図4 排気触媒温度環境調整システム図2 VRS実験システム概要図5 熱マネージメント実験システム概要図3 PT-VRSとENG-VRSの比較図3に、パワートレイン(PT)システム全体を台上実験室に搭載するPT-VRS実験システムと、エンジンのみを搭載するENG-VRS実験システムの比較を示す。PT-VRSでe-POWERシステムを評価する場合は、前述した通り発電用エンジン、発電用モータ、走行用モータ、インバータ、減速機を実験室に設置するが、ENG-VRSにおいては、発電用エンジンは実験室に設置されるが、発電用モータ、走行用モータ、インバータはモデルに置き換えられる。VRS実験において、車両走行状態を模擬するために、パワートレイン環境、特に温度環境条件を再現する事が重要である。図4に、車両走行状態での排気後処理触媒の周辺温度をENG-VRS実験室で再現させたシステムを示す。具体的には、排気後処理触媒の周囲流速を実車と同等にするために、可変風量ファンを設け、車両走行模擬実験中に、車速に合わせて特集2:電動化に貢献する実験技術 - 4. 実車を使わずに電動パワートレイン性能を最適化するバーチャル リアル シミュレータ実験技術風量を変化させる。これにより、排気後処理触媒の周囲温度環境が実車と同等になる。車両と台上実験システムでの温度環境差をより小さくするために、エンジン内の油水温を積極的に制御し実車状態に近づける実験システムを構築した。図5に示す熱マネージメント実験システムにおいて、油水温を制御するコントローラ(②)や、車両走行状態における油水温を再現するためにモデル解析を行うシステム(③および④)を持つ。運転性、NVH(Noise、Vibration、Harshness)をパワートレインシステムで評価するために、PT-VRS実験システムを用い、FDV(Functional Digital Vehicle)と呼ばれる車両モデルをリアルタイム化したFRV-Rと連携させる手法を用いる。図6に、FDVの概念図を示す。実車の特性を再現するために、全ての機構要素で構成されたフルビークル挙動解析モデルである。プラントと制御モデルとを連成させることで、過渡/定常時の車両挙動予測が可能となる。ただし、FDVはシミュレーション演算に実時間以上が必要であり実機ベンチでの使用は不可である。そのため、実時間(リアルタイム)で演算可能なFDV-Rを開発することにより、PT-VRS実験システム上で運転性、NVH評価を実現した。502.3 熱マネージメント実験概要2.4 FDV-RによるNVH評価実験概要
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