人権ステークホルダーエンゲージメントの取り組み

日産は、人権をマテリアリティ(重要課題)の1つと定義し、高い優先度でこの課題に取り組んでいます。特にグローバルな自動車メーカーである日産は、多くのサプライヤーを含めた多様なステークホルダーと協業しており、ビジネスパートナーの人権も尊重しながらビジネスを行うことが求められています。

日産は、「日産人権方針」を定義すると共に、従業員の人権尊重に関する具体的な取り組み方を「日産グローバル人権ガイドライン」としてまとめ、いずれも社内外に公表しています。2021年度に人権に関するクロスファンクショナルチームを立ち上げ、人権デューディリジェンスやトレーニング、人権侵害に対するホットライン、社内外のコミュニケーションなど、広い範囲で取り組みを加速させています。

こうした取り組みの一環として、社内外の多様なステークホルダーとの対話を継続的に実施しています。いただいた意見を人権リスクの評価や報告、コミュニケーションを含めた人権領域の活動に反映させ、さらなる取り組みの強化を目指します。

2024年度

NPO法人 経済人コー円卓会議日本委員会主催のステークホルダー・エンゲージメントプログラム

通年プログラムに参加し、人権や環境を中心とした幅広い社会課題について、参加企業、NPO/NGO、学識経験者などと対話を重ねました。対話を通じて、人権問題が発生する背景や事業活動と人権との関わり、重要な人権課題、そして人権に配慮した事業活動の重要性について理解を深めました。また、脆弱な立場に置かれている可能性のある従業員(特に直接員)の意見を活動に反映するうえで、労働組合との連携が重要であることを認識しました。

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アムネスティ・インターナショナル国際事務局および日本支部

2024年11月、鉱物を含むサプライチェーンを中心とした日産の関連方針・ガイドライン、人権デューディリジェンスの取り組みについてご意見をいただきました。意見交換を通じて、社会からの要請への理解をより一層深めることができました。今後の方針改訂や取り組み強化に生かしていきます。

国際労働機関(ILO:International Labor Organization)

2024年10月、国際労働機関(ILO)と対話を行い、自動車業界への期待値として、社会対話(従業員や労使間の対話、進出先国の政府・労働組合との対話)の重要性が改めて求められていることを認識しました。これを踏まえ、人権に関する幅広いテーマについて、日産自動車労働組合とのエンゲージメントを行いました。

日産自動車労働組合

人権活動において最も重要な社内ステークホルダーである従業員を代表する組織として、日産自動車労働組合とのエンゲージメントを実施しました。

具体的には、2024年10月、労働組合を訪問し、中央執行委員長および中央書記長と人権に関する幅広いテーマについて対話を行いました。

日産からは人事、サステナビリティ推進部をはじめとする複数メンバーが参加し、苦情処理メカニズム、差別やハラスメント、ダイバーシティ、健康と安全などの人権関連課題について意見交換し、労働組合に届いた従業員からのリアルな声を聞く貴重な機会となりました。対話の内容を踏まえて、ハラスメント研修の実施など社内の改善に繋げていきます。また日産のみならず、自動車産業全体における人権意識の高まりを受け、労使関係をベースにした建設的な連携が重要であると、協力体制についても再確認しました。

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UNDP「ビジネスと人権」プロジェクト(日本政府支援事業)

2022年から毎年プロジェクトに参加し、人権専門家による集合研修などを通じて、UNGPへの理解を深めるとともに、自社の各取り組みの見直しを進めています。参加企業との間で、人権方針や人権デューディリジェンス、苦情処理メカニズムなどの体制整備、コミュニケーション、投資機関からの期待といったテーマについて議論を行いました。

2023年度

World Benchmarking Alliance(WBA)

2023年7月にCorporate Human Rights Benchmark(CHRB)を実施・公表しているWBAとのエンゲージメントを実施し、日産におけるCHRB結果の受け止め・利用状況(活動改善・レベルアップへの活用、WBAとのエンゲージメント実施による変化)、日産からWBAへの要望などについて、意見交換をしました。

公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本

2024年3月に国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」の日本支部である「公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本」との対話を行いました。「日産の人権尊重に関する方針」(当時)の策定・改訂プロセスへのステークホルダーの関与、対象スコープ、内容・重点分野、運用について、有益なご意見を頂くとともに、日産の人権への取り組みや自動車業界に対する期待などについても、多面的で示唆に富むフィードバック・アドバイスをいただきました。

2022年度

外部有識者との対話

2022年9月、国際労働機関(ILO: International Labor Organization)田中竜介氏、大阪経済法科大学 菅原絵美氏、弁護士 高橋大祐氏(日本弁護士連合会)、Global Compact Network Japan 氏家啓一氏の4名を日産本社にお招きし、日産としては初めてとなる「人権をテーマとしたステークホルダーエンゲージメント」を行いました。

さらに、翌2023年3月には、皆さまとのフォローアップセッションも開催し、その後の日産の取り組み状況を報告のうえ、再度意見交換を行い、活動に対する評価・フィードバックもいただきました。

UNDP「ビジネスと人権」プロジェクト(日本政府支援事業)

人権専門家による集合研修や個別ガイダンスなどを通じ、UNGPへの理解を深め、自社の各取り組みを見直し、展望を議論する機会を持ちました。(テーマ:人権方針、人権デューディリジェンスや苦情処理メカニズムなどの仕組み、コミュニケーションなど)。日産が、国際的に認められた人権を尊重する方針やマネジメント体制を持ち、部門横断的仕組みを構築し、人権課題へ取り組んでいることについて高く評価いただきました。また、潜在的な人権リスクへの言及、その影響度・優先度に応じた活動の強化、人権活動の情報開示を充実させることについて、アドバイスを受けました。