第9期修了式・第10期スタートアップセミナー |
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活動報告 森下知行さん |
![]() 地域社会の掛け橋に |
アリスセンターは、神奈川においてまちづくりのための政策提言や調査研究、さらには他のNPOや市民活動団体を支援するための中間支援組織として、県内で活躍する各団体の情報の収集と提供などを行っているNPOです。実は私自身、事前に下調べをしてから事務局での活動に参加させていただいたにもかかわらず、初めの頃はこの中間支援組織の役割をなかなか理解しきれずにいました。したがって、他の方に対してアリスセンターのことを説明しようとするときにも、ほとんど上手く表現できずにいたというのが実際のところでした。また、NPOの世界に対する知識も窮乏であり、常にスタッフの方から学びながらのインターン活動だったと思います。 |
![]() 私がアリスセンターで携わらせていただいた業務の中に、市民レポーターという活動がありました。市民レポーターの活動では、自らが市民活動に参加することを通じて、もしくは市民活動を行っている方のもとへ取材に行くことを通して、市民レポートとして記事を書きWEBに掲載しました。いくつかの取材に行きましたが、最も有意義だったことはやはり実際に地域社会で活躍なさっている方々に直接お話を伺えたことでした。昨年末、横浜の港南台地区で「港南台タウンカフェ」というコミュニティ喫茶を経営する方にカフェをオープンした経緯を伺いました。港南台タウンカフェは、商店会などの事務局機能を持ちつつも、地域のまちづくり拠点としての場を住民の方々に提供する喫茶店です。なぜまちづくりの拠点と言うかと申しますと、お客さん同士が何気ない会話の中から、一杯のコーヒーをきっかけとしてそれまで知らなかった他人の活動に耳を傾ける機会を設ける空間としての役割を果たしており、お茶を楽しむ以外にもボランティアやまちづくり活動の話し合いなどが行われたり、さらには編み物教室、音楽の演奏会といったものまで開かれたりと、まさに人々が好んで集うような場所であるからです。その空間は私にとってとても新鮮なものでありました。タウンカフェの経営者の方からは、こんな形で関わるまちづくりもあるんだな、地域貢献の形は決して一つではないんだな、ということを教わったような気がします。 |
![]() インターン活動を終え、その約8ヶ月間を振り返ってみると、本当に充実した日々だったと感じています。アリスセンターに行くようになってから、スタッフの皆さん始め、県内外でNPO活動を行っている方々、行政職員の方々、そしてこの場にいらっしゃる日産奨学生を含め、同じようにNPOに携わる学生たちなど、本当に多くの人たちと出会うことができました。出会いの度、強い刺激を受けたことを覚えています。また、交換した名刺の数もいつの間にか70枚を超えており、その数の分だけ成長のチャンスを得ることができたのだとも思います。 |
実はインターンを始める時に、アリスセンターのアドバイザーである川嶋さんからこんなことを言われました。それは「公務員になりたいのならば、公務員になってどんなことができるのかをアリスセンターでの活動を通して知って欲しい。」ということです。私にとってその言葉はとても印象的で、その意味を噛み締めながら期間中の活動を行ってきました。そして、そのなかで公務員の職業観について、自分なりに次のようなことを考えるようになりました。すなわち、「行政の仕事は様々な分野の職務を経験、勉強していくことのできる、私にとっては非常に成長のチャンスに溢れた職業ではないだろうか。しかし、そのきっかけを活かせるかどうかは、きっとすべて自身の目的意識次第なのかもしれないのだ。」ということです。 |
![]() 昨今、地域社会においてNPOや市民団体の存在はますます不可欠なものとなってきています。にもかかわらず、NPO、行政、そして企業間の隔たりは依然存在しています。そのことの原因には、部門を跨いで互いを理解している人材がそう多くないことも一つに挙げられるのではないでしょうか。だからこそ、私はNPOの世界で見て学んだ知見を一つのきっかけとし、これらを繋ぐ架け橋たる人間になっていきたいと望むようになりました。またそれだけでなく、職業に囚われず人生という大きな視点で今後を見据えた際、NPOに携わる人々がきっと持っているような、何か自身の支柱となるべきミッションを模索していけたらなと考えるようになりました。これが、アリスセンターでの活動を通して得た私の気持ちの変化です。 |
![]() 最後になりましたが、この場を借りてこのような非常に価値ある経験の機会を与えてくださった日産自動車の皆様、なかなか時間的余裕が持てなかった私を温かく見守ってくださったアリスセンターの皆様、またこの日産NPOラーニング奨学金制度を通してお世話になったすべての方々に心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。 |