Fig.13 Passenger upper body posture transition: Earlier motion generation is required for terminal posture control, then needs quick initial motion, too.動を抑える代わりに並進加速度が増加しており、並進と回転の運動知覚認識のメカニズムも検討に加えていく必要がある。運動設計自由度は、評価関数形の制限と関係してくる。組込める変数は一般的には2次形式の組み合わせに限定される。また、複数操作入力へ拡張した走行シーンでは、個々の操作入力に応じた量の項を評価関数に設定しないと、同時最適化ができない(項の直交性確保)。快適性の探索を進めるには、評価関数の表現の自在性向上も図る必要がある。本論文では、車両運動による乗員への影響を、快適性の観点で捉え、それを向上させるための<実験・評価の方法論>を提示した。快適性は、車両運動による加速度空間内での身体受動運動の負荷や知覚に依存すると想定すれば、車両運動を工夫することで、乗員の快適性向上を図ることができる。そこで、望ましい動きを評価関数として設定して、最適制御から車両運動を求める逆車両運動解析を用いた運動設計を試みた。負荷量推定として乗員の身体モデル、知覚量推定として加速度量などを評価関数へ取り込むためのオブザーバ構築で、乗員と車両を組み合わせた逆運動解析を可能とした。もちろん、評価関数の形がどのようであれば、設計された車両運動が快適性を向上させているといえるのかは、乗員の車両運動知覚特性の解明と共に、主観評価で判断していく必要がある。そのために、走行シーンを仮定して、候補となる評価関数設定で車両運動設計を行い、乗員をその加速度空間(本論文では実車)に置いて評価する流れを具体例として示した。SAE International Journal of Advances and Current Practices in Mobility - VCターボエンジンに対応した受賞:第71回 自動車技術会賞 論文賞(2021年) - 乗員の快適性を向上させる車両運動の探求日産技報 No.88 (2022)制御ロジックやAI などによる自動運転技術開発に、乗員に優しい車両運動という価値を加えるべく、研究を進めていく。(追記):本論文で実施した実験は、日産自動車(株)実験倫理委員会の審査を受け、承認を得た内容であり、実験参加者からインフォームドコンセントを得た上で実施したものである。(1) 吉本達也、深尾隆則、横小路秦義、伊能寛:ドライバの操作特性を考慮した動的環境下におけるレーンチェンジ経路生成法、自動車技術会論文集、Vol.47, No.2, p.633-638 (2016)(2) 和田隆広:自動運転車両における動揺病低減について、自動車技術会学術講演会予稿集(2016)、20165263(3) 山田勝徳、本島治敏、北川裕一、安木剛:レーンチェンジ時の乗員挙動とシートによる乗員支持の関係調査、自動車技術会学術講演会予稿集(2016)、20165176(4) 山本真、山本忠、西山修二:多連クロソイド曲線を用いた曲率変化の滑らかな走行路緩和曲線の提案、日本機械学会論文集、Vol.83, No.852 (2017)(5) 吉岡透、安部正人、山門誠、狩野芳郎、武田雄策、竹村和紘、塚野孝俊、加藤史律、梅津大輔:G-Vectoring 制御による人が感じる車両運動性能向上効果に関する分析、自動車技術会学術講演会予稿集(2016)、20165250(6) Alexander Lange, Martin Albert, Karl-Heinz, Siedersberger, Klaus Bengler :Ergonomic design of the vehicle motion in an automated driving car, 6th International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics (AHFE) (2015)(7) 牧田光弘: 輪荷重移動を含む車両モデルを最適制御問題へ定式化するための一手法、日本機械学会論文集、Vol.81, No.826 (2015)公益社団法人自動車技術会自動車技術会論文集Vol.50, No.5 文献番号:20194687727参 考 文 献出 典6. 結言
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