Technology
NISSAN TECHNOLOGY
ENGLISH
TOP > 027 EVolution EV進化論(第ニ部)- EV、その驚異的な進化のスピード

027

EVolution EV進化論(第ニ部)- EV、その驚異的な進化のスピード

EVの進化のスピードがどのくらいのものか、日産リーフを例にとってみよう。世界初のEV量産車の日産リーフは、2010年秋に登場した。そしてデビューから2年後のマイナーチェンジでは、大幅な性能向上を遂げている。

アクセスランキング(1位〜3位を表示)

2013/04/17

日産リーフの進化
前編では、21世紀に世界初の量産EVが誕生したところまでを記した。そして生まれたばかりのEVは、化石燃料の枯渇やCO2の排出量削減という問題を解決したいというモチベーションもあって、猛烈な勢いで進化している。
EVの進化のスピードがどのくらいのものか、日産リーフを例にとってみよう。世界初のEV量産車の日産リーフは、2010年秋に登場した。そしてデビューから2年後のマイナーチェンジでは、大幅な性能向上を遂げている。たとえばガソリン自動車の燃費にあたる電費が14%も向上したほか、車両重量は80kgの軽量化をはたし、荷室容量も40ℓ拡大している。なお、航続可能距離はマイナーチェンジ前の200kmから228kmへと伸びている。クルマのマイナーチェンジと言うと、バンパー形状といった外観の変更が一般的である。それに比べ日産リーフは、フルモデルチェンジに匹敵する進化を遂げている。
大幅な性能向上を支えているのは、マイナーチェンジで加えられた様々な変更にある。例えば、パワートレインは従来のモーターやインバーターなどの主要ユニットを統合し、完全に新しいパワートレインユニットとなっている(※下図)。また、暖房は従来の電熱線ヒーターに加えてヒートポンプシステムを搭載し、消費電力を大幅に抑えている。この他にも軽量化や消費電力を抑える様々な工夫が盛り込まれている。
また、ユーザビリティも格段に向上している。リチウムイオンバッテリーの残量表示は、従来のバー形式に加えてパーセントでも表示できるようになった。さらに、ナビのルート検索で「省エネ」ルートが選択できるなど、バッテリー残量を心配するユーザーの不安を払拭する機能が多く追加されている。
これほど多くの変更がわずか2年後のマイナーチェンジで行われることは極めて珍しいことと言える。
日産リーフの新型e-パワートレイン
EVolution_main002.jpg
マイナーチェンジ前のリーフ(図上)では、EVの動力を担当する装置がばらばらに配置されていた。それにはふたつの理由がある。まず、電子部品は振動に弱いので、振動の影響を受けにくい場所に配置する必要があった。また、部品を一体化すると振動に共鳴しやすくなり、音を発生してしまう問題もあった。けれども、ばらばらに配置すると配線や取り付け部分の部品が余分に必要になる。そこでマイナーチェンジ(図下)にあたっては、振動の多いモータールーム(従来車のエンジンルーム)内部に電子部品を集中的に配置するため、電子回路やユニット構造の設計を一から見直して耐久性を確保したほか、普通車以上に振動や音を抑えるよう様々な工夫を盛り込んだ。こうした取り組みによって離ればなれだった装置を統合し、モータールームに配置することができたのだ。 「e-パワートレイン」の詳細はこちら
EVの進化はなぜ早い?
では、なぜEVの進化はこれほど早いのか。理由の1つには、EVの要素部品の多くが電子・半導体等、比較的進化の早い分野であることが挙げられる。しかし最も大きな理由は、EVに期待するユーザーの存在かもしれない。それを象徴するエピソードが、先述した日産リーフのバッテリー残量パーセント表示である。
日産リーフの開発責任者、門田英稔がアメリカのリーフオーナーズミーティングに出席した時のこと。門田が「何か要望があれば教えて欲しい」と言った途端、客席から一斉に手が挙がり、皆それぞれ熱い思いを話し始めた。その中でも特に多かったのが、「スマートフォンのようにバッテリー残量をパーセントで表示して欲しい」という要望だった。門田はそれがいかに難しいことなのかを説明したが 1、一方で、リーフが好きでもっと良くしたいと思ってくれている熱心なユーザーがここまで欲しいと言うのだから、何とかこの声に応えたい、応えなければならない、と強く思ったという。日本に戻ると、門田と開発チームは「電池残量のパーセント表示化」の課題に取り組み実現した。
日産リーフのマイナーモデルで採用された多くの変更点がユーザーの要望に応えるための進化につながっている。EVに対するユーザーの強い期待の声が自動車メーカーを動かし、進化を加速させたのだ。

EVという“種”の次なる進化
これまで述べたように、EVの進化の歴史は21世紀に入って猛烈な加速を見せている。さらに今後は個体種の進化だけでなく、“種の多様化”が起こる。日常使いの乗用車に加え、ビジネスシーンで活躍する商用車、ラグジュアリーシーンを彩る高級車、どんな地域でも使えるパーソナルモビリティなど、EVという“種”はそれぞれの環境に合わせて進化と多様化を繰り返し、着実に世界に広まっていくことだろう。

EVolution EV進化論(第一部)
電気自動車はエンジン車より古い』はコチラ!