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活動レポート
「日産NPOラーニング奨学金制度」第8期終了報告(2006/07/04)
第8期修了式・第9期スタートアップセミナー
活動報告 加藤友佳子さん

想いをカタチにする経験

「あなたと私が組み合わさると、いったいどんな響きが生まれるのかな」
そんな想いを感じる私のNPOでのインターン生活でした。

私がこの度インターンをさせていただいたのは、NPOの支援をするNPOである中間支援組織。宝塚NPOセンターのみなさんがその自分達の役割や職場を「カフェ」と表現されていたように、そこはまさにあらゆる想いを持つ人々が集まってくる場でした。試行錯誤しながらも本当に活き活きと活動されている方ばかりで、こころからの笑顔に出逢うことの連続でした。


 

子ども・環境・地域などそれぞれの想いの対象を持ち、それぞれのやり方で実践している方々。その様々な響きを聴かせて頂きながら、私もとても自然な流れでこれからの自分の「響き」を探し始めたように思います。そして「ひとつの価値判断にとらわれず、自由に表現をすれば良いのだよ。それがあなたの奏でる音になるのだよ」とメッセージを受取りました。


 

大学院に通う私の研究テーマは「非営利組織の資金調達」。今の日本ではNPOで働く人々の多くがそれだけで生活に充分なお金を受取っていません。社会のことを考えて労働しているのは企業と同じであるにも係わらず、NPOでの労働にお金が巡って来ないのはなぜだろう。そんな素朴な疑問が出発点でした。事実、「NPOで働きたいけれど生活が成り立たないから無理」と周りの友人から度々聴こえてきます。そして当事者であるNPOの方々も「資金調達が本当に大変」と自分の時間や生活を削りながら活動を続けていらっしゃいます。今の経済の流れは本当に正しいのだろうかと問いかけながら、非営利であるNPOの現場と自分の研究との行き来を繰り返す日々でした。幸いインターン先ではNPOへの新たな資金循環の仕組みづくりに取り組まれていたため、頭で考えるだけでなく、想いをカタチにする経験に恵まれました。時には企業と一緒にプロジェクトを立ち上げ、時には新たな募金方法を提案しながら、どうすれば今の経済のなかで非営利の活動を成り立たせることが出来るのかを模索し続けました。そして中間支援組織という客観的にNPOを捉える立場にあることで、NPO側の問題点も見えてきました。自分の視野が広がり、意識が変わる瞬間を何度も味わいました。

 

それは私にとって本当に楽しく、刺激の多い学びの場でした。そして面白いことに頭で描いたことに実感がともなうにつれ、自然と言葉に力強さが出てきました。現場で見てきたこと、感じてきたことを素直に論文にまとめることで血の通った活き活きとした文章が生まれてきました。まさに「事件は会議室で起こっているんじゃない,現場で起こっているんだ!」です。真の学びをしていることを自分自身で実感しながらというとても贅沢な時間を過ごしたのだと今あらためて感じます。

 

社会問題の解決に取り組むが、経済の流れにうまく取り込まれないNPO活動。その一方で莫大な資金が流動する国際市場も確実に存在します。血流が悪く肩こり状態のような今の経済の流れを改善し、健康な経済になるためにはNPOがひとつの役割を担っているように感じられます。

 

悔しいことに今はまだ抜本的な解決策は導かれてはいません。しかし具体的な方法で試行錯誤しながら,これから少しずつでも着実に血行が良くなっていく予感がしています。そして私もその一翼を担えたらと思っています。

第8期奨学生として活動した約9ヶ月間。今の私の胸の高鳴りは去年よりも増しているように感じられます。日産NPO奨学生として始まったインターン生活。そこで恵まれた様々な経験から今の私が紡ぎ出されたように思います。

 

第9期奨学生のみなさんもきっと既に「縁」のつながりは始まっているのではないかなと思います。今ここにいることを喜び,これからともに響きあっていきましょう。

こころから、どうもありがとうございました。







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