図5 圧縮比Map図6 EGR率Map図4 新型エンジントルクカーブ図3. Multi-link機構の構成2.2 圧縮比可変作動原理3.1 定点運転、最良燃費と静粛性両立図3にVCR機構のMulti-linkシステムの構成を示す。コントロールシャフトの回転姿勢がエンジンブロックに対して時計回りに変化し、その偏心軸、すなわちCリンクの揺動点が下方へ移動すると、Lリンクがクランクピンを中心に時計回りに回転してUリンクとLリンクの上死点での挟角が大きくなり、Uリンクとピストンが上方へ移動して、エンジンの機械圧縮比を高めることができる(2)。その逆に、コントロールシャフトの回転姿勢を反時計回りに変化させると、機械圧縮比を低下させることができる。直列多気筒エンジンの場合、コントロールシャフトは各気筒で共用されているため、1本のコントロールシャフトのシリンダブロックに対する回転姿勢の変更により、全気筒の機械圧縮比を同時に切り換えることができる。これまで説明してきた通りVCターボ採用により、HR12DEに対して大幅にエンジントルクを向上させた(図4)。その結果、発電エネルギマネージメントに必要なエンジン運転点の自由度が増し、定点運転点と静粛性の両立を実現することが出来た。また、最大出力点の低回転化を実現することで、エンジン高負荷シーンでも大幅にエンジン音の発生を低減させた。以下、定点発電点、最大出力点、エンジン音に関して詳しく説明する。特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル - 3. e-POWER用エンジンの進化従来のe-POWER HR12DEエンジンに対して、燃費と静粛性の両立を狙って、e-POWER用に低負荷燃費領域、高負荷領域のそれぞれにおけるEGR率と圧縮比(C/R)を制御している。速やかなエンジン始動から定点運転への遷移を実現し、2000rpmの最良熱効率点(Minimum Brake Specific Fuel Consumption : 217g/kWh) を定常運転点として性能設計を行った(図5、6)。a) EGR導入口に負圧コントロール用バタフライ式バルブを追加してEGR領域を拡大、過給+高圧縮比下でのノッキングを抑制して熱効率を改善b) フラットピストンと高タンブルインテークポートにより、シリンダ内ガス流動を強化し、高EGR率領域における燃焼安定性を確保c) Multi-link機構によってピストンスラスト力が小さくでき、低フリクション化を実現183. 達成性能
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