図6 e-4ORCEが提供する価値図3 旋回時のタイヤグリップ能力と駆動力配分図4 前後駆動力によるピッチコントロール概要図7 深雪発進図5 ピッチコントロールによる車体姿勢の違い「e-4ORCE」制御思想のもう一つの特徴は、前後駆動力差による車両ピッチング制御である。これは図4に示すように、前後輪のタイヤの駆動力FfとFrと前後サスペンションのスカット角/ダイブ角θf,θrの量に応じて式(1)に示すような車両重心回りのモーメントが発生し、前後それぞれのサスペンョンストロークが発生することを応用したものである。e-4ORCE制御では、フロント、リアモーターの回生制動力差を制御することで、回生減速時の車体姿勢の変化を抑えている(図5)。これにより、車体のピッチ挙動を最適に抑え、ドライバーだけではなく助手席や後席に乗る人にもスムーズで、快適な乗り心地を提供することができる。(ノート e-Power 4WDから採用)特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル - 4. 本格SUVへのe-4ORCE適用e-4ORCEが提供する価値として、図6に示すと共に、以下3つを挙げる。1) ドライバーの意のままの走り2) 乗る人すべてに快適な乗り心地3) 路面を問わない安心感1)ドライバーの意のままの走り,2)乗る人すべてに快適な乗り心地 については、2章の概要で既述のとおりである。本章では、本格SUVである新型エクストレイルにe-4ORCEを適用するのに際し、カギとなる価値である3)路面を問わない安心感 について、以下2つの特徴的な走行シーンを例にして、ドライバーの運転操作、及び操作に対する車の動き方の側面から、解説を行う。図7に表すような深雪発進は積雪地域では降雪後の駐車場などで日常的に遭遇する。このシーンの特徴は、タイヤが雪に埋まることで車が進行する方向に対して大きな抵抗があるため、これに打ち勝つ駆動力(トルク)が必要になること、さらに雪上ではタイヤと路面の間に存在する摩擦抵抗が一般的な乾燥アスファルト路面と比較して約3割程度と小さいためタイヤが空転しやすいことである。このような条件下においては、走行抵抗に打ち勝つ駆動力を与えつつ、同時にタイヤスリップをさせないための緻密なモータートルクコントロールが必要になる。e-4ORCEでは前述のタイヤの接地荷重に合わせた最適な前22シーン1:深雪発進3. e-4ORCEが提供する価値
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