日産フォーミュラEチーム vs マンチェスターシティ

日産フォーミュラEチーム vs マンチェスターシティ: 両チームのデータ活用方法における違いとは

2025/04/18
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競技の世界では、はるか昔から、チームやコーチ、選手たちは勝利を得るためにさまざまなデータや、それに基づく確率を導き出し、活用してきました。技術の進化に伴い、その重要性は増し、データとスポーツはこれまで以上に密接に結びついています。

クリスティーナ マニャス フェルナンデス

日産フォーミュラEチームのパフォーマンス、およびシミュレーション責任者であるクリスティーナ マニャス フェルナンデスと、マンチェスター・シティ・フットボールクラブのパフォーマンスディレクターのサイモン ティムソンは、それぞれの役割におけるデータの活用方法と、意思決定におけるデータの役割について話し合いました。

日産フォーミュラEチーム

ティムソンは2020年7月から8回のプレミアリーグチャンピオンを務める同クラブの活動において、データが才能の特定、採用の意思決定、戦術、怪我の予防などに役立てられると説明しました。フォーミュラEでも活用方法は似ていますが、明らかな違いがあります。それは車両です。マニャスは「私たちには、アスリートであるドライバーと複雑な機械である車があります。データはその動作を理解し、改善が必要な箇所を洗い出すには不可欠な方法です」と述べました。

クリスティーナ マニャス フェルナンデス

アスリートの数も、サッカーとフォーミュラEの大きな違いです。大きな選手団で構成されるマンチェスター・シティは、所属するすべての選手のスキルを含むプロファイルを作成しており、これにより、コーチ陣は各試合においてフォームや怪我、対戦相手などの複数の要因に基づいて最適な11人を慎重に選ぶことができます。

ティムソンは、サッカーのゲームモデルに基づいて、20以上の異なる要素を数値化して選手のポジショナルプロファイルを作成していると説明しています。これにより、選手がどのようにチームに貢献できるかを明確に理解できるようになります。さらに、このプロファイルを使って新しい選手を獲得する際に、どの選手がチームに合うかを判断します。

一方、日産フォーミュラEチームのシーズン11(2024/25)のドライバーはオリバー ローランドとノーマン ナトーの2名(予備ドライバー1人)だけです。マニャスは「私たちは、各ドライバーのスタイルを理解することに集中し、その後パフォーマンスを引き出すセッティングの調整に取り組みます」と説明します。

マンチェスター・シティ・フットボールクラブ

シーズンに向けたすべての基盤が整うと、どちらも個別の試合に焦点を移します。フォーミュラEは数か月前に具体的なスケジュールを正確に把握していますが、特に近年のマンチェスター・シティの場合、シーズンの後半になると顕著に試合の重複が発生します。日産フォーミュラEチームはより多くの準備時間がありますが、実際のプロセスは両者とも似ています。

マニャスは「レースの準備は、約2〜3週間前から始まります。まず、コースの特性を把握し、より速く走る方法を探ります。その後、ドライバーとエンジニアが協力してセッティングの組み合わせを複数試し、最適解を見つけるためにシミュレーターで2〜3日間作業します。イベント会場に到着後は、最初のプラクティスセッションを利用して、期待通りのパフォーマンスを発揮しているかを確認します。コースをどう走行するかは、すべてのチームが同じ課題を抱えていますが、セッティングによりクリアできれば、予選とレースに向けての準備に集中できます」と説明しました。

ティムソンも同意し、「プロセスは似ていますが、私たちのデータが、コーチの意思決定に与える影響はフォーミュラEのエンジニアやドライバーに比べて限定的です。私たちは分析したデータをもとにマネージャーとコーチングスタッフは戦術や、対戦相手との相性、彼らの強みや弱点への対策を検討します」

その後は、選手たちがピッチとトラックでパフォーマンスを発揮することになりますが、分析はそこで終わりません。リアルタイムデータは、両スポーツにおいてイベントの結果に影響を与えるために頻繁に使用されます。

マニャスは「レース中は、多くの指標に基づいて意思決定を行います。ドライバーの意見から最適な変更を導き出し、数百万のデータと比較しながら、ドライバーの意志を優先して検討します。すべてのセッションの後、ドライバーと打ち合わせし、すべての指標を確認します。週末を通じて、セッションごとに進化していくのです」と述べました。

マンチェスター・シティ・フットボールクラブ

ティムソンは「モーターレーシングは純粋な人間のスポーツ、つまりサッカーよりもデータ活用において先進していると思います。私たちよりもリアルタイムデータが豊富で、レース中もパフォーマンス調整のために情報を活用することに熟練していますが、サッカーはまだその初期段階にあると思います。データを通じてチームや個人のパフォーマンスについて把握するのは限界がありますが、確実に進化しています」と説明しました。

サッカーとフォーミュラEは、アスリートの数や試合の頻度、機械の使用を考慮すると非常に異なるスポーツですが、究極のパフォーマンスを引き出すためには、両方にとってデータ活用は不可欠です。マニャスとティムソンは、プレシーズン、事前イベント、イベント中のすべての段階で適切なデータを提供する大きな責任を担っています。データ分析とその利用はスポーツにおいて定着しており、今後数年間で、マニャスやティムソンのような人々がそれぞれのチームにとってこれまで以上に重要な存在になることが期待されます。

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