スピーチ


2018年7月26日

2018年度第1四半期決算発表
日産自動車株式会社
常務執行役員 田川丈二

はじめに
2018年度第1四半期は、販売の質の向上に取り組んだ米国での台数減少及び将来に向けた開発費などの増加の影響を、その他の地域での台数の増加、購買コストの削減で補いましたが、昨年度から続く原材料価格の上昇、為替等によるマイナス影響を補いきれず、減収減益という結果となりました。
2018年度第1四半期の連結売上高は2兆7,200億円、連結営業利益は1,091億円、売上高営業利益率は4.0%となりました。当期純利益は1,158億円、売上高純利益率は4.3%でした。自動車事業のフリーキャッシュフローはマイナス315億円、ネットキャッシュポジションは1兆5,500億円となりました。

販売実績
2018年度第1四半期のグローバル全体需要は前年比4.0%増の2,413万台となりました。
当社のグローバル販売台数は、北米と欧州で台数が減少し、好調な中国や中東・中南米等の地域では台数が増加しましたが、前年比3%減の131万台となりました。グローバル市場占有率は前年比0.4ポイント減の5.4%でした。

主な市場の販売状況は次の通りです。

日本国内の全体需要は前年比1.0%減の119万台となりました。当社の販売台数は前年比0.8%減の13万台となり、市場占有率は前年から変わらず10.9%でした。
登録車については、今年2月に販売を開始した「セレナe-Power」や、昨年発売した新型「日産リーフ」が牽引して前年に比べ台数を増やしましたが、軽自動車はモデル切り替えの影響等により減少し、全体としては市場並みの微減となりました。

会計年度が暦年ベースの中国では、第1四半期にあたる1月から3月の全体需要は前年比2.3%増の679万台となりました。当社の販売台数は前年比6.9%増の33万6千台となり、市場占有率は0.3ポイント増の5.0%となりました。新規投入した「キックス」やモデルチェンジした「ナバラ」に加え、「エクストレイル」「ティアナ」といった日産ブランドの車種が販売台数を増やしたほか。「D60」をはじめとするヴェヌーシアブランドも大きく台数を伸ばしました。
第2四半期にあたる4月から6月までの中国の全体需要は前年比8.2%増の644万台となりました。当社の販売台数は前年比14.3%増の38万4千台に達し、市場占有率は0.4ポイント増の6.0%となりました。1月から6月までの中国の全体需要は前年から5.1%増加し、当社の販売台数はそれを大きく上回る前年比10.7%増の72万台となりました。市場占有率は0.2ポイント増の5.4%でした。
今後は、4月に発売したフレームSUVの「テラ」も台数増に貢献することを見込んでいます。

米国の全体需要は前年比1.8%増の450万台でしたが、当社の販売台数は前年比9.5%減の36万5千台にとどまり、市場占有率は8.1%となりました。当社は米国において、販売の正常化に向けて活動を進めており、販売会社の在庫の状況など改善も進みつつあります。今後は、すでに販売を開始している新型「QX50」や新たに投入した「キックス」に加え、秋に発売予定の新型「アルティマ」の投入によりモデルサイクルが良くなる見込みであり、今年度後半に向け更に事業の改善を進めていきます。
カナダでは前年比3.4%増の4万3千台を販売し、市場占有率は7.0%でした。
メキシコの当社の販売台数は前年比15.7%減の7万4千台に留まったものの、市場占有率は21.6%で、引き続き首位の座を維持しました。

ロシアを含む欧州における当社の販売台数は16万2千台で、前年から12.7%の減少となりました。ロシアを除くと、欧州の販売台数は前年比14.4%減の13万9千台で、市場占有率は2.9%でした。当社が強みを有する英国市場において販売台数が減少したことに加え、欧州においてもフリートの減少など収益重視の販売に転じたことが、この要因となっています。
ロシアにおける当社の販売台数は前年比0.6%減の23,000台となり、市場占有率は5.0%でした。

その他市場における当社の販売台数は、前年比6.6%増の20万台となりました。
アジアとオセアニアの販売台数は、前年比7.4%減の7万6千台となりました。「キックス」が好調な中南米においては前年比26.4%増の5万5千台を販売しました。中東においては全体需要が引き続き減少する中で、当社の販売台数は前年比4.0%増の4万4千台となりました。アフリカとその他市場における販売台数は前年比26.3%増の2万5千台となりました。

財務実績
次に2018年度第1四半期の財務実績をご説明しますが、これまでの発表と同様に、中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づき、ご報告いたします。

  • 連結売上高は2兆7,200億円となりました。
  • 連結営業利益は1,091億円、売上高営業利益率は4.0%となりました。
  • 中国の合弁会社等の持分法適用会社の業績も反映した後の経常利益は1,589億円となりました。
  • 当期純利益は1,158億円、売上高純利益率は4.3%となりました。

次に営業利益の増減要因をご説明します。
為替影響は193億円の減益、原材料価格の上昇は270億円の減益で、この2つの外的要因を除いた変動はほぼブレークイーブンの+21億円の改善でした。
会社のパフォーマンス面では、米国を中心とした販売台数の減少や将来へ向けた投資の拡大による研究開発・生産費用の増加を、購買コストの削減と商品性向上を含むコスト項目と、その他の地域での台数増加・販売費用の減少といった増益要因が、打ち消す結果となりました。また台数・構成とマーケティング・販売費用を地域別に見ると米国が400億円のマイナスでその他地域が230億円のプラスとなっています。

中国合弁会社比例連結ベースの財務実績は次の通りです。

  • 連結売上高は3兆300億円でした。
  • 連結営業利益は1,544億円、売上高営業利益率は5.1%となりました。
  • 当期純利益は1,158億円でした。
  • 自動車事業のフリーキャッシュフローはマイナス154億円でした。
  • 自動車事業のネットキャッシュポジションは1兆8,100億円となりました。

まとめ
2018年度第1四半期は、北米や欧州における販売台数の減少や原材料価格の上昇、為替等の課題に直面し、厳しい結果となりました。

当社は、米国をはじめとして引き続き販売の質の改善に取り組み、さらにグローバルにコスト管理の徹底を続けることで、収益性の改善を図ります。また、日本においては昨年以降顕在化した問題に真摯に向き合い、法令遵守の体質を強化する取り組みを継続・徹底して進め、お客様の信頼回復に努めてまいります。

以上のことから、2018年度の通期予想に変更はなく、当初の計画どおり、前年に対し7.5%の増配となる一株当たり57円の通期配当を実施する予定です。

以 上