クルマの健康診断

それは、まるでCTスキャンのようにクルマの状態を把握し、修理をサポートするツール。「CONSULT」を使えば、クルマを瞬時に“健康診断”。故障箇所の早期発見と適切な対応が、日産車の品質を高めている。

日産のディーラーなどで使用される「CONSULT」は、クルマの車載コントロールユニットと車両情報のやり取りを行い、電装システムの状況を教えてくれる故障診断機。CONSULTの意義は、お客様のクルマを「確実に」「1回で」「適切な時間」で整備、修理すること。というのも、近年、カーテクノロジーの進化とともに部品の電子化が進み、クルマの内部構造はブラックボックス化。目に見えない不具合把握に役立ち、修理作業をサポートしてくれるのがCONSULTだ。その使い方は簡単。ケーブルを運転席のダッシュボードの下にあるコネクタに差し込み、PCを起動。インストールされた専用ソフトウェアのメニューに従いクルマをスキャンすると、トラブル内容と対応方法を記したマニュアルが表示される。CONSULTは、このケーブルやソフトウェアなどを含む総称。日産は、CONSULTとテクニカルスタッフがスクラムを組み、世界中のあらゆるディーラーで高水準のアフターサービスを提供できるようになっている。

2010年に誕生した最新のクルマの“健康診断”マシン「CONSULT-Ⅲ Plus」。お客様のクルマを「確実に」「1回で」「適切な時間」で整備、修理することがCONSULTに課せられた大切な任務。

迅速、直感を目指した最新CONSULT

CONSULTの最新機種が、2010年に誕生した「CONSULT-Ⅲ Plus」は、車両を点検する機能に加え、イモビライザーキーの登録作業やソフトウェアのアップデートなどさまざまな作業に対応した。こうした進化は、日本国内のディーラーや海外の主要市場で、実際にCONSULTを使用するテクニカルスタッフたちの意見をリサーチし、試作を重ね完成にこぎ着けた。CONSULT-Ⅲ Plusの新たな特徴のひとつが、診断結果をプリントアウトできるようになった、いわばクルマのカルテ機能だ。プリントアウトしたクルマのカルテを使うことで、クルマやメカに詳しくないお客様でも、整備や修理への理解が深まるようになったのだ。お客様に安心・満足いただけるコミュニケーションツールとしての新たな役割が、CONSULTに生まれている。

初代CONSULTから最新機種のCONSULT-Ⅲ Plusまで手がけてきたGASチームの後藤博尚。手に持つのが初代CONSULT。レガシー対応やカルテ機能など、コンサルトの進化を牽引してきた人物。

お客様のクルマの症状を的確に表示する努力

CONSULTは、開発を担当したサービスエンジニアリング部と電子アーキテクチャ開発部の創意工夫と努力の結晶と言える。その努力の成果は、お客様に説明する際に使用するイラストに垣間見ることができる。CONSULTからプリントアウトしたカルテは、お客様が直接目にされる部分。ここで手を抜いては、お客様の理解や信頼は得られないと考え、世界中の日産車を把握することに注力し、OEM車を含む全車種にCONSULTを対応させたことは開発チーム最大の自慢である。
また、適切な手順で修理・点検を実施するために、すべての国で販売されている日産車の仕様の情報を集め、12カ国語で診断内容と点検方法のマニュアルを表示できる。所要時間も、CONSULT-Ⅲ Plusでは分析を開始してから結果を表示するまでわずか50秒と大きな進化を遂げている。
お客様の理解を深めるカルテとして、さらに、車載コンピューターのプログラム書き換えにも使われるなど、CONSULTの重要性が高まる現在。歴代のあらゆる車種に対応できる互換性を持つCONSULTがテクニカルスタッフの迅速な診断を可能にし、お客様のメリットにもつながっている。開発チームのたゆまぬ努力によって、CONSULTはテクニカルスタッフにとっての使い勝手を高め続け、クルマのアフターサービス向上に大きく貢献。お客様が安心してクルマに乗ることができているのは、メンバーたちの努力があってこそなのである。
彼らが必死になって開発に取り組むのは、アフターサービス向上の先に、お客様が安心して使用できる高品質なクルマがあると確信しているから。健康診断と同様に、早期発見や適切な処置こそがアフターサービス品質を高めると信じだれもが使えるCONSULTの開発を目指し、メンバーたちの努力は今日も続く。