フロンティア プロからテラノへ。日産の次のアイデアをかたちにする若きデザイナー

レイ ボーヤン

レイ ボーヤンは、日産デザインチャイナ(NDC)でエクステリアデザイナーとして働いています。インターンとして日産に加わった彼は、日産「フロンティア プロ」のコンセプトカーと量産プロジェクト、そして「テラノPHEVコンセプトカー」のエクステリアデザインに携わり、自分のアイデアを実際のクルマへとつなげてきました。若手デザイナーの発想が、チームの力によって磨かれ、一台のクルマへと形づくられていく。その歩みを紹介します。

レイ ボーヤンがインターンとして日産デザインチャイナにやって来たとき、彼はまだ、プロのカーデザイナーとして働くとはどういうことなのかを学んでいる途中でした。

大学時代のボーヤンは、一枚のスケッチをじっくりと描き込み、納得いくまで磨き上げることに慣れていました。一本一本の線にこだわることが、彼にとってのデザインでした。しかし、プロのデザインスタジオで求められることは少し違いました。多くの可能性を素早く探り、自分の考えを言葉で伝え、さまざまな分野のメンバーと協力しながらアイデアを磨きあげていくことが必要だったのです。

一人で一枚の絵を磨き込むところから、チームと一緒にアイデアを育てることへ。その変化は、ボーヤンの日産での歩みに大きな影響を与えました。そしてその経験は、日産 フロンティア プロのコンセプトカーに向けたエクステリア提案から、テラノPHEVコンセプトカーでの重要なデザインの役割へとつながっていきました。

若きデザイナーのスケッチからフロンティア プロへ

ボーヤンにとって、フロンティア プロは単なる大きなプロジェクトではありませんでした。若手デザイナーのアイデアが、世界に向けた一台のクルマを形づくる力になることを証明するものでした。

フロンティア プロのプロジェクトが始まった当初、各デザイナーは社内デザインコンペに向けて提案を作成しました。数多くのアイデアの中からボーヤンのスケッチが選ばれたのは、ピックアップに求められる力強さと、日産の伝統的なデザイン要素の両方を表現していたからです。中国から世界へ展開することを目指すクルマにとって、そのバランスは重要でした。この提案は、中国の若手デザイナーが、日産のグローバルなピックアップデザインに新鮮な視点をもたらすことができることを示しました。

しかし、選ばれたことは始まりにすぎませんでした。本当の挑戦は、二次元のスケッチを、人々が実際に見て、触れて、体験できるクルマへと変えることでした。ボーヤンのフロントエンドのアイデアは、ボディ・オン・フレーム構造のピックアップが持つ強固さから着想を得た、力強い2本の縦型ヘッドライトを中心に構成されました。また、歴代の日産ピックアップを振り返り、3つのエアインテーク要素を抽出して、それぞれ独立した3つの発光ディテールへと進化させました。これらの要素が組み合わさることで、力強くモダンでありながら、日産のヘリテージとのつながりを感じさせるフロントフェイスが生まれました。

ボーヤンが目指したのは、冷たい機械を超えた存在をデザインすることでした。ガンメタルグレーのロアバンパーや機能性を意識したエクステリアなどのディテールを通じて、フロンティア プロにピックアップらしい力強さ、ファッション性、そして最新技術を融合させようとしました。彼の考えでは、一本一本のラインが、信頼でき、冒険心にあふれ、ひと目で親しみを感じられる「温かみのある探検者」のようなクルマを形づくるものであるべきでした。

その考え方はキャビンにも受け継がれました。風と砂によって形づくられた砂漠の岩層から着想を得た温かみのあるグレートーンが、インテリアに安定感のある落ち着いた基調を与えています。黄色のアクセントはゴビ砂漠に沈む夕日の温もりと生命力を表現し、チタンのディテールは技術的な精密さと大胆な革新性を感じさせます。その結果、アウトドアでの冒険にすぐ出かけられる雰囲気を持ちながら、快適性、静粛性、そして上質なくつろぎも提供するインテリアとなりました。

F若きデザイナーのスケッチからフロンティア プロへ

最初のチャンス

インターンシップは、遠い存在に思えた夢を、実際のプロジェクト経験へと変えてくれました。

ボーヤンがカーデザインに興味を持ったきっかけは、とてもシンプルな憧れでした。学生時代、未来的で大胆なクルマを描くデザイナーたちの姿を見て、この仕事は楽しそうだと感じたのです。一方で、日産デザインチャイナは、当時のボーヤンにとって憧れのデザイン拠点であり、自分には少し遠い場所のようにも思えていました。

その印象が変わったのは、日産デザインチャイナでインターンとして働く機会を得たときでした。参加して間もなく、ボーヤンはコンセプトカーのプロジェクトにアイデアを出す機会を与えられます。初めて、自分のスケッチが実際の車両デザイン案として検討されることになりました。

  • 「グローバルデザインセンターのリーダーの方々が私の提案にコメントをくれたことは、忘れられない経験です。あのとき初めて、自分もカーデザイナーなのだと実感しました」
展示会の様子と、インタビューで紹介された車両デザイン

より速く考えることを学ぶ

初期の大きな挑戦は、どこまで描き込むか、そしていつ次の可能性を探りにいくかを見極めることでした。

学生時代のボーヤンは、一つのスケッチを完成形に近づけるまで丁寧に描き込むことに慣れていました。しかしスタジオで学んだのは、初期のアイデアに必要なのは完璧さではなく、可能性を広げる力だということでした。

先輩デザイナーたちは、発想と仕上げを分けて考えることを教えてくれました。まずはシンプルで自信のある線で、アイデアの核心をつかむこと。そして方向性が見えてから、面やディテールを磨き込んでいくことです。

その学びは、単に描くスピードを上げるだけではありませんでした。未完成のアイデアを共有し、フィードバックに耳を傾け、議論を通じてデザインを進化させていくことへの自信にもつながりました。

  • 「先輩デザイナーは、ただ指摘するだけではありません。導き、励まし、成長する余地を与えてくれます」

ボーヤンのクリエイティブな視点:スケッチブックに入るもの

仕事の外では、ロードトリップやキャンプがボーヤンにとってインスピレーションの源になっています。岩肌の奥行き、遠くまで広がる地平線、力強い自然の風景、そして実用的なキャンプギア。そうした日常の体験が、後にクルマのデザインへとつながる形や素材、考え方のヒントになります。

フロンティア プロのプロジェクト

一枚のスケッチが前へ進む

テラノのショーカー・プロジェクトで、ボーヤンの提案は選ばれ、最終段階まで残りました。

テラノのプロジェクトは、ボーヤンがこれまで学んできたことを実践する機会となりました。彼の提案は、スクエアで安定感のあるスタンス、力強い水平基調のライン、そして大きく張り出したショルダーという、エクステリアの中心となる考え方を示していました。

テラノのプロジェクト

目指したのは、信頼感があり、まっすぐに立つような印象を持ちながらも、開放的で個性があり、親しみやすいクルマでした。しかし、提案が選ばれたことで終わりではありません。そこから、より大きな協働のプロセスが始まりました。リーダー、エクステリアデザイナー、CMF(Color, Material, Finish)スペシャリスト、エンジニア、モデラーが話し合いを重ね、ボーヤンのキースケッチが持っていた感覚を、より詳細で技術的に成立するデザインへと育てていきました。

テラノのプロジェクト
  • 「それはもう、私だけのアイデアではありませんでした。プロセスを通じて、一枚の個人的なスケッチが、みんなでつくり上げた成果になりました」

テラノのラバオレンジのカラーは、中国西部のレッドキャニオンのような自然の風景から着想を得たもので、クルマにより冒険心のあるアウトドアの表情を与えています。ボーヤンにとって、このような大胆な色を選ぶことは、プロジェクトで得た創造の自由の表れでもありました。自らのアイデアに挑戦し、それをチームとともに形にしていく自由です。

もしこのクルマを人にたとえるなら、と聞かれたボーヤンは、まっすぐで信念があり、明るくおおらかで、強い存在感と洗練された佇まいを持つ人物を思い浮かべました。

その個性は、クルマのプロポーションやデザイン言語の中で表現されています。スクエアで安定したスタンス、力強い水平ライン、ワイドなショルダーで信頼感を伝え、明るく開かれたフロントフェイスで親しみやすさを演出し、さらに大胆でありながら洗練されたシルエット、ライティング、カラー、素材によって独自性を際立たせています。

コンセプトカーが実際のかたちになった姿を見たことで、ボーヤンのデザインに対する責任感も変わりました。

一枚のスケッチから始まったものが、人々が隣に立ち、見て、体験できる存在になったのです。それは、デザインとはアイデアを生み出すだけでなく、人がつながりを感じられるものを形にすることでもあると、彼に改めて気づかせてくれました。

  • 「クルマを単なる機械ではなく、信頼できる、冒険心のある相棒のように感じてもらいたいです」

過去と未来の両方を見つめる場所

日産デザインチャイナのオフィスからは、上海の陸家嘴スカイラインと、外灘の歴史的な建築を同時に見ることができます。現代性と歴史が、同じ景色の中に並んでいるのです。

その景色は、ボーヤンというデザイナーの姿にも重なります。自らの経験からヒントを得て、周りの人から学び、さまざまな影響を一つの明確なアイデアにつなげようとする姿です。

ボーヤンにとって、日産デザインチャイナは「探求することを信頼され、成長する刺激を受け、アイデアを実際のクルマへとつなげることを支えてくれる場所」です。

ボーヤンはまた、日産デザインチャイナが地域やグローバルのプロジェクトに独自の視点をもたらせるチームだと考えています。中国ならではのスピード感、若い感性、EVやスマート技術、若いお客さまへの深い理解。そうした力は、日産が世界で認識されながらも、それぞれの地域に寄り添うデザインを生み出すことにつながると感じています。

過去と未来の両方を見つめる場所

ボーヤンをもっと知る4つの質問

理想の週末

友人とのドライブ旅行とキャンプ

意外なデザインの参考

モジュール性と耐久性のあるキャンプ用品

スケッチで最初に大切にすること

プロポーション、スタンス、キャラクター

モチベーションの源

一人のアイデアが、みんなでつくる実際の成果になること

理想の週末

友人とのドライブ旅行とキャンプ

意外なデザインの参考

モジュール性と耐久性のあるキャンプ用品

スケッチで最初に大切にすること

プロポーション、スタンス、キャラクター

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一人のアイデアが、みんなでつくる実際の成果になること

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