日産技報 No.89 (2023)
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図10 車室内エンジン音、周波数分析荻野 和宏土屋 順久水野 秀昭坂井 雄紀通常の3気筒エンジンでは各気筒間で釣り合うため合力は発生しないが、VCターボでは120deg周期(エンジン1回転あたり3回の周期)で上下慣性力を発生させることができる。 結果として、車室内で聞こえる音は エンジン回転3n次を基調とした軽快なサウンド(図10)を実現している。本3気筒VCターボエンジンは、定点発電運転点の低回転化と低燃費率化を実現し、且つ最大出力106kWを4400rpmと低回転で達成した。これらによって異次元の静粛性と、EV-nessを実現するための緻密な発電エネルギマネージメントを支えるキーテクノロジーとして、新型エクストレイルの性能達成に大きく貢献できたと確信している。著者特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル - 3. e-POWER用エンジンの進化(1) Kiga shinichi et al.:The world’s first Production Variable Compression Ratio engine -The new Nissan VC-T (Variable Compression-Turbo) engine, 38th International Vienna Motor Symposium, 2017 (2) 松岡一哉 他: 新型 高効率1.5L 3気筒 可変圧縮比エンジン開発 自動車技術会 2021年度 秋季自動車技術会(3) Tsuchiya Yorihisa et al.:Development of the Second-Generation VC-TURBO, KR15DDT Engine, 30th Aachen Colloquium Sustainable Mobility, 202120参考文献阿部 泰英4. まとめ

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