2015年7月29日
2015年度第1四半期決算報告
日産自動車株式会社
常務執行役員 田川 丈二
まだら模様のグローバル経済と、地域によって会社の業績にばらつきがある中、当社は2015年度第1四半期に確固たる財務実績を実現しました。
この四半期は前年同期に対し、連結売上高、連結営業利益、連結当期純利益、および自動車事業のフリーキャッシュフローがすべて改善しました。北米と西ヨーロッパにおける好調な販売と、前年から改善した円ドルレートの効果が貢献しています。こうした好材料と事業運営の効率化を継続することで、日本及び一部の新興市場の販売鈍化と、他の通貨の為替レート悪化の影響を打ち消しました。
2015年度第1四半期の連結売上高は前年比17.6%増の2兆9,000億円となりました。連結営業利益は1,937億円、売上高営業利益率は6.7%となりました。連結当期純利益は1,528億円に増加し、売上高純利益率は5.3%に達しました。自動車事業のフリーキャッシュフローは1,095億円となり、2015年6月末は自動車事業で1兆4,500億円のキャッシュ・ポジションとなりました。
以上の結果は、当社が日産パワー88の目標に向け、順調に進んでいることを物語っています。
新車攻勢
当社は2015年度第1四半期も新車攻勢を進めました。米国に投入した「マキシマ」2016年モデルは、おかげさまでたいへん好評です。新たに設計されたこのフラッグシップセダンは、アメリカのお客さまにその魅力を感じていただけるよう、より大胆なデザインに、より大きなパワーのエンジンと最新の安全装備、そしてコネクテッド技術を搭載しています。
中国では、若いお客さまのために開発した「ラニア」を発表すると共に、新たなコンパクトSUVのヴェヌーシア「T70」を発売しました。
日本では、国内だけでなく、世界中で最も売れている日産車の一つである「エクストレイル」にハイブリッドバージョンを追加投入しました。九州工場では、来年春から北米向けのローグを補完生産することを発表しました。さらに、「NV200タクシー」を日本市場に投入しています。
中南米とカリブ諸国では「NP300フロンティア」を発売し、今後33にのぼる市場に、この新型ピックアップを順次投入していきます。
品質
また今期は複数のニッサンとインフィニティのモデルが、J.D.パワー社による最新の米国自動車初期品質調査で高く評価されました。「セントラ」2015年モデルは、コンパクトカー・セグメントで首位に輝きました。
インフィニティ「QX70」は、中型プレミアムSUVのトップ、「QX80」は大型プレミアムSUVで一位を獲得しました。「QX50」も、小型プレミアムSUVの上位3位にランクインし、インフィニティは、ブランド・ランキングで複数の欧州のプレミアム・ブランドを抑え、上位5位に入りました。
ニッサン・ブランドは、米国道路安全保険協会から表彰されました。新たに設計したニッサン「ムラーノ」2015年モデルは、総合評価が最高のクルマに与えられる「トップセーフティピックプラス」の称号を獲得しました。
ブランド
数々の賞が、日産ブランドのイメージ向上に寄与しています。スポーツに関わるパートナーシップも、ブランドの更なる向上に一役かっています。欧州サッカー連盟UEFAチャンピオンズリーグ、横浜Fマリノス、そしていよいよ来年に迫ったリオ五輪もブランド力強化を支えています。先日、米国では、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のテネシー・タイタンズの本拠地スタジアムの命名権を獲得しました。20年間の独占契約を結び、ナッシュビルのダウンタウンにあるスタジアムの名称はニッサン・スタジアムに変わりました。本スタジアムで開催される数々のスポーツ大会やコンサートで、「ニッサン・スタジアム」の名称が登場し、当社の知名度は上がります。
ゼロ・エミッション
日産自動車は、世界中で、充電インフラの整備を支援しています。2015年度第1四半期には、米国で実施している「No Charge to Charge」という、公共の充電スタンドを無料で使用できるサービスを、従来からの地域に加えボストンとデンバーの中心部においても開始し、合計17の都市に拡大しました。また、国内でも充電インフラ整備の取り組みを更に進めるべく、横須賀市とパートナーシップを結びました。日本には今や、家庭用の充電器を除いても、全国に14,000基を超える充電器が設置されています。
南アフリカでは、BMWと覚書を締結し、日産とBMWの電気自動車が利用できる充電ネットワークを全国に整備する計画を策定し、実行に移します。
更に、蓄電池事業最大手のGreen Charge Networks社と手を組み、自動車用のリチウム・イオン・バッテリーを蓄電池として再利用し、米国及び海外に展開していきます。
アライアンス
先月、ルノー・日産アライアンスは、電気自動車の累計販売台数が25万台に達しました。アライアンスは、ゼロ・エミッション・モビリティの世界的リーダーであり、世界中で販売された電気自動車の半分はアライアンスの商品です。「日産リーフ」は、今や最も売れている電気自動車であり、発売以来、18万台以上を販売しました。
今月初めに発表しましたように、アライアンスのシナジー効果は、2014年で過去最高の38億ユーロを記録し、前年の29億ユーロを上回りました。2016年度末までに少なくとも43億ユーロのシナジー効果を生み出すことが目標です。研究・開発、生産技術・物流、購買、そして人事の4つの主要機能の統合によるアライアンスの深化が目標達成に寄与します。
2015年度第1四半期の販売実績
2015年度第1四半期のグローバル全体需要は、前年比1.5%増の2,202万台となりました。
当社のグローバル販売台数は、前年の124万台から4.4%アップの129万台となり、市場占有率も5.9%と前年同期比0.2ポイント伸びました。
主な市場の販売は次の通りです。
日本国内の全体需要は前年比5.5%減の110万台に留まりました。当社の販売台数は10%減の12万台となり、市場占有率は11.0%となりました。厳しい市場環境が続いており、特に「ノート」と「セレナ」の属するセグメントの競争は激化しています。一方、「エクストレイル」と「デイズルークス」は健闘しており、心強い限りです。
会計年度が暦年ベースの中国では、全体需要は前年比5.7%増の594万台となりました。当社の販売台数は前年から増加して29万6,000台に達し、市場占有率は5.0%となりました。
「シルフィ」シリーズと「エクストレイル」の好調な販売が続いています。中国の新たな排気規制の施行を受け、当社も小型商用車の販売を落としているものの、総販売台数は計画通り推移しています。
北米では、過去最高の販売台数を記録しました。米国の全体需要は、前年比3.3%増の457万台となりました。当社の販売台数は、前年比5.5%増の36万9,000台に達し、市場占有率は8.1%となりました。「アルティマ」、「ローグ」、そして「セントラ」をはじめとする商品が好調を支えています。
カナダでも、当社の販売台数は全体需要の伸びを上回り、前年比13.6%増の37,000台に到達しました。市場占有率は6.5%です。
メキシコでは、引き続きトップブランドの座を維持しており、販売台数は前年比25%増の8万台を記録し、市場占有率は26.3%に達しました。
欧州の全体需要は前年から0.7%増加しました。
当社の販売台数は前年比10.7%増の18万9,000台に達し、市場占有率は4.0%となりました。「キャシュカイ」や「ジューク」など、日産をクロスオーバー・セグメントのリーダーに押し上げた商品群が、けん引役を果たしました。当社は欧州において、最も販売台数の多いアジアのブランドとなりました。
ロシアでは、全体需要が36.6%落ち込む一方、当社の販売台数は、前年比12.6%減の34,000台となり、市場占有率は8.5%まで上昇しました。
その他市場の全体需要は前年比約3.8%減の482万台に留まりました。
当社の販売台数は、前年比1.6%減の20万3,000台となりました。その内、アジア・オセアニアでは前年比3.9%減の8万7,000台を販売しました。中南米では前年比2.5%減の4万2,000台、中東では6.3%減の4万9,000台となりました。アフリカの販売台数は22.3%増の2万5,000台となりました。
2015年度第1四半期財務実績
中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づき、2015年度第1四半期の財務実績をご報告します。
- 連結売上高は前年から4,338億円増加し、2兆9,000億円となりました。主な増収要因は、販売増と海外の売上換算増による影響です。
- 連結営業利益は前年同期から711億円増の1,937億円と、58%アップしました。
- 連結当期純利益は前年同期から407億円増、36.3%アップの1,528億円です。
営業利益の増減要因は次の通りです。
- 為替変動は320億円の増益要因となりました。
- 購買コスト削減を含むコスト項目は、426億円の増益要因となりました。
- 台数・車種構成は、645億円の増益要因となりました。
- 販売費用の増加は、419億円の減益要因となりました。
- 研究開発費は74億円増加しました。
- 生産コストは32億円増加しました。
- その他項目は、155億円の減益要因となりました。
第1四半期の自動車事業のフリーキャッシュフローは1,095億円のプラスとなり、2015年6月末の自動車事業実質有利子負債は、1兆4,500億円のキャッシュ・ポジションとなりました。2014年6月末時点の9,163億円から5,308億円増えているだけでなく、2015年3月末時点の1兆3,900億円をも上回っています。
中国合弁会社比例連結ベースの2015年度第1四半期の財務実績は次の通りです。
- 連結売上高は3兆1,000億円に改善しました。
- 連結営業利益は2,197億円に増加し、営業利益率は7%に達しました。
- 連結当期純利益は1,528億円に増加しました。
- 自動車事業のフリーキャッシュフローは1,304億円となりました。
- 2015年6月末現在の自動車事業実質有利子負債は、1兆6,000億円のキャッシュ・ポジションとなりました。
まとめ
年度初めに発表した2015年度通期予測に変更はありません。
期初に発表しました、前年比27%増となる一株当たり42円の年間配当金の計画も維持します。
今回の決算内容は、当社が、日産パワー88の目標に向け、着実に進捗していることを示しています。コミットメントの持続的な売上高営業利益率8%を中期経営計画の終了までに達成することと、ターゲットのグローバル市場占有率8%達成を引き続き目指します。
以 上
* 2015年度より、従来の「当期純利益」の正式名称は「親会社株主に帰属する当期純利益」となりましたが、本文中では引き続き当期純利益の名称を使用しております。