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活動レポート
「日産NPOラーニング奨学金制度」第9期奨学生活動レポート 活動報告編:榎本麻奈美さん(活動先:シャンティ国際ボランティア会〈SVA〉)

7月から活動を開始した「日産NPOラーニング奨学金制度」第9期奨学生。来年2月末までの活動も、いよいよ中盤に差し掛かりました。この度の活動レポートでは、2名の9期奨学生の活動現場を訪問し、活動前に行うオリエンテーションの様子、活動の様子をお伝えします。

ボランティアは華やかな世界?

「日産NPOラーニング奨学金制度に応募したきっかけは?」と聞くと、榎本麻奈美さんは、「ジョディ・ウィリアムズさんの講演を聞いて・・・」と、ある一人の女性の名前を挙げました。ジョディ・ウィリアムズさんといえば、1997年のノーベル平和賞受賞者であり、ICBL(地雷禁止国際キャンペーン)の創始者です。榎本さんは、ジョディさんの講演を聴くまで、「ボランティアや国際協力が気になってはいたが、海外での活動ばかりが目に付いて華やかな世界のように思え、距離を感じていた」といいます。ところが、ジョディさんのお話は、これまでの榎本さんのボランティアのイメージを一掃するような、地道な努力と忍耐を必要とするものだったといいます。そこで榎本さんは、「自分も傍観者としてでなく、行動してみよう」と決意したそうです。

大きなテーブルを囲んで届ける絵本

榎本さんは現在、シャンティ国際ボランティア会(以下SVA)にて、インターンを行っています。SVAは、緊急支援救援活動や図書館活動など、国内外で様々な事業を行っています。その中で榎本さんは、国内活動の「絵本を届ける運動」に参加し、一人でも多くの子どもたちが絵本と出会えるよう、日本語で出版されている絵本にカンボジア・ラオス語の訳文が貼り付けられた絵本を点検・修理・梱包し、現地の子どもたちのもとに届ける活動をしています。
活動の現場を訪問してみると、大きな木のテーブルを囲み、たくさんのSVAのスタッフやボランティアの方々が、それぞれ作業をしています。「このテーブルを囲んで皆が作業をし、お昼も一緒に食べます。」と言う榎本さん。学生から年配の方まで、幅広い年齢層の方々との交流を通じて、時に思いがけない学びも得られると言います。「辛いことと言えば、体力を必要とされる、たくさんの絵本を運ぶ作業くらい。スタッフの方もボランティアの方も皆さん優しく、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。」と、現在の状況を満足そうに語ってくれました。

変わったこと 誇りに思うこと

「活動を通じて、自分の中で何か変わったと思うことは?」との問いかけに、榎本さんは、慎重に言葉を選びながら、こう答えてくれました。
 「今、私が行っている作業は、絵本を点検し、梱包するという、単純かつ地道なものです。実際に絵本を必要としている人々と出会うこともなく、新しい何かを必要とされることも少ないかもしれません。でも、この単純な作業こそが、海外を主体に活動するSVAを支えているということを実感していますし、そのプロセスに参加できていることを誇りに感じています。」

気になる国・カンボジア

そんな榎本さんは、絵本を届けている国の1つ、カンボジアが今気になっているそうです。作業を行うにつれ、実際に訪れてみたいという気持ちが強まると言います。「何も知らないままカンボジアに行くのもいいでしょうが、このように日本国内でカンボジアに関わる支援活動をした上で現地を訪ねたら、得られるものもまた違うと思うのです。」と話す榎本さん。いつかカンボジアを訪れる日を楽しみに、こつこつと絵本を届ける作業を行っているそうです。
今後は、自分と同様にカンボジアが気になっている人のため、絵本を届ける作業に参加するボランティアの方々向けに発行するニュースレターに、カンボジアの基礎情報や、現地で活動するスタッフのコメントを掲載しようと試みているそうです。「この活動に従事している方々は、やはり現地のことを知りたいと思うのです。」と活き活きと話してくれた榎本さん。インタビューの後には、ボランティアさんとニュースレターの打ち合わせに入り、積極的に意見交換をしていました。

シャンティ国際ボランティア会(SVA)とは
タイ・ラオス・カンボジア・アフガニスタンで教育・文化の分野での国際協力活動に取り組んでいるNGO。学校建設や図書館活動、教材開発などの支援活動をはじめ、国内では、募金活動や広報活動のほか、現地の子どもたちに絵本を届ける運動を行っています。また、阪神・淡路大震災以降、緊急救援活動にも力を入れており、2004年のスマトラ沖地震・津波被害の際には、日産自動車も、被災地域の子どもの心のケアのため、タイ南部での移動図書館事業で協働しました。
http://www.sva.or.jp/

日産NPOラーニングとは
「日産NPOラーニング奨学金制度」は、NPOでの仕事を経験したいと願う学生を公募し、活動の実績に応じて学生に奨学金を支給するというインターンシップ・プログラムです。未来の人材育成を目的とする、企業とNPOのパートナーシップの新たな試みとして、 1998年に開始されました。プログラムを通じて、次世代を担う若者に、NPOでの知的体験を通じて創造性や考える力、そして自ら行動する力を育成することを狙いとしています。



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