図6 DSの評価結果図5 ドライバー着座位置図7 加速感の要素以上より回転中心を変更し、比較評価を実施した。従来と比較すると、ロールをしっかり感じられるようになったコメントはあるが、対角方向の挙動については完全に再現出来ているレベルではない。これは、ピッチ方向の挙動が課題と考えられる。ピッチの回転中心はシチュエーションで動的に変化すると考えられる。この点については、改善の余地があると言える。本項で取り組んだモーションシステムの改修、モーションキューイング開発内容を織り込み、以前の仕様との比較評価を行った。評価方法は、車両挙動評価に必要な項目を設定し、評価ドライバーによる5点法で実施した。なお、3点がDSでの評価が可能な最低限のレベルとしている。特集2:電動化に貢献する実験技術 - 2. 電動車ならではの性能を創りこむドライビングシミュレータ実験技術図6に評価結果を示す通り、今回開発してきたDS技術により、全体の評価が上がり、より実車に近い挙動を再現できるようになったことが確認できた。今後は、更なる評価領域拡大として、路面不整や横風による外乱のある走行環境や、雪路やサーキットという特殊な条件下においてもDSを活用する為の技術開発を取り組んでいく予定にしている。NISMOがチューニングする性能のひとつに加速感がある。アクセル操作量に対する駆動力を変更し、NISMOが考える加速感の演出を行っている。現在、NISMOの開発は車両ごとに制御パラメータを適合しており、近年は様々なモードを評価するため、テストパターンが多くなり網羅的に最適解を導くことが難しくなってきている。そこで、人の感覚に着目し、加速感の要素ごとに分析を行うことで、NISMOが重視する加速感を達成するために、DSを活用した。DSで前後G「高さ」「レスポンス」「伸び」の3つの要素(図7)に関して、アクセルストロークに対する駆動力と加速感について、パラメータスタディを実施した。本結果を用いて、実車検証を実施した結果、加速感が向上したことから、DSでもパラメータスタディ評価は可能である事を確認した。今回は、要素の「伸び」について説明する。412.3 DS新技術開発の効果の検証結果3.1 AURA NISMOの伸びのある加速感実現3. 開発活用事例
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