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活動レポート
「日産NPOラーニング奨学金制度」第9期奨学生活動レポート オリエンテーション編:桑名宏美さん(活動先:神奈川子ども未来ファンド)

7月から活動を開始した「日産NPOラーニング奨学金制度」第9期奨学生。来年2月末までの活動も、いよいよ中盤に差し掛かりました。この度の活動レポートでは、2名の9期奨学生の活動現場を訪問し、活動前に行うオリエンテーションの様子、活動の様子をお伝えします。

足元を見つめて

桑名宏美さんは、現在大学院で国際理解教育を専攻しており、異なる文化的背景を持つ人々がお互いを尊重し、大切にし合いながら生きていくことのできる社会を目指す教育を研究しています。大学院では、国と国との間の違いを意識することが多い中、改めて自分の足元を見つめて、身近な生活の中にある課題や、そのためにどう行動できるか、という点について学ぼうと、「日産NPOラーニング奨学金制度」に応募しました。

オリエンテーションでの対話を大切に

桑名さんが現在奨学生としてインターンシップをしている神奈川子ども未来ファンドでは、奨学生との活動前のオリエンテーションをとても大切にしているそうです。「神奈川子ども未来ファンドの活動は他に例の無い活動であること、また当事者と直接の接点を持つ機会が少ないことから、オリエンテーションには時間をかけています。」と話すのは、事務局長で奨学生受入担当の米田佐知子さん。奨学生をインターンとして受け入れるにあたり、団体の説明はもちろん、「奨学生が何を求めているのか」という点によく耳を傾け、「どのような体験が、奨学生の成長を促すだろうか」という視点から、学生と話し合う中で一緒に活動方針を決めていくそうです。
6月末に行われたオリエンテーション当日、「インターン自体が初めて」という桑名さんは少々緊張した様子でしたが、米田さんの温かい笑顔に迎えられ、和やかに打ち合わせがスタートしました。オリエンテーションでは、まず、ホワイトボードや資料を使い、「NPOとはなにか?」という話から、神奈川子ども未来ファンドのしくみが分かりやすく説明されました。またその次には、米田さんご自身の子育て体験を交えながら、なぜ神奈川子ども未来ファンドが必要とされ、設立されたか、というお話を丁寧に説明してくださいました。実際に体験し・行動している方から聞く、母親が子育て中に抱えるストレスや、それを和らげ・勇気付ける「場」についての説明には、共感を呼ぶ説得力がありました。オリエンテーションの間中、桑名さんは積極的に質問をし、米田さんの言葉に、何度となく大きくうなずいていました。

オリエンテーションを終えての桑名さんの感想

初めてのインターンシップ、そして、長い間興味を持ち続けていたNPOという現場でのインターンシップということで、行く前は、一体どのようなことが待っているのだろうという、どこか、遠くから眺めている感覚がありました。
しかし、実際にお話を伺ってみて、最も感じたこと、そして、自分の心に留まったことは、「何事も自分の足元からこつこつと」ということであり、自分とかけ離れた世界のできごとではなく、自分も何かアクションを起こす力になりうるということでした。
NPOとはどのような団体なのか、そして、どのようなことをしているのかということは、最近では情報も多く出ているのですが、実際に、思いを形にしていくプロセスは、外に出ている情報だけでは、知ることができません。大きなNPOになればなるほど、今ある形ばかりに目がいってしまい、そこに至るまでのプロセスに目を向けることが少なくなってしまいます。足元から、をモットーにしつつも、どこか現在の姿の奥にあるものを忘れがちになってしまっていた自分に気付きました。
インターンシップをしたいと思ったきっかけは、就職活動をしてみて、自らの思いと、企業側の営利という点でのバランスや、気持ちの面の割り切りはできているのかということを企業の方から問われたことでした。思いはあっても、思っているだけでは何もできません。職業として、企業なのか、教員なのか、関わり方として、スタッフとしてなのか、ボランティアとしてなのか。どのように自分の思いを形にしていこうか、真剣に考えるきっかけを与えていただきました。そのような状況の中での今回のオリエンテーション、営利目的ではなく、思いを形にしていくということが、今の社会の中でどのような意味を持つのか、そして、また、どのような課題を抱えているのかということを、実際の思いや、苦労してきたこと、折り合いをつけてきたことなど、本当に、小さな個人の行動から、今にいたるまでのプロセスを通して伺うことができたことで、自分の足元に立ち返ることができました。同時に、大きなアクションも、小さな努力の積み重ねであるということを改めて感じることができたことで、自分の今まで行ってきたことを否定したり、無駄にしたりするのではなく、一つひとつ重ねてきたことを認め、それを土台に、これからどう動いていこうかと、前向きにとらえられるようにもなりました。
インターンシップを経験させていただくことで満足するのではなく、NPOの仕組みを肌で感じ、体系的に理解させていただくことはもちろんですが、それを通して、自分がどう変わるのか、そしてそれをどうこれからの人生に生かしていくのかということを、常に考えながら、常に自分の気持ちと向き合い、一つひとつのことを自分の一部に変えて、今後、自らアクションを起こす力にしていきたいと思います。

神奈川子ども未来ファンドとは
神奈川子ども未来ファンドは2003年にスタートした非営利の民間基金で、子ども、若者、子育てに関わる人を支えるNPOに資金助成している団体です。専門性や地域性を活かし、「寄付をしたいが、どこを応援すればよいのか分からない」という市民や企業と、子ども・若者・子育てに関わるNPOをつなぐことで、悩みを抱えている子ども、若者、子育てに関わる人が、安心して、自分らしく過ごせる「場」を提供しています。
http://www.kodomofund.com/index.html

現在奨学生の桑名さんは、子ども・若者や子育てを応援しているNPOを訪問し、そのレポートを「神奈川子ども未来ファンド」のホームページに掲載しています。
http://www.kodomofund.com/report/2006/report6.html

日産NPOラーニングとは
「日産NPOラーニング奨学金制度」は、NPOでの仕事を経験したいと願う学生を公募し、活動の実績に応じて学生に奨学金を支給するというインターンシップ・プログラムです。未来の人材育成を目的とする、企業とNPOのパートナーシップの新たな試みとして、 1998年に開始されました。プログラムを通じて、次世代を担う若者に、NPOでの知的体験を通じて創造性や考える力、そして自ら行動する力を育成することを狙いとしています。




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