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活動レポート
「日産NPOラーニング奨学金制度」第8期終了報告(2006/07/04)
第8期修了式・第9期スタートアップセミナー
活動報告 土橋泰智さん

一人一人の人間としての係わり合い

国際協力と聞くと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。貧しい国へ行って井戸を作り、学校を作る。それも立派な国際協力です。しかし、海外で活動するだけでは国際協力は成り立ちません。海外での活動を支える日本の人々の思いがあって始めて、途上国の貧困や災害からの復興を支援できるのです。私が去年ここにいて学びたいと思っていたことは日本の人々の思いと途上国の人々をどのようにつなげるかでした。今回国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンでの活動を通じて、日本の人々に途上国の人々がおかれている現状をどのように知ってもらうのか、そして現状を知ることで日本の人々の中に生まれる貧困にあえぐ子供たちを助けたいという思いをどのように途上国の人々に届けるのかを半年間学ぶことが出来ました。その半年間は私の人生にとってとても大事な期間になりました。


 

私が具体的に関わった活動はワールド・ビジョンが世界的に展開しているチャイルド・スポンサーシップというプログラムでした。内容は毎月一定の額を日本の方々に支援をしていただき、それを元にしてワールド・ビジョンがアジア、アフリカ、ラテンアメリカの途上国で村の栄養状態の改善や学校の補修などを行うというものです。日本の方々はただ単に金銭的な貢献をするだけではなく、支援している地域の子供たちと手紙を交換し、時には実際に訪れて支援の効果を実感し途上国の現状を理解する機会を持ってらっしゃいました。


 

私はそのプログラムでも特に将来的に支援者になる可能性のある方々に電話をかけて、それぞれの方々の困っている子供たちを助けたいという思いを聞き、プログラムに対しの疑問などにお答えする業務のお手伝いをさせていただきました。最初は見知らぬ人に電話をかけて話をするだけも私にとっては大変で、心臓が痛くなりましたが、次第に慣れてきて、お話をしている方々一体何を考えているのだろうとか、一体どうしてこのプログラムに興味を持ったんだろうなど様々な点に興味が行くようになりました。そして電話を通じて全国の「困っている子供たちを支援したい」と言う方々の声を聞いて感じたことは、日本中に誰かを助けたいという意志があるのだと言うことです。ただ多くの方々が自分たちの思いを具体的にどのような行動に結び付けていいのかわからないという戸惑いを感じてらっしゃることも電話を通じたお話からわかりました。同時にチャイルド・スポンサーになることで子供たちと交流することに大きな期待を抱いておられる方もたくさんいらっしゃいました。日本政府や国際機関が途上国で様々な支援活動を実施して入るけれども、そういった活動はどちらかと言えば普通の人の生活からかけ離れた場所で行われていて実際にその効果を感じるのはとても難しい気がします。途上国の子供と手紙を交換し交流することで、遠い存在だった援助の活動をより身近に感じたい、そしてその効果を具体的に見てみたいという日本の人々の思いを強く感じました。

 

支援者の方々のお話を聞くと同時に、インターン期間中に支援を受けていたインドの元チャイルドのお話を聞く機会もありました。この方のお話を聞いてワールド・ビジョンが実施しているプログラムが実際に途上国の人々にとって大きな力となっていること、そして支援を受けている人にとって支援者の方々の存在がどれだけ大きいものなのかを実感することが出来ました。元チャイルドの方が住んでいた地域は支援を受けて生活環境が大分良くなり、彼女自身も教育を受ける機会が与えられ、今ではワールド・ビジョンのスタッフとなっていました。また彼女の話でとても印象的だったのが支援者の方々との交流の部分で、「支援者の方からもらった手紙は宝物です」と言っていたときの彼女のうれしそうな表情がとても印象に残っています。そこにはただ「支援する-される」関係だけではない、一人一人の人間としての係わり合いがあるのだと言うことを実感しました。

 

インターンでの経験を通じてこの一人一人の関係をつないでいくワールド・ビジョンや様々な機関での活動に将来もかかわりたいという思いがそれまで以上に強くなりました。これから自分が何らかの形で貢献できるようになるまで精一杯自分のキャリアと力量を培っていきたいと思います。

また第9期の方々、本当にうらやましいです。私も出来ることならもう一度奨学生として多くのことを学びたかったです。皆さんがこの機会で最大限の成果を上げられるように祈っています。そしてこのような貴重な機会を与えて下さった皆様に感謝しております。ありがとうございました。







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