第3世代e-POWER
e-POWERは日産独自の電動パワートレインであり、エンジンを発電専用とし、駆動はすべて電気モーターのみで行うシリーズハイブリッドシステムです。2016年の市場投入以降、その性能を進化させてきました。
e-POWER 進化の歴史


・第1世代e-POWER(2016~)
電気自動車「日産リーフ」のモーターを活用し、既存のエンジンを組み合わせることで、EVが持つ高い走行性能と、ガソリン車と同じ利便性を実現しました。
・第2世代e-POWER(2020~)
適用セグメントおよび仕向け地の拡大に向け、パワートレインのカバーレンジ拡大を図ってきました。従来は別体だったモーター・インバーターを一体にすることで小型化を実現しつつ、より高出力なエンジンとの組み合わせにより、SUVセグメントや高速巡行頻度の多い欧州市場への展開を進めてきました。また、発電性能に特化した、e-POWER専用エンジンも一部車種へ適用しています。
・第3世代e-POWER(2025 以降市場投入予定)
主要な5つの構成部品を軸構造を見極め統合一体化することで、コンパクト・軽量化に加えユニット自体の静粛性を向上した高効率な5-in-1を採用します。さらに、最新のe-POWER専用エンジンを組み合わせることで、第2世代e-POWER(キャシュカイ)比では、高速燃費を15%改善するとともに、室内静粛性も5.6dB向上しました。
第2世代比 (キャシュカイ)


技術の仕組み
e-POWERユニットの統合による小型化・剛性化
第3世代e-POWERは、モーター・インバーター・減速機・発電機・増速機をモジュール化(5-in-1)することで、軽量化や小型化、高剛性化を図りました。モジュール化することによるメリットを活かし、クルマ全体としての静粛性向上を実現しています。
- ユニット内部の回転物(モーターや歯車)の軸構造を最適化し、回転軸の振れ公差を小さくすることで、ユニット自体の振動を抑制

- ユニット全体の高剛性化により、車体の共振点とユニットの共振点の干渉を避けることで、車体に伝わる振動特性を改善

e-POWER発電専用エンジンの高効率化
日産は、新型電動ユニットの開発に加えて、100%モーター駆動であるe-POWERの特徴を最大限に生かす、e-POWER発電専用エンジンの開発を進めています。
e-POWERは100%モーター駆動のため、車速やアクセルの踏み加減に関わらず、独立してエンジンを運転させることができます。新型エンジンは、e-POWER専用設計化に伴い、燃焼室に入る空気流を安定させるとともに、STARCコンセプト※という、シリンダー内の燃焼を安定させる技術を採用しました。エンジンを発電専用に特化することで、最も発電効率が高く、高トルクな運転点における効率(燃費)をさらに向上させ、エンジンの熱効率を大幅に改善しました。
※ Strong Tumble & Appropriately stretched Robust ignition Channel