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018

合い言葉は「スイスイ!」 テクノロジーで進化したEVの走り

イルカが海中を泳ぎまわるように日産リーフの特徴の1つが「スイスイ」スムーズな走行性能。スイスイという目標に向かって、車両と制御を作りこんだ走行制御開発部のお二人に聞いてみました。

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2012/03/19

人間は普段、何気なく歩いたり走ったり、いろんな運動をしています。歩く時に、いちいち「まず右足を出して、姿勢を保ちつつ、手を振って……」と頭を悩ませる必要はありません。前進するという目的に向かって無意識のうちに、体中の筋肉を動かすことで歩いています。手や足、身体のバランスなど、脳から細かな指令が出ているのです。このような働きも制御の1つと言えます。

リーフの走りを引き出す、 駆動トルク制御とは?

日産リーフもまた、普段歩いているときと同様に、知らず知らずのうちに制御が働いています。リーフの運動性能や操作性を高めるために、さまざまな制御が働いているのです。
その1つが、モーターを制御することでトルクの増減を極めて短い時間幅で微調整し、車両挙動の安定化を図る駆動トルク制御です。原理としては、アクセルを踏めばトルクが増えて車体のフロントが浮き上がり、アクセルを戻せばトルクが減り車体のフロントが沈み込むことを利用しています(図1)。

図1

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トルクが増える⇒フロントが上がる
駆動輪のトルク(モーメント)が増加すると、車体には逆のモーメントが働くためフロントが浮き上がる。

トルクが減る⇒フロントが下がる
駆動輪のトルクが減少すると、車体には逆のモーメントが働くためフロントが沈み込む。
例えば、路上の段差を超えた時は車体も振動します。この時、リーフの駆動トルク制御システムはセンサーを利用し車体の振動を推定します。すると、車体の振動を抑制するよう駆動トルク制御によってトルクを増減させることで、車体の振動が小さくなり収まりやすくなります。この時、トルクの制御量は非常に小さく、ドライバーがほとんど違和感を感じないレベルです。
また、カーブを曲がるときや車線変更時も特徴的です。前述の振動の抑制により、すべての車輪がしっかりグリップした状態になる効果に加え、リーフのような前輪駆動車では駆動輪が操舵輪であるため、トルクの増減によって旋回方向のモーメントが増減する効果も利用されているのです(図2)。

図2

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トルクが増える⇒回頭モーメントが大きくなる
操舵輪のトルクが増加すると、車体の回頭モーメントが大きくなる。

トルクが減る⇒復元モーメントが大きくなる
操舵輪のトルクが減少すると、車体の復元モーメントが大きくなる。
ドライバーがステアリングを切ってすぐ、トルクをほんの少し制御することで、ドライバー操作に遅れなくクルマを曲げることができます。もちろん、車体の振動も同時に抑制されているため、なめらかにクルマの旋回が始まります。ステアリングを戻したときに発生する車体のぐらつきも、トルクを制御することで小さくできます。これによりドライバーは、操作とクルマの走りがリンクしている感覚を得られるのです(図3)。

図3

performance_img_.jpg
リーフがスイスイ走るしくみ
日産リーフは、高応答モーターの使用により、100分の1秒単位の緻密な駆動トルクの
コントロールが可能となり、誰でも扱いやすいスムーズなコーナリング性能を実現。
さらに、車線変更のように連続して曲がる場面には、この制御がより有効に機能し、ドライバーは狙ったとおりにスイスイと曲がっていく感覚を得られます。クルマが思い通りにスイスイ走ることで、ドライバーが無意識に行う過大なステアリング操作や、微妙なステアリングの修正操作を軽減し、結果としてドライバーの負担軽減が期待できるのです。

駆動トルク制御技術によって、 モーターの持ち味を引き出す

EVの特徴は、モーターで走ることです。モーターは電気を加えれば瞬時にトルクを生み出すことが可能なため、モーターは制御をしやすいという長所を持っています。リーフは制御技術によって、モーターの長所を引き出し、スイスイを実現しました。
「車両開発で大切なのはコンセプト。リーフの存在意義や、新しい乗り物って何だろうとEVの走りをゼロから考え、行き着いたのがスイスイというドライビング感覚でした。制御を担当するエンジニアには、スイスイと言う走りを感じて実車に落とし込むセンスが求められます。エンジニアに想像できない走りは実現できませんから」(佐々木さん)。
制御で難しいのは、制御によってドライバーにとって違和感が出てしまっては本末転倒になりかねないということです。自然なフィーリングを目指し、過度な介入でドライバーに違和感を与えないように最適な制御を加えるのが、エンジニアの腕の見せ所です。
しかし、最終的には、スイスイと走る走行性能を実現できたかどうかは、人間が乗ってみなければ判断できません。そのため、制御開発の工程では、実際にプログラムを載せて走行テストが行われます。このとき、制御チームのメンバー全員が納得するまで、走行テストは、何度もやり直されます。リーフでも、開発メンバー全員が乗り合わせ、どんな人が乗ってもスイスイと感じるレベルまで走行テストを繰り返しました。
「走行テストの目的は性能を引き出すのはもちろん、ドライバーの意図から外れた動きをしないことや、ドライバーに違和感を与えないこと。目標値は、お客様が納得する制御開発です」(大田さん)。

新たな可能性を求めて、 未来に進む日産のEV。

モーターは応答が速く、制御という面から見ても大きな可能性を秘めたパワーソース。そしてクルマのコンセプトに応じて、車両を作り込む道具立てと制御の目指すベクトルを一致させてこそ、モーターの性能を引き出せます。EVの開発では、制御がキーポイントになります。
「コンセプトに向かってクルマの構成が決まるのと同じように、制御も目標に向かって作りこんでいく必要があります。どんなクルマを目指すかによって、それに応じた“道具立て”と“制御”が必要です」(佐々木さん)。
EVの走行性能には、まだまだ新しい可能性が広がっています。「リーフ NISMO RC」1やシティコミューター「PIVO3」2といったEVも、その可能性の1つです。今後、EVがどのような走りを生み出していくのか。制御技術の活用によって、EVの未来は無限に広がっています。


日産リーフの制御の仕組みを紹介したムービー
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