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日産 童話と絵本のグランプリ
第27回(2010年度)入賞作品
第27回絵本の部・優秀賞 (※掲載している作品は受賞時点のものです。出版作品とは異なる場合があります。)

落ちてから
作・絵/宮ア 明美



雨です。
ゆみちゃんのママは、 急いで自転車をこぎました。
がたんと自転車がはねたとき、大変なことが起こりました。


 


ママも、ゆみちゃんも、くまちゃんが落ちたことに、すぐには気がつかなかったようです。


 


 


 


カラスが言いました。
「やあ、いいものを持っているね。」


 


 


 


「ごめん、ごめん。でも君が、すぐに手を離さないから、いけないのさ。
その宝物をくれたら、安全なところに移してあげる。」
くまちゃんは、これは、ゆみちゃんの大切な名札だから、わたせないと、ことわりました。


くんくんと、小さなネコがやってきました。
くまちゃんが、食べ物ではないとわかると、すぐにいってしまいました。


朝と同じカラスがまた来て、言いました。
「やあ、ゆみちゃんは、こなかったようだね。
もう宝物は必要ないだろう?」。
くまちゃんは黙ってカラスをにらみつけました。


 


別のカラスが、くまちゃんを見つけました。


 


「それは僕のだ!」もう一羽のカラスが飛び込んできました。くまちゃんをくわえたカラスは、びっくりして、そのまま飛び上がりました。


 


 


そのとき、不思議なことが起きました。
とられたはずの名札が、そらからもどってきたのです。


「くまちゃーん!!」
ゆみちゃんの声がしました。


 



宮ア 明美(みやざき あけみ)
47歳 システムエンジニア 東京都北区
<受賞のことば>
 主人や娘たちとともに、絵本の世界を少しずつ歩いていることをとても幸せに思います。
 きっかけを作っていただいた審査員の方々、この公募展を永年支えていらっしゃる関係者の皆様、本当にありがとうございます。

短評
 普通の目線の絵、斜め上からの状景画。ローアングルで主人公を描き、飛び交うカラスを俯瞰する絵。多彩な角度の描画をこなす技は優れ、持ち味の品格と共に魅了する。欲を言えば、くまちゃんの独り言の本も一考であろう。
(杉田 豊)


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