可変圧縮比による高出力、高燃費を実現した日産自動車独自のVCターボエンジンは、その着想から実現までには18年もの歳月を要しました。基礎的な構造検討から製造技術の先行開発も含めStep by Stepで技術者たちの執念と努力で実現したすばらしい成果です。運転支援技術ProPILOTは、20年以上も前から、その基礎となる要素技術開発と個別の技術適用により、多くの世界初となる技術を製品化しながら市場での実績と経験を積むことを経て、その集大成したものとして製品化したものであります。2製品開発にあたっては、まずその商品をどのような特徴(コンセプト)の商品にするかを決めるところからスタートします。どの地域のどのようなお客様に使っていただくのか?そのお客様は、どんな価値を求めているのか?等々、市場の調査を十分に行い商品コンセプトを固めていきます。並行して、既存の技術に加えて、長年かけて研究・先行開発してきた技術も組み合わせながら、そのお客様にとっての新たな価値を創造していく検討を行います。それらの価値を、商品として一貫性をもった特徴とすべく全体としてコーディネートすることにより、魅力的な商品コンセプトへと引き上げられます。これは開発・企画・デザイン・M&Sとのチーム活動であり、この過程で商品としての性格を決めていきます。次に商品コンセプトを実現するための機能・目標性能を定義し、適用する技術やその組み合わせを決定していきます。その中には、先進技術もありますが、製品に適用開発する際には、その機能・性能を新しい価値として磨き上げるだけではなく、お客様がいかなる時にも安心・快適に使用でき、わかりやすく扱いやすい商品に仕上げるために検討に検討を重ねます。色々な使われ方を想定し、達成すべき機能や性能を新たに検討することもこの段階で必要となります。車両としての機能や目標性能が定義されるとそれを達成するための詳細なシステム・部品設計に入ります。複雑なシステムにおいて車両目標を達成するためには、システムや部品へ性能目標を割付けて、それぞれの達成度を検証する必要があります。いわゆる性能設計にあたりますが、製品適用開発の重要なプロセスであり、技術となっています。このプロセスの中で大きな役割を果たすのが、システムや部品レベルの実験とシミュレーション技術です。本技報でも特集しているように昨今の実験とシミュレーション技術向上は、設計段階での要素・システムの評価を可能として設計保証度を上げることにも大きく貢献しています。また、車両レベルの実の事象を、リアルタe-4ORCEの歴史Variable Compression Ratio 開発の歴史運転支援技術の進化製品開発の流れ4. 製品への適用開発
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