取り組み事例

ビジネスマッチング支援機関インタビュー
株式会社日本マイクロシステムのライセンス導入を支援いただいている公益財団法人鳥取県産業振興機構知的所有権センターの山本明良センター長と芦崎幸弘氏(特許流通コーディネーター)にお話をお伺いしました。

Q.鳥取県では、なぜ知財ビジネスマッチング事業を導入しましたか?

特許を活用した新商品の開発で中小企業の経営基盤を強化

鳥取県には東部、中部、西部の各地区に、大手電機・電子関係メーカーがあり、それぞれに関連する下請け企業が集まり、大きな企業体を構成していました。また、農業や水産業が盛んということもあり、食品加工メーカーも数多くあります。しかし、大手メーカーの事業縮小・撤退が続き、多くの中小企業は苦境に立たされました。

左から山本氏、芦崎氏

大手企業に依存しない自立企業へと変革するには経営基盤を強化する必要があり、そのための方法のひとつが自社ブランドによる製品の開発です。ただ、規模が大きくない企業では開発にかけられるリソースが限られてしまいます。そこで着目したのが、さまざまな先端技術に関するライセンスを持つ大手企業と、技術を持った中小企業とのマッチングです。鳥取県知的所有権センターでは「知財ビジネスマッチング会」を開催するなど、県内企業の知的財産を活用した新商品・新事業化をサポート。新たな出会いにより、新規商品の開発を加速し、新たなビジネススタイルの構築に貢献したいと考えています。

Q.知財ビジネスマッチング事業は県内企業に浸透していますか?

川崎市をベストプラクティスにスタート、参加企業も年々増加

私たちが参考にしたのは川崎市の取り組みです。日本でも有数の工業地域である川崎市には優れた技術を持つ中小企業が集積しており、知財ビジネスマッチング事業にも早くから着手していました。知財ビジネスマッチング事業をスタートした当初、私たちにはノウハウがなかったので、川崎市から多くのことを学びました。川崎市が主催する知財ビジネスマッチングのシンポジウムや交流会にも参加し、知財ビジネスマッチング事業に興味を持つ大手企業とつながりを持つことができました。日産さんのライセンス事業ご担当の方と知り合ったのも川崎市のイベントです。
この事業をスタートした当初は、県内企業の方々にライセンスビジネスに投資するメリットをなかなか理解してもらえませんでしたが、大手企業の持つ技術の魅力が徐々に浸透し、参加する企業は年々増加しています。

Q.弊社のライセンス事業をどのように感じていますか?

生産現場から生まれた技術なので販売戦略まで構築可能

中小企業支援に力を入れている金融機関が中心になって、知財ビジネスマッチング事業を推進する自治体が多い中、私たちは電機メーカーなどに在籍していたスタッフが多いのが特徴。中小企業の持つ技術に対する知見があり、専門的なアドバイスが行えるのが強みとなっています。県内の中小企業に足を運び、その技術をこの目で把握しているので、適切なマッチング企業を紹介することが可能となっています。

日産さんには知財ビジネスマッチング事業のスタート当初より参加していただいています。生産現場で困っていることというのは業種に限らず共通することが多くあります。生産の品質向上、効率化に向けて、現場の困りごとを解決する日産さんの技術というのはマーケティングも明確です。県内の中小企業が製品化しても販売戦略まで描けると感じました。日本マイクロシステムさんは量産品をつくる会社ではありませんが、検査機器のセンサーに関する技術、ソフト開発技術、メカトロの技術に秀でるなど、多種多様な技術を持っているので、日産さんのライセンスの商品化には適していると思いました。声をかけると興味を持ってもらい、多数のライセンス契約を締結。事業化に向けて頑張ってもらっています。日本マイクロシステムさんに対する日産さんのサポート体制も万全で、良好な関係を構築できているのではないでしょうか。
私たちとしても知財ビジネスマッチングによる成功事例をさらに増やし、地域の活性化に貢献したいと考えています。

鳥取県知的所有権センター概要

鳥取県が知的財産支援機関として設置し、公益財団法人鳥取県産業振興機構 知的所有権センターと一般社団法人鳥取県発明協会が共同で運営しているのが、鳥取県知的所有権センターです。知的財産活用ビジネス支援事業として、県内企業の知的財産を活用した新商品・新事業化について、アイデア段階から事業化まで一貫してサポートするほか、「知財ビジネスマッチング会」を開催。また、特許流通支援事業なども行っています。

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