図18 現行車入力寄与図16 サスペンション構造図19 ダッシュインシュレータ厚み分布図17 粗い路面での50km/h一定速ロードノイズレベル図20 前方遮音の質量効率また、サスペンションを刷新し(図16)、旧型エクストレイルでは防振タイプであったフロントサスペンションメンバーをリジッドタイプにすることで、上記車体の高剛性化に寄与させている。尚、上質さを阻害しないようロードノイズレベルを低く抑えるため、車体剛性向上によるサスペンション取付点の音感度改善と合わせて、フロントサスペンションブッシュの低剛性化とリヤサスペンションメンバーを防振化することで、旧型エクストレイルと比較し、ロードノイズレベルを1.5dB改善した(図17)。効率良く遮音性能を向上させるためには、音が伝搬する経路に局所的な弱点を作らない事、適用する遮音材は二重壁構造かつ各壁間の距離を大きく取って単品性能を上げる事、がポイントである。そのため、パワートレインから室内までの伝達経路上の車体パネルで入力寄与が高い弱点部位を明確にし、そこに二重壁構造を効率良く採用する設計指針で開発した。現行車を分析すると、ダッシュの貫通部と、ダッシュトーボード部で約5割の寄与がある事が分かった(図18)。貫通部は徹底的に穴・隙を縮小する事で他の部位との寄与平準化を図った。トーボード部はダッシュパネル、およびインシュレータで構成する二重壁構造を現行車から踏襲したが、インシュレータを現行比157%厚くする事で(図19)、部品追加や質量増加なく、5dB性能向上した(図20のB→A)。構造対策ではなく質量対策した場合(図20のC)と比較すると、約10Kgの特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル - 5. EV並みの静粛性を実現するNV技術軽量化にも貢献している。従来、小型車中心に採用してきた日産独自のe-POWERを本校記載の技術により進化させ、CセグメントのSUVとして、力強い加速性能、優れた燃費性能および圧倒的な静粛性を高い次元で成立させた。引き続き静粛性向上技術を進化させ魅力的な電動車両(e-POWER, EV)をお客様に提供し、社会に貢献していきたい。306.5 遮音技術7. まとめ
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