Fig.4 Acceleration and jerk detection with soft sensor (physical image of state observer) : Acceleration and jerk at the attached body are approximated to state variables.Fig.5 Frequency response characteristic of state observer: Four cases of translational and angular accelerations.Fig.6 The degree of approximation of state observer (stage cost is quadratic value of lateral acceleration): There is an appropriate value for the resonance frequency of state observer.最後に、上体の運動方程式(5)へ式(3)、(4)を代入することで、上体ロール角加速度が式(6)のように<陽>に解ける。求まった乗員モデル式(6)には、車両モデル側の状態変数が含まれている。しかし、式(6)の微分量であるを運動方程式から状態方程式に変換して車両モデルと連立させれば、状態変数で置換されて式(2)の形に収まる。これで、逆車両運動解析で用いる最適制御の定式化要求に対応できた。快適性で想定される物理量には、身体に加わる並進加速度や角加速度などが考えられる。ところが、前章で述べたように、状態変数と入力変数以外は評価関数に組み込めない。加速度を状態変数化する手段としては、二階の微分方程式で表される運動方程式を、さらに微分した三階の微分方程式(jerkまで状態変数化するには四階)とすることで実現できる。ただし、解くべき式が増えて計算負荷が大きくなり、逆車両運動計算には不向きである。そこで、状態量オブザーバを用いて、評価関数に組み込める近似状態量を求めることにする。車両及び乗員モデルと合わせて最適制御の定式化のために、図4に示すソフトセンサとしての状態量オブザーバを設定SAE International Journal of Advances and Current Practices in Mobility - VCターボエンジンに対応した受賞:第71回 自動車技術会賞 論文賞(2021年) - 乗員の快適性を向上させる車両運動の探求した。具体的には、式(7)に記した状態方程式を用いて、乗員身体もしくは車体の観測したい部位の加速度を、入力として与える。これから、その取付け部位の並進や回転の加で近似量として観測できる。速度とJerkを、状態変数状態量近似精度は、式(7)では c、k 設定値で決まる。図5にはこれらの設定値を変えた場合における、固有周波数違いでの特性を示す。近似度合いを表すゲインは1に近いフラットな特性になるように設定値を選んでいる。ここで、状態量オブザーバの近似精度が逆車両運動解析に与える影響を確認しておく。次章で用いているレーンチェンジ挙動において、状態量オブザーバを車両重心点位置の車体に設置して、車両重心点横加速度を最小化させた計算結果を図6に示す。Stage Cost関数値を見ると、応答周波数を上げることによる、近似精度の向上には適値領域があることがわかる。つまり、応答周波数が高すぎると、状態オブザーバの微分方程式が、解くべき系全体を硬く(stiff )してしまう。数値計算では、精度と計算誤差累積のトレードオフ考慮は必要である。694日産技報 No.88 (2022)3.2 乗員運動知覚量の状態変数化
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