化学物質の適正な利用 化学物質に関するアライアンスポリシーの確実な遂行
15 新規資源の使用の最小化 新規天然資源の台あたり使用量の削減30%
16 リビルト品の適用拡大 リビルト品のカバレッジを2倍に拡大(2016年度比)
17 EVバッテリーの二次利用の拡大 バッテリ二次利用ビジネスの推進
18 金型レス工法の適用 実用化に向けた技術開発を促進
19 工場からの廃棄物の削減 廃棄物の削減(日本生産拠点BAU比2%、海外生産拠点 BAU比1%)
20 工場からの廃棄物埋め立て量の削減 最終処分率の低減
水資源
21 工場での水資源利用の削減 グローバル生産台数あたりの水使用量の削減21%(2010年度比)
事業基盤
22 ガバナンスの強化 環境コンプライアンスポリシー順守の徹底
23 LCAのさらなる適用 クルマや新技術のライフサイクルでの負荷モニタリングプロセスの充実
24 サプライヤー エンゲージメントの推進 環境サーベイを通じたサプライヤーとのエンゲージメントの推進と負荷低減の促進
25 THANKS活動の推進 サプライヤーTHANKS活動のさらなる推進
26 グリーン調達の徹底 グリーン調達ガイドラインの改訂と順守
27 次世代にむけた教育の支援 出張授業「日産わくわくエコスクール」のグローバル展開
28 NGOとの生態系保全を協働 NGOとのパートナーシップと協働の拡大