自動運転の未来、車内はコネクテッドの出番

2019/12/10
  • クルマ・技術
facebook
X
linkedin
mail

森美術館に出展されたコネクテッド(つながるクルマ)技術を応用し未来の自動運転を体験できるインスタレーション作品Invisible-to-Visible(I2V)。自動運転の未来で車内はどう変わるのか? 開発者が熱い想いを語ります!

Invisible-to-Visible(I2V)は、リアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合した3Dインターフェースを通じてドライバーに見えないものを可視化し、究極のコネクテッドカー体験を生み出す技術。2019年1月に「CES 2019」で発表されて以来、報道でご覧いただいた方も多いと思いますが、今回、森美術館で開催される「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」(2019年11月19日~2020年3月29日)に"アート"として展示されることになりました。

未来と芸術展のコンセプトは、AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方を考えるというもの。未来に影響を与えるテクノロジーのひとつとして、社会や人々に新たな価値を提供しようとしている「ニッサン インテリジェント モビリティ」が選ばれ、Invisible-to-Visible(I2V)がアート作品と並んで展示されることになりました。

日産が2013年から主催している「Nissan Art Award」の国際審査委員会の審査委員長でもある森美術館の南條史生館長は「日産の先進的な取り組みについて聞いていたこともあり、未来のモビリティをイメージできるような新しい技術を展示物として出展してもらえないかと私からお願いしたのです。技術と芸術の最先端を見せることで、今、世界で何が起こっているのかを探ろうというのが今回の展覧会の狙いです。バーチャルリアリティが日常に入ってきたらどうなるのか。クルマが自動運転や電動化によって毎日の生活やライフスタイルはどう変わるのか。そこを多くの人に感じてもらいたいと思っています」と今回の展示に大きな期待を寄せています。

「Invisible-to-Visible」の開発を担当した日産総合研究所のエキスパートリーダー上田哲郎は今回の出展の概要を次のように説明します。

本物を超えたリアリティこそが「Invisible-to-Visible」の本質

「Invisible-to-Visible」にはいろいろな要素がありますが、今回の展示に関しては、「車室内での新しいコミュニケーションをつくり出す」というのがコンセプトとなっています。ヘッドセットをかぶればクルマの助手席に瞬間移動。場所や身体といった制約を超えて自由にドライブができたり、クルマからの眺めを楽しむことができます。一方で、車室にはヘッドセットをかぶっている人のアバター映像をリアルタイムで表示。ドライバーは一人で運転していても、さまざまな人を助手席に招き入れてコミュニケーションできます。

CES 2019で発表したものとの大きな違いはディスプレイに半透明の素材を採用したこと。何も映し出されていないときはディスプレイの向こうにある景色が見えるので、ディスプレイの存在を意識することはありません。でも、コミュニケーションが始まると誰かが隣に座っている感覚を味わうことができる。ここまで表現できたことで「Invisible-to-Visible」はアートの領域に達したと言えるでしょう。

まもなくやってくる自動運転の時代に、重要になる価値の一つが車室内でのコミュニケーションです。「Invisible-to-Visible」による体験は非常にシンプルですが、重要なのは「仮想の技術は使っていても本物の人間同士がコミュケーションしている」ということです。つまりバーチャルな技術を使って空間、時間、身体といった制約を取り除くことで、本物を超えたリアリティを提供できるのです。

CESで発表してからこれまで、「Invisible-to-Visible」についてさまざまなバージョンをつくってきました。NTTドコモとは、第5世代移動通信方式(5G)を用いて「Invisible-to-Visible」技術を走行中の車両で活用する実証実験を開始しています。そして今回、アートの領域まで入ったということで「Invisible-to-Visible」の表現としては最終段階に入ったと考えています。今後は実用化のフェーズ。例えば、電話で行っているオペレーターサービスなどを大きく変革することも可能になるでしょう。そんな「Invisible-to-Visible」の革新性に触れることができる展示になっているので、ぜひ森美術館に足を運んで、未来の可能性を体感してください。

見所は半透明のディスプレイです。普通のディスプレイには電気信号を送るためにベゼルと呼ばれる縁がありますが、それさえもありません。半透明のベゼルレス・ディスプレイでここまで大きなものは世界でもあまりありません。もう一つ、隣に座るアバターはミスフェアレディをデジタルスキャンして忠実に再現していますので、まるで隣にミスフェアレディがいるような感覚でドライブを体験することができますよ。

森美術館の「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」での展示は、2020年3月29日まで開催されています。是非一度、足を運んでみてはいかがでしょうか?

ストーリーをシェアする

facebook
X
linkedin
mail

関連サイト

日産エンジニアのひらめき

日産エンジニアのひらめき

最新の日産ストーリーを受け取る

最新の日産ストーリーを受け取る

関連ストーリー

2019/06/19

リアルとバーチャルをつなぐクルマ

  • クルマ・技術

おすすめのストーリー

2024/08/27

品質へのこだわりが「INFINITI QX80」の生産チームの原動力

  • クルマ・技術
  • People
  • ものづくり

2020/07/15

新しいブランドロゴが、日産の新たな地平を開く

  • クルマ・技術

2023/02/08

移動だけじゃない!EVで給電も節電も防災も

  • クルマ・技術
  • 社会貢献