第3世代e-POWER
e-POWERはガソリンエンジンとモーターを融合した日産独自のハイブリッドシステムです。エンジンは発電専用で、大出力モーターのみで100%駆動するため、電気自動車そのものの走りを楽しむことができます。
第3世代では燃費と静粛性が大幅に進化
第3世代e-POWERは、車速やアクセルの踏み加減に関わらず、独立してエンジンを運転させることができるe-POWERならではの特長を活かした発電特化型エンジンと、主要な5つの構成部品を一体化し性能を高めた5-in-1 e-POWER電動ユニットを組み合わせ、燃費と静粛性を大幅に向上しました。
e-POWER 進化の歴史
進化のポイント
第3世代では主要な5つの構成部品を一体化した5-in-1 e-POWER電動ユニットと発電特化型エンジンにより燃費と静粛性が大幅に向上しました。
第2世代比 (キャシュカイ)
5-in-1 e-POWER電動ユニット
5-in-1はモーター、インバーター、発電機、減速機、増速機という構成部品を一体化したものです。第3世代となるこの電動ユニットは、電流量を増加させて高出力化し、エネルギーの損失を防ぐことによって、高効率化しています。
加速性能と電費の向上には、電流量を増加させて高出力化し、損失を抑制して高効率化することが必要です。5-in-1では、コイル線を隙間なく配置できる平角線コイルを採用し、大電流を流すことが可能となりました。また、インバーターは最新世代パワーモジュールを搭載し、効率的に放熱できる両面冷却構造とすることで、特に高速域での効率を向上させています。
モーター平角線
インバーター両面冷却
また、一体化により、剛性を高めることで、車体の共振点とユニットの共振点の干渉を避け、静粛性を高めるとともに、高精度な組付けが可能となり、モーターや歯車などの回転軸の振れ公差を小さくすることで、振動の発生も抑えました。
そして、3-in-1 EVパワートレインと部品を共用化することで、部品コストや生産コストの低減に寄与するだけでなく、EVとe-POWERの技術やノウハウを共用し、効率的により良い電動パワートレインの開発を推進します。
発電特化型エンジン
発電特化型エンジンは2種類あります。
エンジンを発電に特化して使うことができるe-POWERならではの特長を活かすことで、より高効率なエンジンを実現し、燃費を大きく向上させています。
発電特化型エンジン
ターボ搭載発電特化型エンジン(STARC燃焼)
エンジンの効率を上げるためには、圧縮比を高めることや、吸入空気に排気ガスをできるだけ多く混ぜるEGR※1の比率を高めることが重要ですが、一般的なエンジンの場合、走行シーンに応じて幅広い回転数を使用するため、燃焼を安定させることが難しくなります。
発電特化型エンジンでは回転数を一定に保つ定点運転ができることと、ロングストローク形状によりシリンダー内に強い流れ(タンブル流)を作ることで、高圧縮比・高EGR率でも安定した燃焼を可能としました。
また、ターボを組み合わせた発電特化型エンジンは、日産独自のSTARC※2コンセプトと大型ターボの搭載で燃費と出力をさらに向上させます。
STARCコンセプトとは、燃焼改善のためには、燃焼室内の点火プラグへの気流のコントロールが重要という研究の成果を具現化したもので、この技術では、気流を巧みにコントロールし、点火プラグの放電によるチャネルが安定して燃焼を導くよう設計されています。これにより、EGR率を高めても、安定した燃焼を可能とします。
具体的には、エンジンの吸気ポートにバルブシートを一体化させるコールドスプレー技術によって、理想的な吸気ポート形状を実現し、空気を勢いよく押し込んで強いタンブル流を作ります。さらに、ピストン上部の形状の工夫で圧縮時までタンブル流を保持し、強い火花で点火することで、安定した燃焼を可能とします。
また、大型ターボが、圧縮した排気ガスと空気をシリンダー内へ大量に送り込み、出力を高めるとともにエンジンの熱効率を向上します。
- Exhaust Gas Recirculation(排気ガス再循環)
- STARC(Strong Tumble & Appropriately stretched Robust ignition Channel)とは、日産が2021年に発表した高い熱効率を実現する燃焼コンセプト
