2024.3.21

テクノロジーの進化と変化点を探り、未来における“人々の生活のありよう”を描くプロジェクト「Tech Trend Lab 2023」活動報告

プロジェクトの概要と狙い

2023年度、日産自動車株式会社総合研究所は、トリニティ株式会社が企画・運営する共同研究「Tech Trend Lab2023」に参加し、異業種の2社と共に、テクノロジーの進化と変化点を探り、未来における「人々の生活のありよう」を描く共同研究を実施しました。

「Tech Trend Lab」では、それらテクノロジーがもたらす生活者への影響および、その背景にあるテクノロジーの進化と変化点を、専門性やバックグラウンドの異なるメンバーが共に考え、読み解くことで、未来の生活のありようを自分たち自身で描き出すことを目指しています。

プロジェクトにおけるアプローチ

プロジェクトにおけるアプローチ

・第1章:テックトレンド共有 現地取材を含む、各種テクノロジー展示会(CES、SXSW、MWCなど)の最新動向と、未来の生活への影響についてトリニティが分析し、レポートにまとめました。
今年はテックトレンドとして、「サステナブルはビジネスの根幹に」、「人との関係性・体験にシフトするEV」、「Digital Health:予防医療とメンタルヘルス」といった、全13のトピックに関する発表が行われました。
その後、参加者全員でテックトレンドレポートの内容についてディスカッションし、今年度の第2章で取り組むテーマとして、「スポーツテック」が選出されました。

・第2章:技術年表作成と個別技術分析 第1章のレポートを基に、自分たちで掘り下げるべき、進展著しい特定領域/テーマを「スポーツテック」に設定しました。その後、宿題として各自スポーツテックに関する情報収集を行いました。
オンラインで実施された第1回スポーツテック技術年表制作ミーティングでは、各自の宿題を共有し、収集した情報を関連するテーマに沿って仕分けし、スポーツテックをどのような切り口で時系列に並べて分析するかを議論しました。
議論を経て、“スポーツへの関わり方”による分類として、『する』『みる』『ささえる』『つくる』の4つのカテゴリーで分類し、過去から現在、そして近未来に至るまでの年表を作成することにしました。
各社が手分けして、これらの分類に沿った技術年表の仮説シナリオをいくつか宿題で考案し、第2回のオンラインミーティングで4つのカテゴリーの骨子をまとめました。
その後、テックトレンドレポートとスポーツテックの技術年表の調査から、「空間演出技術」と「コミュニケーションツール・コラボレーションツール」の技術分野がピックアップされ、これらの分野における最新の技術動向について情報収集しながら、注目の動向をレポートにまとめました。

・第3章:読み込みワークショップ 第2章のテーマを基に、参加者全員で未来シナリオ開発のための具体的なテーマを協議し、「2035年、未来のスポーツジム」と設定しました。3社混成の3チームに分かれ、「未来のスポーツジム」のシナリオを考案しました。
1回目のワークショップで各チームがどのようなテーマでシナリオを考えるか、そしてその骨子や主人公、登場人物について検討し、シナリオイメージのすり合わせをしました。その後、宿題として未来のショートストーリーを作成しました。
2回目のワークショップで、各自が持ち寄ったショートストーリーを繋ぎ合わせ、技術の影響を考慮しながらシナリオを練り上げ、各チーム『2035年、未来のスポーツジム』の未来シナリオを完成させました。
Aチームは、「移動するジム アポロチェーンのMoogy」と題し、家族それぞれがアドレスホッパーという未来の家族のかたちを描きながら、それを繋ぐ存在としての移動するジムを描き、移動ジムを通してサーキュラーな社会を築く世界観を描きました。
Bチームは、「日常に溶けこむサーキュラージム、Muscle-Work」という、公共機関である電車の車輛にジムが誕生し、健康的な循環社会を形成するという、ビジネスモデルに落とし込まれたシナリオを考えました。
Cチームは、「パートナーとの毎日がジム」と題し、パートナーロボット(ウサギ型)が主人公(ヒト)の心身の健康管理をサポートする姿を具体的に描き出しました。

・第4章:未来シナリオの漫画化 最終発表会でCチームの「パートナーとの毎日がジム」が最優秀シナリオに選ばれ、漫画化されました。
わずか1ヶ月の短期間で、キャラクターデザイン、ネームの制作が行われ、Cチームメンバーからのフィードバックを2度ほど経て完成に至りました。
漫画にすることで最初は頭の中にしかなかったイメージがわかりやすく具体化されたことに、メンバーからは大きな驚きと共に感動の声が上がりました。

プロジェクトでのアウトプット

・1.テックトレンドレポート

テックトレンドレポート

・2.スポーツテックの技術年表と個別技術

スポーツテックの技術年表と個別技術

・3.未来のスポーツジムのシナリオ

未来のスポーツジムのシナリオ

・4.未来スポーツジムの漫画

未来スポーツジムの漫画

参加者からの声

●テクノロジーが未来において人々の生活にどのような影響を与えるのか、多視点で考え描くことができた。
●自社に関連した技術以外に対しても、異業種の視点から知見を広めることが出来た。
●異業種企業と約6ヶ月間、同じテーマで調査や議論を重ねることで、通常は築くことが難しい密接な関係性を構築することができた。