図4 VC-TURBO compression map図3 New e-POWER system表1 Specifications of the new e-POWER system5.1 静粛性5.1.1 エンジン作動頻度に駆動モータを大型化し、発電専用エンジンも自然吸気1.2Lから過給機付き1.5Lエンジンに排気量UPし、可変圧縮比機構を備えたVC-ターボエンジンを採用した。また、ラインナップに4WDも加えた。e-POWERシステムの場合、エンジンは定点運転を基本とする為、定点運転時の燃費率が車両燃費性能に与える影響が大きい。定点運転時の燃費効率を維持したまま高出力化するには、燃費性能と出力性能のトレードオフ関係を解消する必要がある。本システムではVC-ターボエンジンを採用する事で、定点運転時の圧縮比を高く設定して高燃費率を維持しながら、出力点では圧縮比を低く設定する事で高出力化を実現した。図4にVC-ターボエンジンの圧縮比マップおよびエンジン動作点頻度を示す。なおVC-ターボエンジンの詳細は次の章で説明する。特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル - 2. 「VCターボ」×「e-POWER」システムエギゾーストシステムは、エンジン回転1500rpm以下を使用しないe-POWERシステム固有のエンジン動作点に特化した専用開発を行い、リヤマフラー内のチューブを往復させて共鳴を低周波化しエキゾースト音を低減するとともに、最適なバイパス経路を設定しエンジン出力確保のための低排圧も同時に実現した。ブレーキシステムは、e-POWERでは初めて電動型制御ブレーキユニットを搭載し、e-POWERシステムとの協調制御により静粛性を向上した。従来e-POWERシステムの場合、ブレーキ時に負圧生成目的でエンジン始動させる必要があったが、電動ブレーキ化によって、エンジンによる負圧生成が不要となり始動頻度を低減した。また、下り坂走行時、従来e-POWERシステムは回生により減速Gを発生させているが、満充電になった後は、エンジンを高回転で回し回生エネルギーを放電しながら減速Gを確保する必要があった。新型エクストレイルでは電動型制御ブレーキユニット搭載により、満充電後の回生を停止し、電動ブレーキにより減速Gを確保することでエンジン回転上昇を抑え静粛性を向上した。エクストレイル専用e-POWERシステムが生み出す圧倒的に優れた静粛性、加速性能・運転性、燃費・排気性能について述べる。CセグメントSUVはコンパクトカーに比べ車両重量が大きいため、発進加速時等で要求されるエネルギーはコンパクトカーに対して大きい。このため、従来のエネルギーマネジメント制御を適用すると、エンジン作動領域が拡大、エンジン始動頻度が増加し、EV-nessを損なうこととなる。124. エクストレイル専用e-POWERシステム概要5. 圧倒的に優れた性能
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