図3 制御システム構成図4 信号制御表1 むだ時間表2 伝達特性XYZRollPitchTurn tableYawXYZRollPitchTurn tableYawモーションシステムの制御変更に伴い、各ステップ応答のむだ時間と時定数、周波数特性の計測を行った。図3にDS制御システムの構成を示す。リアルタイムシミュレータは1ミリ秒で信号をモーションシステムに伝達が可能である。計測はリアルタイムシミュレータ内のPCから信号を発信し、ヘキサポット内にあるコックピットフロアに加速度が伝達するまでの特性を計測した。表1にモーションシステムが動き出してからコックピットフロア伝達までのむだ時間を示す。むだ時間はターンテーブルが最も遅く、並進レールと比較し22msの遅れがある。表2に0.3Hzの各伝達特性を示す。ヘキサポットの伝達特性が他よりも悪い事が確認できる。これは構造的に6本のシリンダーでドームを支えているため、イナーシャの負荷が他よりも不利になっているのが原因だと考えられる。以上の結果より、信号を同じタイミングで入力すると、ロールとピッチだけが遅れてしまうため、モーションシステムキューイング側で評価したい領域に合わせてパラメータを設定する必要がある。RailHexapod0.3HzRailHexapod特集2:電動化に貢献する実験技術 - 2. 電動車ならではの性能を創りこむドライビングシミュレータ実験技術運転の感覚を重視するDSでは小さな変化でも大きな違和感になる。前項で計測した装置の伝達特性結果を用いて、人が感じる体感挙動の向上を目的にモーションキューイングの開発を行った。ここでは、特に着目した評価ドライバーのコメントから出てきた微舵域の加速度特性と上屋のロール挙動の2点についての開発内容を以下に示す。DSの車両運動シミュレーションでは、実車両にある車両の剛性や遊びの機械的な遅れが存在しないため、本来よりも応答が良くなり、逆に違和感となるケースがある。実車両はハンドルの操作力が、力の作用と反作用を通して、操舵角が生まれる。しかし、DSは操作力ではなく、操舵角をシミュレーションに使用している。力の釣り合いに関係なく、強制的に操舵角が生まれるため、応答遅れが小さいと考えられる。操舵力と操舵角の関係をシミュレーションできる解析であれば解決できる余地はあるが、現在の技術ではリアルタイムで計算を解くのは難しい。したがって、モーションキューイングに疑似的な立ち上がり遅れを付加し、体感挙動の改善を行った。図4は制御の一例を示す。入力に対して立ち上がりを緩やかに遅らせ、変化が一定の時は一定の出力を行う。この方法を用いて、各々の装置に送信する信号ごとに制御を変更し、人が感じる加速度のタイミングが揃うように適合を行った。DSのドライバーシート位置はヘキサポットとヨーテーブルの中心にあるため(図5)、車の回転中心とヨーの回転中心が異なるシステムである。したがって、回転中心位置が車両の重心位置と異なる分だけ、体感加速度を座標変換している。また、一般的にレーシングシミュレーターと言われるDSはドライバーシートの座面を傾ける、または腹部付近を回転中心とするシステムが多い。当社もドライバーの腹部付近を回転中心として、ロールとピッチの制御を行っている。しかし、この方法だと対角のロールピッチ感覚や上下方向の動きを感じにくいため、実際の上屋挙動の感覚と異なる。したがって、ロール軸上で上屋を動かす方式に変更し比較検証した。ヘキサポットの回転中心は3次元回転行列を用いて変換している。402.2 モーションキューイング開発Pure delay[ms]333337454855Gain[db]Phase[deg]-0.10.20.10.30.7-0.1-4.1-4.5-4.5-12.5-12.9-3
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