取り組み事例

ライセンシーインタビュー
プラスチックファスナー供給装置のほか、ボルトナットフィーダー、AGVモニタリングシステム、フードラバー取付治具を導入いただいている株式会社日本マイクロシステムの高島主男代表取締役、松本誠一郎氏(営業部)、尾見賢司氏(開発部)にお話をお伺いしました。

Q.日産のライセンスを導入するきっかけを教えてください。

ライセンス供与を活用して自社製品の開発をスタート

当社はもともと基板を検査する治具を製造する工場としてスタート。検査結果の収集・分析がしたいという要望に応えるため、ソフトウェアを開発する部門を立ち上げ、ソフトとハードの両面で大手電機メーカーの生産現場を支えてきました。しかし、大手電機メーカーが鳥取県から撤退すると仕事が減ってしまい、営業範囲を関西エリアまで拡大したものの、経営を安定させるには自社製品の開発が不可欠と考えていました。ただ、新商品の開発には何年もの時間がかかりますし、販路の開拓も簡単ではありません。

左から松本氏、尾見氏、高島氏

いくつかの製品を試作したものの製品化に難航していたところ、鳥取県産業振興機構さんから知的財産ビジネスマッチングに参加しないかと声をかけてもらったのです。当初はお金を払ってライセンスを供与してもらうというのがあまりイメージできませんでしたが、ラインアップされた日産さんの特許技術は基礎研究が終了しているため、商品化しやすいところに魅力を感じました。特に興味を持ったのがプラスチックファスナー供給装置。生産現場での課題を解決する技術には明確なニーズがあります。販売先を掘り起こせるのではないかと考えました。現在、「Orbit feeder(オービットフィーダー)」という商品として製造・販売していますが、ライセンス契約から発売開始までにかかった期間はわずか半年。驚くべきスピードで商品化を実現できました。

Q.ライセンスを導入することでどのような成果を得られましたか?

生産現場のニーズを掘り起こし新たな販路を開拓

自社製品があるというのは新たな企業に声をかけるきっかけをつくりやすく、営業上大きなメリットがあります。必要数の異なる小型の樹脂パーツを自動で正確に作業者に供給するというのはニッチなニーズであり、どの生産現場でも求められるというものではありませんが、マッチする企業からは「こんな製品が欲しかった」と喜ばれます。そもそも自動車の生産現場ではよくある困りごとなので、国内にある日産さんの生産工場やサプライヤーの生産工場に納品するなど、新たな販路を開拓することができました。

マッチングのイベントでは様々なライセンスを紹介してもらいましたが、もともと当社は生産技術に関する仕事をメインにしてきた会社なので、日産さんの生産技術との相性がとても良かったと思っています。商品としても当社の規模に適したものだったこともビジネスとして成立した要因です。

Q.ライセンス導入に関して弊社のサポートは満足のいくものでしたか?

生産現場で培われた情報の提供が人材育成にも貢献

「Orbit feeder」をご購入いただいたほとんどのお客さまから「樹脂パーツだけでなくボルトも自動供給してくれる商品が欲しい」という声をいただいており、現在、日産さんからのライセンス供与で「ボルトナットフィーダー」の開発に取り組んでいます。日産さんは単にライセンス契約を結ぶだけではなく、商品開発から営業活動までサポートしてくれていますし、開発プロセスで当社独自のライセンス取得についても積極的にアドバイスしてくれます。

また、「Orbit feeder」「ボルトナットフィーダー」の開発者である星さんは、生産現場で多くの経験を積んだ方で、今回も鳥取まで足を運びワークショップを開催してくれました。当社にはあれだけ現場の経験が豊富な技術者はいないので、若い技術者にとって大きな経験になっています。また、日産という大企業と仕事をしているのは当社のブランド向上、社員のモチベーション向上にも貢献していますね。そのほか「AGVモニタリングシステム」「フードラバー取付治具」の開発も進めていますが、日産さんの生産現場で生まれた技術というのは、他の生産現場でも活用すべき素晴らしいアイデアに満ちています。こうした技術を日本の生産現場に提供できることを嬉しく思っています。

企業概要

鳥取県米子市にある株式会社日本マイクロシステムは生産現場のソフトウェア、ハードウェア双方の開発製作を手がける会社。ハードウェア系として各種検査冶具・検査機器、省力化機械の設計・製作、ソフトウェア系として生産現場向けの生産管理システム、OA系システム、組込系のファームウェアの開発、さらに一般向け製品としてDIY用設計ソフト「caDIY3D」の開発・販売を行っています。

企業概要

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