ユーザーが、リモートキーで解錠すると、ドアハンドルが、自動で格納状態から突出する。⬇⬇⬇ ユーザーが、突出したドアハンドルを掴んで、ドアを開け、運転席に乗り込む。 ユーザーが、走行を開始すると、ドアハンドルが、自動で突出状態から格納状態になる。図3 ドアハンドルの自動的な動きのばらつき(例)図2 格納式ドアハンドルの想定機能(例)ドアハンドルの自動的な動きから受ける印象を活かして、お客さまにおもてなし感や上質感等の情緒的価値を提供できないか検討した。以下に、ドアハンドルの自動的な動きのばらつきが、上質感におよぼす影響を検討した事例を紹介する。ドアハンドルを自動で突出および格納させる場合、実際の部品は構造上設計公差を持っている為、ドアハンドルの自動突出または格納タイミングが、例えば、ドアハンドルの前端と後端でズレを生じる。具体的には、図3に示す様に、自動突出・格納時の突出量の時系列変化が、部品の設計公差によってばらつく。この突出量の時系列変化のばらつきがどの程度であれば、ズレから受ける印象が、上質感を損なわないのか確認した。特集2:電動化に貢献する実験技術 - 3. 新機構部品の品質を試作レスで評価できるバーチャルリアリティ実験技術ドアハンドルの自動的な動きのばらつき(図3)と上質感の関係を確認する為に、ドアハンドルの自動的な動きのばらつき量が異なる複数の仕様について、動きから受ける印象を評価することとした。ドアハンドルの自動的な動きのばらつきから受ける印象を評価する環境には、①ドアハンドルの自動的な動きの微小なばらつきの再現、②使用過程におけるドアハンドルの動きを視認するタイミングと見え方(視点、視野、視認対象の大きさ)の再現、が必要となる。① 図3に例示した設計公差によるドアハンドルの突出タイミングのズレの組合せ(ドアハンドルの前端と後端のズレ量の組み合わせ)を再現した複数の仕様を物理モックアップで評価しようとした場合、評価専用の機構を製作する必要があり、開発期間内に評価完了することが困難である。一方で、バーチャル空間を再現するVR評価環境であれば、設計パラメーター違いの動きを、立体映像で表示することが短期間で可能である。② 使用過程における、評価者の姿勢・体格に合わせた視点からの視野範囲、評価者の行動に連動した視認対象の見え方の変化、および視認対象の大きさを、現実世界と同様に再現しなければ、部品の動きの印象を評価することはできない。様々な評価環境の中から、上記の要件を満足するポテンシャルがあるVR評価環境を選択した(図4)。46ユーザーが、運転席のドアに近づく。自動突出・格納時の突出量の時系列変化のズレ:ドアハンドルの前端と後端
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