Table.1 Variables and functions for optimal controlFig.1 Schematic fl ow of the inverse vehicle dynamics methodology by optimal control: Ride quality is refl ected to stage cost to describe motion design.と実車実験およびその評価を含めて述べることで、乗員の快適性を探索するための方法論を提示する。『操作入力を設定して、それに対する車両運動を求める』場合を順車両運動解析とすれば、『因果関係を反転させて、なんらかの車両運動を規定する設定から、それを満たす操作入力と車両運動を求める』場合は逆車両運動解析(7) となる。逆方向では、何を規定するかによって計算の手法が異なるが、本論文では走行シーンを規定して、その前提の下で乗員にとって快適な運動探索を目指すため、最適制御を用いた逆車両運動解析を展開する(図1にイメージ、表1に変数名)。最適制御では、運動対象の状態変数などの変数で記述する関数であるStage Cost 関数を用いて、それが最小となる車両運動を求める。視点を変えれば、Stage Cost 関数によって車両運動を設計するといえる。実際に記述できる関数形式は、変数の2次形式など、計算可能な形は限定されるが、これで車両運動設計が行える。走行シーンの規定は、車両運動タスクとして、状態量と操作量の初期値と終端値を設定することで行う。つまり、両端での車両運動状態が固定(境界値問題化)されるので、Stage を求めることができる。Cost関数値を最小化する操作量SAE International Journal of Advances and Current Practices in Mobility - VCターボエンジンに対応した受賞:第71回 自動車技術会賞 論文賞(2021年) - 乗員の快適性を向上させる車両運動の探求や入力変数乗員の快適性評価には、車両モデルは乗員の乗る車体の3次元運動を再現する必要がある。それに加えて、一般的な変分原理を用いた最適制御の定式化では、車両モデル(状態方程式形式)を、随伴変数(Adjoint Variables)を使ってStage Cost関数と加算する。ただし、加算量を時間積分させた評価関数には、モデル記述の制限がある。それは、状態方程式の記述で、式(1)形式ではなく式(2)のように、状態変数の微分量なことである。式記述の制約に従いつつ、輪荷重移動を含む車体運動を正確に表現するために、筆者らは先行研究(7) にて車両モデルを開発した。表2と図2に、ばね下座標系基準で車体運動を含む車両モデルとその状態変数を示す。タイヤ特性は、簡略化したMagic Formulaに、緩和長を用いた応答特性も加えている。式(2)形式の車両モデル詳細は先行研究(7) を参照されたい。672が、状態変数で<陽(Explicit)>に記述可能日産技報 No.89 (2023)2. 快適性解析手段としての逆車両運動解析
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