CSOメッセージ

CSO

日産はサステナビリティを事業の中核に位置づけています。長期ビジョンNissan Ambition 2030の実現に向けた戦略的な取り組みにおいても、あらゆる場面でサステナビリティの考え方を取り入れています。

当社は、2024年3月に長期ビジョンへの架け橋となる新経営計画「The Arc」を発表し、サステナビリティに関する取り組みをさらに強化しました。

「The Arc」により当社はEVへの移行を加速し、重点課題としてCO2排出量の削減、革新的な技術、より効率化された生産システム、戦略的なパートナーシップなどに取り組みます。そして、市場での成長を果たしながら、より持続可能な未来に貢献し、最終的なカーボンニュートラルの実現を目指していきます。この計画の基盤となるのが、最新の「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」と、今回新しく導入した「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」です。

日産は、環境理念である「人とクルマと自然の共生」を実現するため、2002年に初めて「ニッサン・グリーンプログラム」を導入しました。2023年に開始した第5世代となる「NGP2030」では、環境に関する最重要課題である「気候変動」「資源依存」「大気品質・水」などに対する負荷を軽減し、社会と自然にポジティブな影響を与えていくことを目指しています。

日産にとって重要な優先課題である気候変動への対応に向けては、2050年までに事業活動を含む製品のライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルの達成を目標として設定しました。「NGP2030」では、2030年までにバリューチェーンの中でも自動車会社としてまず責任を果たすべき、内製工場や製品からのCO2排出において、1.5°Cシナリオへの整合を目指します。さらに低CO2部材・リサイクル部材の調達や物流の電動化等も併せ、製品のライフサイクルにおけるCO2排出量を2018年比で30%削減することを目指しています。

日産は、「ニッサンエナジー・シェア」にも取り組み、移動可能な蓄電池として電気自動車の価値をさらに引き出します。「ニッサンエナジー・シェア」は、電気自動車用バッテリーの電力を、日産独自のエネルギーマネジメント技術や双方向充電技術を通じ、家やビル、社会とシェアする仕組みです。これにより、再生可能エネルギーをより効果的・安定的に利用できるようになり、日産が利用する電力だけでなく、社会の電力の低CO2化を促進します。

日産の環境分野における取り組みは高く評価されています。世界的に権威のある非営利団体CDPより、水セキュリティの分野における取り組みと情報開示において5年連続で「Aリスト」企業に認定され、また気候変動の分野においても11年連続で「リーダーシップ」企業に認定されました。こうした評価は、環境課題の解決に真摯に取り組む従業員の努力と献身の証と自負しています。

日産は人を中心とした企業として、従業員、サプライヤー、パートナー、そして社会が共に成長できるよう、インクルーシブなコミュニティを創造しています。私たちは今回、すべてのステークホルダーに対する理解、エンゲージメント、価値の創造に取り組む初めての包括的なソーシャルプログラム「NSP2030」を公表しました。

このプログラムは安全、品質、責任ある調達、従業員の人権尊重、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、地域社会など、日産にとって最も重要な優先分野に焦点を当てています。

ダイバーシティはコーポレートレベルから工場の現場に至るまで、組織全体を強く、レジリエントなものにしていきます。そのため、日産はDEIの取り組みを強く推進しており、グローバルで多様性を大きく前進させてきました。女性管理職の割合はグローバルで15.9%まで上昇し、製品開発の段階からお客さまとの接点に至るまで、日産ならではの強さを生み出しています。

日産は、高性能な次世代LiDAR(ライダー)技術を活用し、事故の低減に大きく貢献する車両制御技術の開発に取り組んでいます。さらに、NSP2030ではドライバーや歩行者への交通安全啓発活動などを推進し、事故低減に貢献します。

日産としてのもうひとつのコミットメントは、人権の尊重です。これは、日産の従業員が存分に力を発揮するための共通の価値観である「NISSAN WAY」が定める5つの指針のうちのひとつです。当社は昨年実施した内部評価に基づき、商品の安全性、AI、プライバシー、情報セキュリティにおける人権尊重の取り組みを強化します。取り巻く環境が急激に変化する中においても、これらの分野で業界のベストプラクティスに沿うことができるよう、取り組みをさらに加速していきます。

日産が掲げる「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」というコーポレートパーパスの実現に向け、NGP2030とNSP2030は重要な役割を担っています。サステナビリティへの取り組みをグローバルな日産全体で前進、加速させることで、将来世代のために、よりクリーンで安全、インクルーシブな世界と持続可能な未来の実現を目指します。

日産自動車株式会社
専務執行役員、チーフサステナビリティ オフィサー(CSO)

田川 丈二