日産技報 No.89 (2023)
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Fig.1 CNN structure of prediction model for fl ow fi led proposed Fig.2 Structure of proposed model for fl ow fi eld estimationFig.3 Details of encoder, residual blocks and decoder of proposed model for fl ow fi eld estimationしかし、GuoらのモデルはCD値の推定はできないため、CD値の推定を行う学習モデルが別に必要になる。著者らはこれまでにボクセルデータを入力し、CD値を推定する学習モデルを提案している(6)。CD値の推定精度も良好であるため本研究でもこのモデルのネットワーク構造を採用する。既存研究において、複雑な3次元形状を有する自動車形状まわりの流れ場とCD値の両方を学習できる学習モデルは提案されていない。そこで本研究では、既存研究で提案されている異なる二つの学習モデルを用いて流れ場とCD値の推定を行う。流れ場推定モデルの基本構成は、図1に示すGuoらによって提案されたネットワーク構造を採用する。このネットワークは、EncoderとDecoderを全結合層により接続した構成となっている。このネットワークを本研究のような実用問題に適用する場合、形状の複雑度合い等に応じて入力する距離関数のサイズを大きくする必要がある。これ伴い、EncoderおよびDecoderの中間層についても多層化する等の対応を行いネットワークの性能を向上させるが、中間層の多層化は学習時の勾配消失もしくは勾配爆発を招きやすく学習が進み難くなる課題がある。そこで本研究では、Guoらが提案するネットワーク構造に対し、全結合層の代わりにResidual blocks(7)を採用し勾配消失・爆発の抑制を図る。本研究の提案モデルを図2および図3に示す。距離関数を入力し、(a)流速ベクトルの3成分、(b)圧力を出力するモデルとなっている。また、EncoderおよびDecoderについても勾配消失の抑制のため、Batch normalization(8)およびInstance normalization(9)を用いた。受賞:第72回 自動車技術会賞 論文賞(2022年) - 機械学習を用いた自動車空力性能を予測するためのサロゲートモデル開発SAE International Journal of Advances and Current Practices in Mobility - VCターボエンジンに対応した次にCD値を推定する学習モデルについて述べる。著者らはこれまでに、ボクセルデータを入力とし、CD値を推定する学習モデルを提案している(6)。このモデルはMaturana(10)によって提案されたVoxnetをベースしているが計算量を減らすため、中間層を一次元に変換する際に、Linらの研究(11)を参考に全結合層を使用せず代わりにGlobal Average Poolingを採用している。CD値の推定精度も良好であるため本研究でもこのネットワーク構造を採用する。752日産技報 No.89 (2023)2.2 流れ場を推定する学習モデルの概要by Guo (4)2.3 CD値を推定する学習モデルの概要

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