図2 Line-up of e-POWER図1 e-POWER system configuration*パワートレイン・EVプロジェクトマネージメント部新型エクストレイル開発コンセプトである「タフギア」と「上質さ」を満足するためにe-POWERシステムを新規開発し初めてエクストレイルに搭載した。本章では新規開発e-POWERシステムの開発の狙い、概要、システム設計について解説する。100%エンジンで発電し、100%モータで走行するe-POWERシステムのパワートレインシステム図1を示す。e-POWERシステムは、100%モータ駆動ならではの低回転で最大トルクを発生し変速機構を持たない特徴を活かし、リーフで培った日産独自のモータ制御技術を用いることで、アクセルの踏込みに対しレスポンス良くスムーズな加速を実現している。これはe-POWERシステムの最大の特長となっている。また、エンジンが車輪軸の駆動系とは独立して制御できるため、エンジン始動・停止タイミングを車両走行パターンと切り離して設定可能である。エンジン始動時にはエンジン定点運転を基本とすることでエネルギー効率を高め、高い燃費性能が実現可能となる。2016年に日本市場にて第1世代e-POWERシステムを国内向けコンパクトカーに初搭載した。その後2018年に国内向けミニバン、小型SUVと搭載車種を拡大した。2020年には第2世代e-POWERシステムを新型コンパクトカーに搭載し、e-POWERの最大の特徴である力強さ、スムーズさと静かさを進化させ、よりEV らしいフィーリングを実現している。そのために、システムを構成するモータ、インバータ、バッテリー、エンジンすべてを改良し、出力とトルクの向上だけでなく、燃費の向上も実現した。図2にe-POWERラインナップを示す。新規開発e-POWERシステムは、システムの特徴である静粛性、スムーズな加速性能、燃費性能を向上し、今回初めてグローバルに展開するCセグメントSUV用パワートレインとして開発した。近年の自動車市場ではCセグメントSUVの需要は急拡大し、お客様の要求値も高まっている。高い要求値を満足するため、EV-nessに関わる静粛性、加速性能をクラストップレベルで実現しながら、燃費性能を両立させる事、またグローバル展開に対し、新たに追加となるトーイング要求や高速走行要求等にも対応する事を狙いとした。図3に新規開発e-POWERシステムの外観図を、表1に主な仕様を示す。既存の第2世代e-POWERシステムをベース11特集1:「タフギア」×「上質」 新型エクストレイル吉田 直弘* 長谷川 潤* 髙岡 正毅*1. はじめに2. e-POWERシステム概要とラインナップ3. エクストレイル専用e-POWERシステムの狙い2. 「VCターボ」×「e-POWER」システム
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