ジェンダーの壁を越え、インクルーシブな職場から生まれるイノベーション

パンティパ トンカオ(タイ日産 エンジニア)

クルマのデザインには、見た目の美しさや革新性だけではなく、安全への配慮や、運転されるお客さまのことを念頭においた設計が求められ、まさに多様な価値観や考え方が必要です。よって、「美しさとクルマの科学を融合させること」、これこそがまさに外装デザインチームの使命です。タイ日産研究開発部門でエクステリアトリムエンジニアを務めるパンティパ トンカオ(ニックネームは「ビュー」)は、この使命をつねに意識しながら若手デザインエンジニアのチームを統括しています。

Life at Nissan:ジェンダーの壁を越えて。インクルーシブな職場から生まれるイノベーション

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彼女のチームが担当しているのは、バンパーやフロントグリルなどのエクステリアパーツやアクセサリーです。エクステリアはそれぞれのクルマの個性やスタイルを決定づけるものです。そして、そのクルマの第一印象を大きく左右します。

デザインエンジニアは技術に精通していることはもちろんですが、クルマの性能や形状に対する理解に加えて、美的感覚も兼ね備えている必要があります。ビューも最新のトレンドに絶えずアンテナを張り、それをクルマのデザインにあてはめて考えるようにしています。

秀逸なエクステリアデザインを生み出すために、ビューが持つ強みとは何でしょうか。それは才能と情熱にあふれた若手のチームです。エクステリアデザインのチームメンバーはさまざまなジェンダー、国籍、文化、バックグラウンドを持っており、この多様性こそがデザインの力を最大限に引き出す原動力になっていると彼女は考えます。

パンティパ トンカオ

「チームメンバーはそれぞれ、まったく新しい、そして想定外のアングルで物事を捉えていて、そこから独自の考え方やアプローチが生まれます。彼らの発言に耳を傾け、議論を重ね、一人ひとりの個人としてつながっていくことで、あらゆるドライバーに合った、よりクリエイティブなデザインを提供できると考えています。多様なお客さまに対応できるよう、私たちも多様であることを大事にしています。」

ジェンダーの壁を越え、インクルーシブな職場から生まれるイノベーション

ビューと彼女のチームにとって最も印象に残っているのが、「日産ナバラ ブラックエディション」のコンセプトのプロジェクトです。彼らのアイデアが実際に道路で形になるのを目の当たりにしたとき、チームのメンバー全員にとって誇らしい瞬間でした。

ビューは、これからの自動車業界について、ダイバーシティがさらに進むことで、優れた人材がより多く集まり、特に女性エンジニアが増えると考えています。彼女は、多様な視点が業界をより豊かにし、技術革新を加速させると信じています。

ただし真の意味でのジェンダー平等の達成には道半ばである、というのも事実です。ビューは、自分のチームをジェンダーに関わらず能力が正しく評価される場にしていきたいと考えています。それが、自動車業界の未来を形作り、よりインクルーシブな職場を作っていくことにつながると確信しているのです。

Panthipa Thongkaow