第18回絵本の部 (大 賞)

ミミヨッポ

広井 法子


Left Right



クリックすると大きな画像が見れます。
表紙
   
   
1ページ

あるむらに うさぎが すんで おりました。
なまえは ミミヨッポと いいました。
ある日 ミミヨッポは じぶんの つかって
いた いどが こわれてしまったので、きれ
いな 水を くみに でかけました。
 すると いえから すこし はなれた と
ころに、いまはもう つかわれなくなった
ふるいどが あるのを みつけました。
「おや、こんなところに いどが あるぞ、
まだ つかえるかなあ、のぞいてみよう。」

   
2ページ

ミミヨッポは いどを おおっている つる
草や、のせてある いたを よいしょと ど
けて、いどの中を そっと のぞきこみまし
た。
いどの中は まっくらでしたが、そこのほう
は キラキラしていて 水が あるようでし
た。
「お水は ありますかー」
ミミヨッポは いどのそこに むけて さけびました。
すると、いどの中から こえが しました。
ミミヨッポは もう一ど みを のりだして
おみみを まっすぐ いどのそこに むけて
さけびました。
「お水は ありますかー」
と、その とたん・・・

   
3ページ

ミミヨッポは よろよろ よろけて、いどの
中に おこっちて しまいました。
「うわあー」

 

   
4ページ
バッシャーン、ブクブクブクブクー
そして、水の中に おっこちて しまいまし
た。
ぐいっと ふかく もぐると いどは むこ
うへと つづいて いました。
「このいどは どこまで あるのだろう」
ミミヨッポは さぐってみることにしました。
   
5ページ

いどは どこまでも どこまでも つづきま
す。

   
6ページ

やがて、ひろい ところに でました。
ミミヨッポは、めのまえに みおぼえのある
生きものを みつけ、こえを かけました。
「やあ ザリガニくん」
「だれだい きみは。ぼくは りくに すむ
ザリガニなんかじゃないよ、うみに すむ
イセエビだよ」
「そうか、ここは うみなのか」
ミミヨッポは、うみのそこに でたのでした。

   
7ページ

うみは ミミヨッポが それまで みたこと
の ない せかいで、うみの中を およぎま
わるのは、たいへん きもちが いいもので
した。

 

   
8ページ

ミミヨッポは そこで、いくせんぼんの い
られた やのように、すぎてゆく サンマの
たいぐんを ながめたり、くねくね おどる
かいそうを とっては たべたり しました。

   
9ページ

ミミヨッポが、おみやげにと、きれいな 貝
を ひろい あつめていると、アザラシが
やってきて こえを かけました。
「きみは だれだい」
「ぼくは うさぎの ミミヨッポと いうの。」
「ふーん、きみと ぼくらは おかおが よ
く にているね、けれど ぼくらには その
きみの あたまに ついている ものは な
いよ、それは なに?」
「これはね、おみみだよ。おとを きく お
みみだよ。ぼくは にげあしが はやいから
おとを きいて すぐに にげられる よう
に、おみみが おおきいのさ」
ミミヨッポは そう こたえると、アザラシ
たちは ゆかいに あたりを およぎまわり
ながら いいました。
「へえー いいな、いいね」
ミミヨッポは とても うれしい きぶんに
なりました。

 

   
10ページ
そうしていると、あたりが なんだか きゅ
うに さわがしく なってきました。
「きたのかな、きたのかね」
アザラシたちは そう うわさすると、ミミ
ヨッポにも にげるようにと いって とう
くに いってしまいました。
さかなたちや、イカや、エビや、うつぼや、
貝までも、みな いっせいに かくれだし、
あるものは いわばのかげ、あるものは か
いそうの中、また、あるものは すなの中に
もぐり、ミミヨッポも いそいで かくれま
した。
   
11ページ

まわりの かいそうが あらしのように ゆ
れだして、あらわれたのは クジラです。
クジラは、ゴーウゴーウと おとを たてて
ゆっくりと 大きく おを ゆらしながら
さってゆきました。

   
12ページ

「だれだ ここに はいってきたのは」
ひくい こえが きこえて ミミヨッポが
ふりむくと そこに いたのは、たくさんの
たまごを まもっていた タコでした。
バァーバァー
タコは まっくろい すすを はきだし、た
ちまち あたりを まっくらに してしまい
ました。
「うわあ なにも みえないよー」

   
13ページ

ピチチチー チチチチー
ピヨピヨピヨ、ブーン
モー モー

   
14ページ
きが つくと、ミミヨッポは いどの わき
で よこたわっており、そばに うしが お
りました。
「いったい ぼくは いままで・・・」
ミミヨッポは うしに これまでの ことを
はなしました。
そして、ふたの あいたままの いどを の
ぞきこみました。
やはり 中は くらく そこのほうは キラ
キラして 水が あるようでした。
ミミヨッポが 「おーい」と さけぶと
「おーい」と こえが して、うしが 「モ
ー」と さけぶと 「モー」と こえが い
どの中から きこえました。
   
15ページ
ミミヨッポは、うしの つかっている 水ば
を つかわせて もらうことに しました。
いどに ふたを して、石を のせると、バ
ケツを もって、うしと いっしょに ある
きだしました。
「また、あそんでね、ミミヨッポ」と いど
は おもいました。


(おわり)

Left Right
Back Next