図8 深雪発進の性能比較図10 モーグル走行の性能比較図9 モーグル走行後モータートルク制御及びブレーキ制御の協調により、簡単なアクセル操作で安定した発進を実現している。図8は前型エクストレイル(ガソリンエンジン+メカAWD)と、新型エクストレイル(e-POWER+e-4ORCE)の深雪発進データの比較をしたものである。上段にアクセルペダルストローク、中段にタイヤスリップの比較を示す。前型車が車両の動き出しと同時に過多なタイヤスリップが発生し、これに伴いアクセルを戻す操作が行われているのに対し、新型車e-4ORCEでは車速の上昇と比例した最適なスリップ量にコントロールすることで、アクセル操作に気を遣わずに踏み増し加速することが出来ているのがわかる。また、下段に示す前後トルク比較では、FFベースメカAWDの前型車システムではフロント輪のスリップに伴うトルクハンチングが発生するのに対し、新型車e-4ORCEではモーターの高いトルク応答と緻密な制御により前後トルクが滑らかに上昇していることが分かる。特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル - 4. 本格SUVへのe-4ORCE適用図9に表すような不整地(凸凹路)は非日常的ではあるものの、例えばキャンプ場やレジャー施設、悪天候の後のオフロードや災害時などにも遭遇することが想定される。このシーンの特徴は、路面の凹凸を乗り越えるための大きな駆動力が必要であること、タイヤ各輪の接地状態が路面凹凸により異なる為、それぞれの走行抵抗が変わること、更には接地を失ったタイヤが空転してしまうことである。これまでの車では、一つの起伏を乗り越えるたびにアクセルを踏み込んでトラクションをかけ、通過した後にブレーキを踏んで突っ走りを止める、という煩雑なペダルの踏み替え操作を必要としていた。e-4ORCE制御では、前後モーターが各々持つ回生制動の機能を活かし、前述のような走行に於いては、アクセルペダル操作のみで速度を一定に保ちつつ起伏を滑らかに乗り越えることを実現している。更にブレーキ制御とも協調し、接地を失ったタイヤの空転を瞬時に抑えることで、ペダルの踏み替え操作をより減らすことが出来ている。図10は前型エクストレイル(ガソリンエンジン+メカAWD)と、新型エクストレイル(e-POWER+e-4ORCE)のモーグル不整路走行の比較をしたものである。上段にアクセルペダルストロークを示す。前型車では路面凹凸を乗り越えるたびに、アクセルペダルのON/OFF操作がなされている。一方新型車e-4ORCEではアクセルペダルの踏み量を変化させるだけで走行していることが分かる。下段にタイヤのスリップ状態と、トラクションコントロールの制御状態(ステート)を示す。前型ガソリンエンジン車ではタイヤ空転が発生し都度TCS(トラクションコントロール)介入しエンジントルク23シーン2:モーグル路(不整地凸凹路)走行
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