仕事において本当に大切なのは、何を知っているかではなく、
物事を違う角度から見て、新たな可能性を受け入れる柔軟な姿勢なのかもしれません。
私たちは誰もが、それぞれの経験を通して物事を見ています。その経験は、問題への向き合い方や人とのコミュニケーション、さらには「何ができるのか」という可能性の捉え方にも影響します。しかし、多様な人々が共に生き、働く世界では、自分自身の視点だけですべてを捉えることはできません。
多様性を尊重するとは、単に一人ひとりの違いを認識することではありません。互いに関心を持ち、自分の中にある思い込みに気づき、誰もが力を発揮できる機会をつくっていくことでもあります。
グローバル・ダイバーシティ・アウェアネス月間にあわせ、日産で働く8人の従業員が、オープンな心を持つことが、どのように自身の成長や仲間との関係づくり、そして誰もが活躍できる職場づくりにつながっているのかを語ります。
可能性に心を開く
多様性を尊重することは、誰かが限界を感じるところに、可能性を見いだすことから始まるのかもしれません。
カナダ日産でTreasury, Finance & Controlのシニアアナリストを務めるMaryam Afzalにとって、それは「今どこにいるか」だけで人を見るのではなく、その先にある可能性に目を向けることです。
パキスタンで育ったMaryamは、経済的な困難に直面する中で、自ら機会をつかみにいくことの大切さを学びました。フルブライト奨学金を獲得し、資本市場でキャリアを築いた後、日産に入社しました。
「知らないことがあれば、学べばいい。問題が複雑に見えたら、小さく分けて一つずつ取り組めばいい」
そんな彼女の考え方に影響を与えたのが、ある同級生の存在でした。かつてギャングに関わっていたその同級生が人生を大きく変え、最終的にファイナンスの修士号を取得する姿を目にしたことで、人の可能性を過去だけで判断してはいけないという思いを強くしました。
ブラジルの日産レゼンデ工場でProduction Supervisor and Master Trainerを務めるJuliano Rodriguesも、自身のキャリアを通じて、人が持つ可能性の大きさを実感してきました。
Production Operatorとしてキャリアをスタートし、Senior Touch-up Technicianを経て、人材育成を担う仕事へ。メンターであるAndré Castilhoとの出会いを通じ、自身の可能性に気づくとともに、知識を人に伝えることの価値を学びました。
「人は変わり、成長できると信じています。知識を共有し、人を育てるために時間を使うことは、その人の成長だけでなく、私たち自身の成長にもつながります」
現在は、仲間が自信を持って活躍できるよう、その成長を支えています。
二人のストーリーが教えてくれるのは、可能性にはさまざまな形があり、それを引き出すきっかけの一つが、先入観にとらわれない姿勢だということです。
自分とは異なる視点に心を開く
異なるバックグラウンドを持つからこそ、思いがけない共通点が見つかり、新たなつながりが生まれることがあります。
米国の日産スマーナ工場でProduction Manufacturing MaintenanceのSpecialistを務めるDevin Webbは、肩書きだけで人を見るのではなく、その人自身を知ることが、強い関係を築く第一歩だと考えています。
「私たちは何よりもまず、一人の人間です。お互いの共通点を見つけることが信頼につながり、チームワークを強くし、一人ひとりがありのままの自分でいられる環境をつくってくれます」
テネシー州メンフィス出身のDevinは、仕事だけでなく、同僚一人ひとりの生活や人となりにも関心を持つことで、つながりを築いています。
また、製造現場の知識をより多くの人が活用できるよう動画コンテンツの制作にも取り組むほか、スマーナ工場の従業員リソースグループBlack Employees of Nissan(BEN)のアンバサダーとして、さまざまなバックグラウンドを持つ仲間同士をつなぐ活動にも携わっています。
一方、横浜のグローバル本社で商品ラインアップ戦略を担当する田中 未来は、アフターセールス、グローバルブランド戦略、商品企画での経験を通じ、異なる視点を尊重することの大切さを学んできました。
部門や地域を越えて仕事をする中で、それぞれが異なる優先事項を持ち寄ることが、より良いビジネス上の判断につながることを実感しています。
「最も価値のある貢献とは、自分が答えを示すことではなく、チーム全員で答えを見つけられるようにすることなのかもしれません」
結論を急ぐのではなく、それぞれの意見の背景にどのような考えがあるのかを理解し、共通点を見つけることを大切にしています。
Devinと田中のストーリーは、同じ考え方でなくても、同じ方向へ進むことはできる。そして、一人ひとりの異なる視点があるからこそ、より広い視野で物事を捉えられることを教えてくれます。
これまでのやり方にとらわれない
インクルージョンを実現するためには、一人ひとりが十分に参加し、力を発揮できるよう、それぞれに合った方法が必要な場合があります。
メキシコの日産アグアスカリエンテス工場でDoor Line AssemblyのProduction Supervisorを務めるMariana Lunaは、その考えを日々の仕事の中で実践しています。
メキシコ手話を使用するチームメンバーをサポートするため、視覚的に理解しやすい研修資料の導入や、コミュニケーション方法の工夫に取り組みました。
「コミュニケーションは、言葉だけで行うものではありません。身ぶりやサイン、あるいは相手への敬意を示すこと。それだけでも、その人が受け入れられていると感じ、持てる力を十分に発揮するための大きな助けになります」
この経験から、これまで当たり前だと思っていた仕事の進め方を見直すことで、相互理解が深まり、協働が促され、より多くの人がそれぞれの力を発揮できることを学びました。
中国のLegal DepartmentでActing Assistant Managerを務めるDu Xiaoyeにとって、オープンな心を持つとは、言葉だけにとらわれず、その奥にある相手の本当のニーズを理解することです。
法務のプロフェッショナルであり、働く母親でもあるXiaoyeは、言葉の背景にある相手の思いに耳を傾けることを大切にしています。ビジネスパートナーから契約条項について異論が出たときも、相手が何を重視しているのかを考え、法的なリスクを実務的な解決策へと置き換えることで、議論を前へ進めています。
「相手の意見を止めるのではなく、“翻訳する”ことを自分の役割にしています。5歳の娘も、本当に伝えたいことをいつもそのまま言葉にできるとは限りません。だからこそ、言葉の奥にある『本当は何を求めているのか』に耳を傾けるようになりました」
また、広州オフィスに着任した際には、同僚たちがランチやグループ活動に誘い、自然に輪の中へ迎え入れてくれました。その経験から、今ではXiaoye自身が、新しく加わったメンバーに積極的に声をかけています。
MarianaとXiaoyeのストーリーが教えてくれるのは、違いを尊重するとは、ただ受け入れるだけではないということです。相手に合わせて自分たちのやり方を柔軟に変え、誰もが力を発揮できる環境をつくる。その理解を行動に移していくことが大切です。
学ぶことに心を開く
新しい視点との出会いは、これまで知らなかったことを学ぶ機会にもなります。
中国・Beijing R&DのTechnical Affairs Group(Regulatory)で働くChen Yuchenは、好奇心を持つことを仕事でも大切にしています。
キャリアの早い段階で先輩から受けたアドバイスをきっかけに、規制要件そのものだけでなく、その背景にある意図まで考えるようになりました。
現在は、さまざまなバックグラウンドを持つ同僚にとって、より理解しやすく、活用しやすいレポートづくりにもその考え方を生かしています。また、アジェンダテンプレートを使った3カ月間のトライアルを実施し、会議時間の半減にもつなげました。
「支え合えるチームがあれば、“知らないこと”は怖いものではないと気づけます。みんなで力を合わせて問題を解決できるからです」
タイ日産でSupply Chain Management Vehicle LogisticsのGeneral Managerを務めるPiyamon Thongnakも、新しい領域から学ぶことの価値を実感した一人です。
2019年、生産現場への理解をさらに深めるため、それまで専門としてきたサプライチェーンの領域からProduction Planningへ。周囲のメンバーから知識や経験を学びながら、新たな業務への理解を深め、お客さまのニーズと生産計画のつながりを、より広い視点から捉えられるようになりました。
「優れた成果は、チームワークから生まれます。異なる視点や経験、専門性を持つ人たちが力を合わせることで、より良い解決策を生み出すことができます」
YuchenとPiyamonのストーリーが示しているのは、学びに境界はないということです。好奇心を持ち続け、それぞれが持つ知識を共有することで、一人ひとりの違いをチーム全体の力に変えることができます。
異なる視点が、より大きな可能性を生み出す
今回紹介した8人は、それぞれ異なる文化や能力、キャリア、専門性、人生経験を日産に持ち寄っています。一人ひとりのストーリーは異なりますが、そこから見えてくるのは、互いに心を開くことで、私たちの可能性はさらに広がるということです。
ダイバーシティは、異なる視点をもたらします。
エクイティは、一人ひとりが必要な機会やサポートを得られるようにします。
そしてインクルージョンは、誰もが力を発揮し、成長し、自分らしくいられる環境をつくります。
そのすべてをつなぐのが、オープンな心です。
それは、相手に問いかけること。自分の思い込みを疑ってみること。相手に合わせて自分たちのやり方を変えること。そして、相手を理解するために時間をかけること。そうした日々の行動の中に表れます。
同じ経験をしていなくても、互いから学ぶことはできます。すべての意見が一致しなくても、より良い答えを一緒に見つけることはできます。
そのために必要なのは、自分自身の視点から一歩踏み出し、物事を違う角度から見てみようとする姿勢です。
日産では、一人ひとりの違いが、私たちの強さにつながっています。好奇心と敬意、そしてオープンな心を持って互いの違いを受け入れることで、すべての人にとって、より多くの可能性を生み出すことができます。