「第29回ニッサン童話と絵本のグランプリ」表彰式を開催

優秀賞一席受賞者インタビュー<童話の部> 浅井 優子 さん


【プロフィール】
介護施設に勤務する傍ら、毎朝出勤する前にお話を書く時間を設けて、創作活動を続けている。前回のグランプリでは童話の部で優秀賞を受賞し、今回は同じ部の最優秀賞となる優秀賞一席を受賞。

【受賞作】
『わけありリンゴのアップルパイ』
(あらすじ)
今日はお母ちゃんの誕生日。ボクが夕食を作っていると、お父ちゃんがしょんぼりして帰ってきた。お母ちゃんへのプレゼントが、「一袋二百円のわけありリンゴ」になってしまったという。とりあえず風呂に行ってしまったお父ちゃん。ボクがため息をついていると、リンゴがしゃべった! リンゴの林太郎は、傷を気にしている妹たちを生まれ変わらせて欲しいと願うが、少し不安な様子。ボクは思わず「おしゃれなアップルパイ」を作ることを約束してしまった。

傷つくことがあっても、くよくよすることはない。

Q:受賞のご感想、周りの方の反応はいかがでしょうか?
A:本当にうれしく思っています。職場の皆さんには、私の書いたお話をよく読んでもらっているのですが、今回の賞をいただいて、面白いだけじゃなくて本当に凄いんだなと見直してもらったと思います。私も鼻が高くて、天井に着くぐらい(笑)。とても自慢しています。


Q:今回の作品の着想はどこから?
A:たまたま私が買ってきたリンゴに傷がついていました。それを剥いていたとき、「傷があるリンゴは甘いんやて。傷を早く治そうと思って頑張るから」と、娘と話したのがきっかけです。
そこから、私がリンゴの気持ちになって考えていって、傷があるんやったら「変身させてほしいな」と思って、お話ができていきました。書き進めているうちに、お父ちゃんが「わけありリンゴ」を買ってきて、アップルパイに変身させるというお話に。夢か現実かわからない世界で、みんなそれぞれが頑張っている姿を現していきました。
Q:魅力的な登場人物たちと、関西弁の会話が印象的ですね。
A:登場人物の「リク」は同僚のお子さんの名前ですが、この子とお父ちゃんの会話は、私と娘が実際に話しているやりとりが基になっています。
普段使わない言葉だと、説教っぽくなってしまったり、あまり楽しくなくなったりするので、娘と話すように関西弁で書くようにしました。漫才みたいに「なんでやねん」という会話の雰囲気で、自分らしく面白いお話にできたと思っています。
実は、今回2つの作品を応募していました。日常にある親子の会話が主になっている『わけありリンゴのアップルパイ』の方は、職場の方に読んでもらったときに、「あったかい感じがする」という感想がありました。こちらの作品を評価していただいたのは、そういうところかもしれないと思っています。
Q:お気に入りの場面とそこに込めた想いは?
A:お気に入りというと、リンゴの林太郎と妹たちが傷があっても頑張ろうとしている姿だと思います。
たとえ傷つくことがあっても、くよくよすることはない。もっと頑張れば、違うものに変身できるという想いを込めています。
実際に読んでもらうときにも、何があってもくよくよしなくていい、ということが伝わればいいなと思っています。


Q:今後の抱負についてお聞かせください。
A:いま書いているのもそうですが、「恋」や「好きという気持ち」をテーマにして書いていきたいです。
「生きていることが楽しい」「明日が待ち遠しい」「今日がだめでもくよくよしなくていい」ということを、説教っぽくならないように気を付けながら、子どもたちに伝えることができたらと思っています。

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