自動運転の実現で交通事故ゼロのクルマ社会を

方 芳

PROFILE

2008年
中国 大連民族大学 機械工学専攻 学士課程修了
2012年
東京大学 工学系研究科 機械工学専攻 修士課程修了
2012年
日産自動車株式会社 総合研究所入所
自動運転のための環境認識機能の研究開発を行う

「日産総合研究所」を選んだ理由

「交通事故ゼロ」という理想社会の実現を目指して

「海外で働きたい」との思いを胸に、中国の黒竜江省から来日。大学院で学んだ後、就職した。グローバルな自動車メーカーとして、中国でも日産は憧れの企業。また来日後、日産を見学した際に感じた職場の雰囲気の良さや、女性が働きやすい環境が整っていることなど、良いイメージを抱いたことも大きかった。
大前提はもちろん大学院での研究が生かせることだ。交通事故のない安全なクルマ社会をもたらす技術に強い関心を持ち、高齢ドライバーによる運転過失の原因と操作の関連性についての研究に従事。「交通事故をなくす」という理想を実現させたいと考えていた。

現在の業務のポイント

人間の目と脳と同等の機能を搭載するために

現在入社5年目。入社1年目はさまざまな研修を受けた後、自動運転の「制御」分野に配属され、自動でクルマを駐車させる際の経路をつくるシミュレーションなどに携わった。2年目からは、自動運転のための環境認識機能の研究開発を担当している。自動運転ではドライバーの運転要素である「認知」「判断」「操作」をクルマが行う。方が取り組んでいるのは自車の周囲の状況を正確に把握する「認知」だ。カメラとミリ波レーダー、レーザースキャナーなど複数のセンサー部品を組み合わせて、クルマの周囲の詳細な情報を取得。そのデータを素早く統合しながら、顕在化したリスクの芽をドライバーよりも早く察知しなければならない。
「人間の目や脳と同じように周囲を認識して情報を処理した上で判断し、正しい結果が出せるようにできればよいのですが、そこに至るまでにはまだ超えなければならない壁がいくつもあると感じています」

これまでの研究成果

一つひとつ機能を向上させて次のステップへ

目標を達成するまでに課題はいくつもあるが、一歩一歩、確実に研究は前進している。2015年末には、アメリカのシリコンバレーで実車実験を行い、複数のセンサーを使うなどして認識精度の向上に成功した。例えばモノの陰に隠れるなどしてセンサーが検出できないポジションに入った物体が、次にセンサーの認識範囲に入るまで、物体情報を保持しながら同一物体として認識し続けることもそのひとつ。
「死角に入り込んだ歩行者などを検知できなくなってしまうと大きな事故につながります。見えなくなっても歩行者の存在を認識し続けて、陰から出てきたときに、素早く識別してリスクを察知する必要があるのです。人間ならできることもクルマだけでは困難なことも多く、それを可能にするために、既存のロジックを改良するなどして、少しずつできることを増やしています」
無数にある状況に対応できるように、少しずつでも機能の死角をなくしながら性能の向上を実現することで次のステップへとつなげていく。

現在、取り組んでいる課題

他車や周りの次の動きを正しく予測させる

現在は、センサーが認識した対象物の動きを正確に予測するための研究開発に着手している。
「人は周囲のクルマの状況を見て、どのクルマが車線変更をしようとしているのか、減速して右折や左折をしようとしているのか、停まろうとしているのかを瞬時に判断しています。人がスムーズに行うこうした『予測』を自動運転のクルマでも実現するために、クルマの行動パターンをAIに取り込みながら、物体間の相互関係を考慮して精度良く予測するところまで持っていくのが次の目標です」
センサーが高度化し、周囲の検出範囲が広がり、安定的に精度の高い認知が可能になったとしても、その状況を人と同じレベルで判断するのはまた別のフェーズの問題。次から次へと課題が浮上してくるが「どう対処すれば良いのか考えて実験するのは面白い」と、方はあくまで前向きだ。

実現したい夢

世界中が胸を踊らせる研究でクルマが人を守る技術を確立する

世界からは自動運転に関するさまざまなニュースが飛び込んでくる。異業種他社も含めて自動運転の実現を多くの人が夢に見て切磋琢磨していることにワクワクしている自分を感じている。「世界中が注目している技術開発に携わっているという矜持が、研究へのモチベーションになっています」
自動運転が可能になれば、人間のミスが原因となる交通事故が減少し、ゆるやかな上り坂での速度低下のような人間の運転特性に起因した渋滞は緩和され、交通全体の効率化により環境への負荷も低減するはずだと考える。しかし夢のような未来を実現させるためには、理想とは異なる状況も予想し、視野に入れなければいけない。
「現在の研究開発では運転者が規則を守っていることを想定しています。しかし、将来的には周囲のクルマが標識や信号などを見落とす事態に対応することまで考えなければなりません。先は長いかもしれませんが、課題を模索しながら、一つひとつにチャレンジしていきたいと思います」

<総合研究所を志望する皆さんへ>

未来のクルマを創造するために、国籍や性別はもちろん、文化やライフスタイルなど、バックグラウンドが異なる人たちと協力し合うことも大いに必要だと感じています。クロスカルチャーやダイバーシティを企業風土として持つ日産なら、さまざまな人が力を発揮できると思います。

(※2016年6月取材)

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