■選 評■
童話の部
財団法人 大阪国際児童文学館
理事長兼館長
中川 正文
私たちは、人生の途上で、さまざまなむつかしい問題にであいますが、いつもそれを乗りこえて、生きていかねばなりません。そんなとき、少しでも問題解決の力になるような、また勇気づけられるものがほしいと思います。
子ども時代の読書、童話や絵本の役割の一つが、こういう働きにあるのですが、単に子ども向きに面白おかしく飾りたてたものでなく、ほんとうに「生涯の友」となるべき大切なもの、それが何かをさぐることも、このコンテストの目的です。お互い大変ですが・・・・。
童話作家
あまん きみこ
言葉を紡いで一つの世界をうみだすことは、楽しくもあり苦しくもあります。「歌うように書きあげる」「ひょいと浮かんだので書く」という天才もいるかもしれませんが、大体は辛い繰り返しをして得る創作の喜びではないでしょうか。私などいつも、たった一通しか出せないラブレターを書いたり消したりする思いになります。
今回のグランプリは、わりにすんなりと決まりました。優秀賞、佳作でも惜しい作品が多くありました。それぞれの世界を信じて、どうぞ、もっと推敲してください。
財団法人 東京子ども図書館
理事長
松岡 享子
私が拝見した限り、応募作品で扱われている最大のテーマは、やさしさと思いやりであるように見受けられます。今の世の中で、いちばん大切にしたいものと、多くの方が感じておられるからでしょう。でも、はじめからやさしさや思いやりを自明のこととしてさし出すのではなく、私たちの中にあるやさしさや思いやりを妨げるものを見据え、それをどう乗り超えられるかを−−たとえ幼い子どもでも、その子に即して“葛藤”して、それから書いてほしいと願います。
絵本の部
絵本作家
杉田 豊
絵本の表現は自由で様々ですが、画面から柔らかで優しさが伝わってくる素直な絵は少ないものです。そんな作品が目につくのは、最終選考に残った数点が質的に殆ど相違が無かったからと思います。
多くの中で突出した作品が見られず、似ている印象が感じられました。コンピューターで制作した独特の技法は理解できますが、単なる原画のカラープリントが増えたのは惜しまれます。工夫された描画や、画材の原画の肌触りが欲しいと思いました。それとバランスのとれた筋と、文章もです。
絵本作家
杉浦 範茂
一巡目を見終わっての感想は、ちょっと盛り上がりが無いな・・・・でした。ここ数年では最もレベルが高いように思われた前回が脳裏をよぎります。果物などで、豊作年の次の年は不作だと聞きますが、それと何の関係も無いコンペも同じとはどういう訳だ・・・などと余計なことを考えてしまいました。このコンペを支えて下さっている応募者の皆さんが、一本の樹となって多種多様の美しい花やおいしい果実をつけるのかも知れません。次回が楽しみです。差は殆どありません。あと一押しの挑戦を・・・・。
日産自動車株式会社
取締役会長
塙 義一
今回は、昨年をはるかに上回る沢山の作品をお寄せ頂きました。多くの方にこのコンテストが親しまれていることを嬉しく思います。
第1回グランプリから現在まで出版を続けてきた作品は、毎年、全国の図書館、日産の事業所近隣の幼稚園・保育園に寄贈しています。これまでお贈りした童話や絵本は10万冊。このように沢山の子どもたちの手に渡ることができたのも応援してくださる皆様のお陰です。
これからも未来を創造する子どもたちに素敵なプレゼントを残していきたいと思います。
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