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028

すべてのクルマをハイブリッドに!

動物は、摂取した食物をエネルギーに変える。一方のハイブリッド車は摂取したガソリンをエネルギーに変えるだけでなく、減速エネルギーを電気に変えて蓄積し、それを使って再び前に進むことができるのだ。

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2013/05/10

ハイブリッド車は人体に似ている!?
われわれの体の筋肉は、大きくわけると「速筋」と「遅筋」で構成される。
速筋は白筋とも呼ばれ、瞬間的に大きな力を発揮することができる。したがってダッシュやジャンプ、重量挙げなど、瞬発力や一瞬のパワーが必要な無酸素運動で活躍する。
一方の遅筋は赤筋とも呼ばれ、持久力に優れる。したがって水泳やランニングといった、持久力を要する有酸素運動で活躍する。
ここで、海を泳ぎ回る魚を想像してほしい。ヒラメやスズキなど沿岸部の魚は白身で、マグロやカツオなど広い海域を回遊する魚は赤身だ。すなわち沿岸部の魚は速筋、回遊魚は遅筋で構成されているのだ。
魚とは異なり、必要に応じて速筋と遅筋を使い分ける人間の体がうまくできているころがおわかりいただけるだろうか。ハイブリッド車もまた、人間が速筋と遅筋を使いわけるのと似たような働きをする。
停止状態から発進する時には、モーターで走行する。電流が流れた瞬間から大きな仕事ができるモーターには、発進する時など、低回転で大きな力を瞬時に発生するという特徴がある。すなわち、瞬発力に優れた速筋にあたる。
そのまま走り続けると、エンジンが始動する。エンジンにはモーターほどの瞬発力はないけれど、同じトルクを維持しながら長い距離を効率よく走ることができる。すなわち、遅筋に似た特徴を持っていると言えるだろう。
エンジンとモーターは同時に働くこともできるし、エンジンだけ、あるいはモーターだけで走行するケースもある。したがってハイブリッド車は、速筋と遅筋を上手に使い分ける人間の体に似ているのだ。
けれども、ハイブリッド車には人間をはじめとする動物には絶対に真似ができない“特技”がある。それは、減速する時に生じる運動エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄えること。これを回生ブレーキと呼ぶが、ハイブリッド車が坂を下る時には、回生ブレーキがエネルギーを生むのだ。
動物は、摂取した食物をエネルギーに変える。一方のハイブリッド車は摂取したガソリンをエネルギーに変えるだけでなく、減速エネルギーを電気に変えて蓄積し、それを使って再び前に進むことができるのだ。
様々なクルマをハイブリッド化できる理由
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日産が開発したハイブリッド技術は、通常のエンジン車の、トランスミッション内にあるトルクコンバーターという部品をモーターとクラッチに置き換えることでハイブリッド化することができ、低燃費を実現するのが特徴である。専用の車体が不要で、システム全体の大きさも従来のエンジン車とほとんど変わらないので、さまざまなモデルをハイブリッド化できる。
我慢をしないで燃費がアップ
人間が遅筋と速筋を使い分けるように、ハイブリッド車もエンジンとモーターを上手に使い分けて走る。日産が発表した、多くのFF車(前輪駆動車)に搭載可能なハイブリッドシステムにおいて重要な役割をはたすのがクラッチである。図のハイブリッドシステムにおいては、2つのクラッチが有効に働いてエンジンとモーターが連携プレーを行う。
クラッチ1は、エンジンとモーターの間にあり、両者を繋げたり切り離したりする。減速する時、このクラッチ1がエンジンを切り離す。するとエンジンの抵抗がなくなることで、効率よくエネルギー回生ができるようになる。
フル加速する時など、エンジンとモーターの両方のパワーを使う時には、クラッチ1をつなぐ。するとエンジン+モーターで走行することができる。
クラッチ2はモーターとCVT(トランスミッション)の間に位置する。クラッチ2の役目は、エンジンやモーターの力を、ギクシャクさせずに滑らかに伝えることだ。そこでクラッチ2が巧みな半クラッチを行うことで、スムーズな走行フィーリングを実現している。半クラッチとは、マニュアルトランスミッションを操作する時にクラッチを微妙につないだり切り離す行為。上手なドライバーは、半クラッチを使うことで、自動車を素早くスムーズに走らせる。
この1つのモーターに2つのクラッチを備えたハイブリッドシステムの利点は、大きく以下の3つになる。
まず、クラッチによってエンジンを切り離すことができるので、回生効率に優れる。
また、CVTというトランスミッションの一部(トルクコンバーター部分)をモーターに置き換えるだけでハイブリッドシステムが成立するのも長所だ。なぜなら、最新の効率的なエンジンとCVTをそのまま利用できるからだ。
通常のエンジン+CVTの車両と、パワートレーン全体の大きさが変わらないことも大きなメリットである。いままでに乗っていた自動車を、使い勝手を損なうことなくハイブリッド化できるからだ。
つまりこのシステムは、将来的にはどんな自動車もハイブリッド車に変えてしまう。今までと同じように便利に使うことができて、しかも燃費が向上するわけだから、大きな意味があると言えるのだ。