第42回 東京モーターショー 2011


PIVO 3
− 近未来の都会派スマートEVコミューター −


2005年に初代PIVO を東京モーターショーに出展して以来、日産は将来のアーバンモビリティを見据え、PIVO 2、Mixim(ミクシム)、NUVU(ニューヴ)、TOWNPOD、ESFLOWといった、さまざまな使用用途やライフスタイルにマッチしたゼロ・エミッション・モビリティを提案してきました。これらは、何れも日産の革新的な技術や、人のこころをワクワクさせるような発想を具現化してきたものです。今回発表するPIVO 3は、これらに続く日産として8番目のEVコンセプトになります。
日産はPIVO 3を通じて、近未来に向けたEVのラインナップをより具体的なものにしました。PIVO 3のコンセプトは初代PIVO、PIVO 2をベースに、未来のイマジネーションの領域から、日産が考える近未来のカーライフを具現化したものとなりました。
PIVO 2が人とクルマをつなげることにより、個人のニーズを満たす革新的なEVコンセプトであったのに対し、PIVO3はEVがクラウドコンピューティング社会、スマートシティー、そしてスマートグリッドとつながり、いかにして個人と社会双方のニーズを矛盾なく満たし得るかを表しています。

日産自動車 商品企画本部 副本部長のフランソワ・バンコンは、「PIVOシリーズは、都会で暮らす人々への日産からの提案です。3つのPIVOを提案することで、我々はそういった方々の様々なニーズに対して、深く入り込もうとしてきました。また、今までに我々が送り出してきた8つのコンセプトのそれぞれは、異なる市場の各々のニーズやライフスタイルを満たせるものとなっています。つまり、これはゼロ・エミッション・モビリティの実現が、当社にとって大切な目標となっていることを意味しています。私達は、世界が変化し続ける中でも、クルマというものが引続き、人々の生活をより良くしていく役割を担うものであると信じています」と語りました。

ゼロ・エミッション・モビリティを普及させるという日産の長期的コミットメントの一環として、PIVO 3は今回出展したTOWNPOD、ESFLOWとともに、すでに市販されている日産リーフの領域に近いものとなっています。ゼロ・エミッション・モビリティを現実のものとした日産リーフとともに、第三世代のPIVOは従来から議論されてきた経済性や環境適合性を超え、その先にあるEVのあるべき姿を明示しています。

呼べば来る車。自動で駐車、自動で充電。
PIVO 3は「駐車」という概念に革命をもたらします。一般的にバレー・パーキングと言えば、豪華なホテル等でベルボーイにキーを預けるだけで駐車の面倒を見て貰えるシステムを指しますが、スマートシティーと呼ばれる将来の街とEVの連携で可能になるオートメーテッド・バレー・パーキング(AVP)により、ドライバーはもはや、自ら駐車スペースを探して自動車を駐車したり、用事を済ませた後に駐車スペースに戻る(駐車スペースを覚えておく)必要がありません。つまり、AVPがそこにあるならば、ドライバーは安心してPIVO 3を乗り捨てる事ができることを意味しています。ドライバーがショッピングや仕事をしている間に、PIVO 3は自動で充電を行うことが可能で、同時に地域の電源安定化に寄与します。そして用事を終えたドライバーは、携帯電話やスマートフォンを操作してPIVO 3をAVP出口まで呼ぶことができます。このAVPは、公共性とパーソナル性の両立が課題のパーク・アンド・ライド施設やカーシェアリングから一歩進んで、パーソナルライフの更なる自由を創出し、公共への貢献、さらに環境への配慮も一段と高まります。

内外輪差ゼロ、4メートル幅Uターン
PIVO 3は全長3メートル未満というコンパクトなサイズの中に、キャビン前方に1名、後方に2名という1+2レイアウトを実現しました。無駄のないコンパクトなボディに加え、前後で異なるトレッド、さらに四輪の大舵角を可能にするインホイールモーター(IWM)を採用することで、内輪差、外輪差を生じさせることなく、極めて小さな回転半径を実現しています。これにより前輪さえ通過すればボディがどこかに接触することなく、車体全体が通過することができるのです。
PIVO 3は、通常ならバックして戻らなければならない、狭い道路に迷い込んでしまった場合でも、たった4メートルの道路幅さえあればUターン可能です。(最小回転半径は2メートルとなります)。

EVやバイ・ワイヤ技術により、IWMを実現
初代PIVOやPIVO 2同様に、PIVO 3はレイアウトの自由度の確保やシステムの軽量化を図るため、EVとバイ・ワイヤ技術を駆使しています。PIVO 3はIWMを採用することで、車輪に大きな舵角を与えることを可能とし、さらにコンパクトなパッケージを実現。そのドライブフィールは自然で、小回りが効く以外、今までの自動車と何ら変わりません。

フレンドリー・イノベーションが支える、シームレス・モビリティ
「フレンドリー・イノベーション」の哲学に基づき、日産はお客さまに「最先端の技術」を「本当に分かり易く、使い易く」提供することを目指しています。そのひとつが、PIVO 2からPIVO 3に受け継がれたインターフェース「ロボティック・エージェント」です。ロボティック・エージェントは、まるでドライバーのパートナーかアシスタントのように振る舞います。また、情報を整理してタイムリーにドライバーに伝える機能により、ドライバーとPIVO 3の最新の状況にマッチした情報を常に選択することが可能です。このようなアプローチにより、PIVO 3は既存の自動車の概念を超えた、人と親密な関係を持った知的生命体とも言えるのです。

機能の必然から導きだされた特徴的なプロポーションとクールで大胆なエクステリア
軽快に薄く張り出したフロントフェンダーは、踏ん張り感を出しながらもその機敏さを想起させます。ボディ全体に大胆に長く走るラインにより、ダイナミックで表情のある大きな面構成を実現。驚くほど小さなサイズにもかかわらず、大人3人に十分なスペースを提供しています。さらにリヤエンドは、小気味よい機動性を予感させる前後で異なるリヤトレッドを効果的に見せて、新鮮なスタンスのあり方を表現。強く大きな構成で、コンパクトカーでありながら力強い存在感をアピールしています。

操作系を中心に流麗なラインで構成され大人の質感を感じさせるインテリアデザイン
インテリアは、操作系を軸に室内空間のスムーズな流れを念頭に置いてデザインしました。センターコンソールに各種情報を表示するウルトラワイドモニターを配置。その下には自車の周りの路面をリアルタイムで分かりやすく表示するサイドビューモニターを装備しています。入念に縫い合わされたレザーとシルバーのトリムは、上品で高品質な雰囲気を醸し出すカラースキームであるスノーホワイトEVブルーと調和。滑らかなサーフェスは、コンパクトなキャビンの中にもエコ一辺倒では無い成熟した大人の雰囲気を湛えています。

近未来社会におけるEVのあるべき姿とは
家庭での充電で「ガソリンスタンドに行く必要のない生活」を提案した日産リーフは今また「LEAF to HOME」で家側への電源供給にも道を示しました。それは家とEVが一体となる事で生活が益々便利に豊かになっていく道筋でも有ります。その「家」を「街」と置き換え、柔軟で大胆な発想を膨らませたものがこのPIVO3で提示した未来です。スマートシティー、クラウドコンピューティング、そしてEV。これらが一体となって連携し始めた時、想像を超えた豊かな未来がそこに広がっています。

日産はZEVを世界中に普及させ、ゼロ・エミッション社会を創り出すことを目指しています。ゼロ・エミッション・モビリティの領域でリーダーになることは、日産のコミットメントであり、社会への使命でもあります。その実現に向け、PIVO 3はクルマのみならず、必要となるであろう近未来社会のインフラをも提示しています。

以 上